と言ってみたところで。
私が青春を謳歌していた時代と現代では、人間関係における諸形態が大幅に変化してしまっている。
例えば「個人情報保護法」の成立などがその最たるものであろう。
他者の個人情報にみだりに立ち入るべからず、なるこの法制度は、明らかに自分と他者との距離感を大きく隔ててしまった感覚がある。😩
我が青春時代(特に上京後)は、若者の間で“ナンパ”がそれはそれは凄まじい勢いで実行されていた。
例えば繁華街を歩いていると、「ねえ、彼女。年いくつ? 名前何て言うの? よかったら、お茶しない??」 ってな具合だ。
この私など、電車の中で声を掛けられたこともある。
「すみません。 少しお話していいですか? もし時間があれば、次の駅で下車してお茶しませんか?」 この時は、時間が無くてお断りしたが。
あるいは、新宿駅で電車を待っている駅のホームで声をかけられた。
「彼女、これからどうするの? よかったらお茶しない?」
当時は「喫茶店でお茶」文化も盛んで、とにかくお話ししようよ! という訳だ。
これなど、とりあえず話し合おうとの趣旨だが、出会いの第一歩としては至って健全と言えないだろうか。
当時流行っていた新宿や六本木の“70年代ディスコ”へ行くと、ここは要するに男女の「ナンパ」出会いの場であったともいえよう。
年月が流れて、既に30代後半だった独身時代にも私はナンパを経験している。
高校教師だったが、仕事の帰りにバス停でバスを待っていると、車が停車して運転手の男性が「駅まで行くんでしょ? 送るよ」と来る。 さすがに教職者でもあるし自分の年齢も考慮して、丁寧にお断りしたものだが。
この「ナンパ」で恋が成立したことも、若き頃にはあった記憶がある。
ただ基本的に一貫して“結婚願望”に欠落していた我が身故に、付き合いが長続きしなかったなあ。
話題を変えよう。
2023.04.21付朝日新聞夕刊記事「取材考記」のテーマは、東京社会部記者の29歳男性による「信頼性向上を アプリで結婚 胸張れるよう」と題する内容だった。
この記者氏は1991年のお生まれ(現在31歳か?)のようだが、ご自身がアプリで出会った相手と結婚されたらしい。
私見だが。
朝日新聞記者といえば「エリート」であろうし、また仕事柄、現実世界での出会いも多そうに思う(?)のだが。 その身にして「アプリ婚」とは驚いた。😲
さすがにご自身が「アプリ婚」故に「(結婚の)きっかけはアプリ、と胸を張れる社会になってほしいと願っている」と、締めくくられているが。
二人の関係がうまく行くならば、出会い方など何だっていいとも言えそうだが。
原左都子の過去を振り返ると、「ナンパ」とは、ある意味では優れた出会い方ではないかと思ったりもする。
少なくとも声を掛ける側は、相手の何某かを気に入って声を掛けたはずだ。(少なくとも、昔はそうだった。 ナンパしてきた相手から何らかの被害を受けた事は皆無だ。 もしもその気が無くて「ごめんなさい…」と一言でお断りしても、すぐに引き下がってくれて後味は何ら悪くはなかったものだ。)
これに対し、現在は「マッチングアプリ」による被害も多発していると見聞する。
実に“危険性の高い”時代に変遷している事実に驚かされ、辟易とさせられるが。
まさに、人間関係が急激に希薄になった社会を物語る現象であろう。
「マッチングアプリ」とて、人間関係のきっかけに利用されること自体を完全否定はしないが。
とにかく如何なる出会いであれ、二人でとことん話し合う機会を共有しては如何だろう?
それにより、自身達で良き出会いを引き寄せることに期待したいものだ。