礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

明治初年における李鴻章の対日認識

2012-06-05 06:43:21 | 日記

◎明治初年における李鴻章の対日認識

 昨日のコラムで、渡辺修二郎の『東方関係』という本を紹介した。その七六ページに、清国の直隷総督・李鴻章が、一八八一年(明治一四)に、ある「韓人」に送った私書というものが引用されている。渡辺によれば、これは私書ではあったが、当時、「韓廷」(朝鮮国宮廷)に達したものらしい。その文面は、以下の通り(カタカナ文をひらがな文にし、若干、表記を変えた)。
―日本は近年西洋の法を学びて、営造百端自ら富強の術を得たりと謂へども、その実は国庫の空虚を致して、国債累々たるの状況なれば、四方に事を起して雄図を拓〈ヒラ〉き以てその費したる所を償はんと欲するの情なきを得ず。その疆宇〔領土〕相望むの地、北は貴国〔朝鮮〕にして、南は即ち中国の台湾、これ日本人の最も意を注ぐ所なりと云々。かの日本はその詐力を恃〈タノ〉みて、鯨呑蚕食、その琉球を廃滅したるの一事以て端倪〈タンゲイ〉を露〈アラハ〉したり、貴国固〈モト〉より以てこれに備〈ソナフ〉ること無かるべからず云々。―
 この書簡を受け取った「韓人」が誰であるかは不詳。また、著者の渡辺は、自分がこの書簡を閲読できた経緯を示していない。日本の官憲が、何らかの方法で入手した同書簡を、閲読・複写する便宜を与えられたものか。
 それにしても、ここに見られる李鴻章の当時の日本に対する観察は、きわめて的確であり、朝鮮に対する忠告も当を得ていると言わざるをえない。【この話、続く】

今日の名言 2012・6・5

◎そもそも迷路の問題は、出口から眺めれば答えは一目瞭然だった
 理論物理学者(慶応大学名誉教授)の米沢富美子さんの言葉。米沢さんは、小学校5年の時に受けた知能テストで、IQ175であることが判明した。これは、当時(1948年)、「大阪で一番」の成績であった。担任の先生が、家まで走って知らせにきたという。しかし、米沢さんにとっては、知能テストの問題は簡単すぎた。おそらく迷路の問題も、出口のほうから難なく解いていったのだろう。今日の日本経済新聞「私の履歴書」より。

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