礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

衣笠貞之助・溝口健二両監督が「松井須磨子」で競作

2013-11-19 08:43:00 | 日記

◎衣笠貞之助・溝口健二両監督が「松井須磨子」で競作

 敗戦から間もない一九四七年(昭和二二)、日本の映画界を代表する二人の監督が、同じ素材を扱った作品を競作するという出来事があった。できあがった映画は、衣笠貞之助監督、山田五十鈴〈イスズ〉主演の『女優』(東宝、一九四七年一二月公開)、および溝口健二監督、田中絹代主演の『女優須磨子の恋』(松竹、一九四七年八月公開)である
 アテネ文庫『映画作品辞典』(一九五四)は、このうち『女優』について、次のように解説している。

女優(日.東宝.1948〔ママ〕) 島村抱月の指導の下に,新劇女優としての輝しい人生を踏み出した松井須磨子が,抱月との燃えるような恋の末,芸術座を創立し,抱月の死後,自らもそのあとを追うまでの実録物.衣笠貞之助の演出下,山田五十鈴が天晴れの熱演を示し,土方与志〈ヒジカタ・ヨシ〉が共演.この同じ年,松竹でも溝口健二監督,田中絹代主演の「女優須磨子の恋」が作られたが,その出来栄えは衣笠作品の方がはるかに緻密ですぐれていた。

 衣笠監督の『女優』について言及したのは、一九四七年一〇月前後(おそらく、作品完成の直前)に、衣笠貞之助が書いた「『女優』について」という短い文章を見つけたからである。この文章の紹介は次回。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする