今回のエッセイは、前回公開の「安倍政権は原発事故の後始末を最優先課題とせよ」の続編の形となる。
昨夜テレビニュースを見聞した私は、安倍政権が深刻な状況に陥っている東京電力福島原発事故後処理をないがしろにしている(と言うより“ひた隠し”と表現した方が適切か?)理由が理解できた思いだ。(その理由に関しては、下で述べることにする。)
「原左都子エッセイ集」前回のエッセイ内容を、以下に少し振り返らせていただこう。
東京電力福島第一原子力発電所から高濃度の汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会は8月21日、トラブルの深刻さを示す国際原子力事象評価尺度(INES)を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げる決定を下した。 一方で、海外では福島原発汚染水による海洋汚染への懸念が広がっている。
私論に入ろう。 今回の福島原発汚染水大量流出事件に関して、まさか政権がそれをまったく知らなかったとは考えられないにもかかわらず、何故安倍政権がすべての事故後処理を政権の僕(しもべ)組織とも表現可能な「東電」に委ね、自分らは原発汚染など一部の国民の犠牲範疇とそ知らぬ顔で「原発推進」を景気対策の一目標と掲げ、国民からの“票取り”に励んだのであろう。
私に言わせてもらうと、今回の「レベル3」福島原発汚染水漏れ事故に関するメディア報道も“生ぬるい”。 今回の原発汚染水漏れ事故に対しては海外こそが敏感に反応しているのに、原発事故を発生させた当事国である我が国の国民が、何故もっと大々的に騒がないのか!? なる疑問を抱かざるを得ない。
しかも、安倍政権は1年以上前に国会に於いて法案が可決された「被災者支援法」を放置している現状に、福島原発事故自主避難者らから提訴されている現実だ。
(以上、「原左都子エッセイ集」前回のエッセイより一部を引用。)
昨夜私はNHK7時のニュースを見聞して、愕然とさせられた。
何でも、2020年夏季五輪の開催都市決定が9月7日に迫っているという。
それに先立ち東京五輪招致委員会は昨日8月23日に、国際オリンピック委員会(IOC)総会開催現地のブエノスアイレス渡航に向け、東京都庁で招致成功を祈願して出陣式を行ったとの事だ。 その記者会見の場で猪瀬東京都知事は「チームニッポンの結束力が増してきている。(総会で)揺るぎない自信を謙虚に示したい」と決意表明したとの報道である。
ここで一旦、原左都子の私論を述べよう。
私はそもそも世界規模のスポーツ祭典とは、国家間の経済格差等の条件を度外視してでも、世界各国で満遍なく施されるイベントであるべきと解釈している。
(IOCの最終決断とは「IOCにとって五輪を開催し易い」事や「IOC委員に何らかの恩恵が得られる」事に偏り勝ちである事を承知の上での見解だが)、祭典の主役である選手や役員の安全を保証できることを最低条件とした上で、世界各国に開催のチャンスを与えるべきと我が理念に従って捉えている。
その方が一部の経済強国にさらなる経済効果をもたらす弊害を阻止できる事はもとより、政治文化その他の格差を、スポーツ選手や観客が普段訪れる機会が少ない国でもじかに体験できる機会が得られる効用があると私は信じている。
2020年夏季五輪に開催地として立候補しているのは、東京に加えて、トルコのイスタンブール、そしてスペインのマドリードである。
我が国日本は既に夏季五輪の東京のみならず、冬季五輪も札幌、長野に於いて開催済みである。 スペインに関しても、バルセロナで既に夏季五輪を経験している。
そうであるならば、当然ながら2020年夏季五輪は、未だ五輪開催経験のないトルコ・イスタンブールに決定するのが当然と私は心得るのだが如何だろうか?!
原左都子の上記五輪開催国に関する見解に反論が出そうなことは十分承知だ。
トルコでは、何ヶ月か前まで国内で民主化を求める「反政府デモ」が勃発していた。
我がエッセイ集今年6月バックナンバーに於いても、「トルコ反政府デモの行方を暖かく見守りたい」なるエッセイを綴り公開している。 ただトルコ国内デモに関しては死者を一人も出していないと心得ているし、その後エルドアン政権もメディアや国民の対応を沈静化するべく動いていると認識している。
国内の動きを沈静化すれば済むのか? との反論も届きそうだが、それで沈静化する問題の方が方策が取り易いのも事実であろう。
おそらく五輪に参加する世界各国の選手や役員達も、“原発事故及びその後の汚染水処理失敗”とのこの期に及んで不気味な課題を抱えている国よりも、民主化を望む国民と政権とのいざこざによる一過性の事件が沈静化した国の方こそが「安全」との判断が下せると、原左都子は結論付ける。
しかもだ。
本日(8月24日)午前、安倍首相は中東・ペルシャ湾岸のバーレーン、クウェート、カタール各国と、東アフリカのジブチを訪問するため、政府専用機で羽田空港を出発したとのニュース報道である。
安倍首相は湾岸協力会議(GCC)の議長国であるバーレーンのハリファ首相と会談し、GCCとの閣僚級戦略対話の開催で合意する見通し。 中東3か国への訪問を通じ、原油・天然ガスなどの安定確保を図りたい考えで、ジブチでは海賊対処にあたる自衛隊員を激励する予定。のようだ。
加えて、国際オリンピック委員会(IOC)総会を控え、2020年夏季五輪東京招致への支持拡大も視野に入れるとの事だ。 安倍首相は出発に先立ち、羽田空港で記者団に対し「すべての訪問地で『2020年は東京』と訴えていきたい」と語ったとの報道だ。
自民党安倍総理の外遊の派手さは、昨年末実施された衆院選に自民党が大勝して後ずっと続行していることを国民の皆さんもご存知の通りである。
「アベノミクス」経済政策で少しばかり名目上の経済指標が上昇し、それに伴い7月の参院選でも大勝してしまった事実を国民皆が認めているとでも勘違いしている行動であろうか!?
あるいは、実は安倍氏自らも現在の「アベノミクス」政策の今後の不確実性と短命を認識した上で、今のうちに外遊目的で海外視察するのを得策と捉えると同時に、国内からの原発事故後始末失敗に対するバッシングを避けたい目的で、それが届かぬアフリカ等の国に逃避行しているとも想像可能だ。
それにしても国民の皆さん、安倍首相が乗る政府チャーター便を一発飛ばすのに、如何ほどの国税が費やされているかご存知であろうか???
我々市民が諸外国に行く時に、ちょっと贅沢して“ビジネスクラス”を予約した場合の割増料金費用から計算しても、安倍首相がチャーター便に費やすその莫大な“国税無駄使い”の程が推測可能という事であろう。
安倍首相の外遊による国費無駄使い
との馬鹿げた行動を今すぐに終焉させ、福島原発事故後処理こそに政権に地道に尽力させるべく国民は行動しようではないか!
一旦「レベル7」の原発事故を勃発させ世界を震撼させた国が取るべき行動とは、一スポーツの祭典に過ぎない五輪開催に浮ついている場合ではないことは明白だ。
ここは五輪の開催は他国に任せ、国民皆が気を引き締め直して、放射能汚染から脱出するべく時間をかけて努力を重ね続けるべきである。