◎批評社刊『史疑 幻の家康論』のバリエーション
昨日、鵜崎巨石氏による拙著『史疑 幻の家康論』の書評を紹介した。その中で鵜崎氏は、この本の主題を、「『下級武士』とも言いえぬ低い階層が維新の元勲となったことから生ずる種々の事件、言説」というふうに捉えている。この捉え方は適切である。タイトルからは、まず予想できないわけだが、同書の主題は、まさにそこにあったのである。
そこでさらに、「『下級武士』とも言いえぬ低い階層」とは何かということになる。この問題については、このあと、このブログでも少し説明する予定だが、詳しくは、同書の第五章「『下級武士』論」を参照いただければ幸いである。
さて、昨日のブログでも少し触れたが、『史疑 幻の家康論』という本には、一九九四年の初版以来、いくつかのバージョンが存在する。これが、かなりヤヤこしいので、本日は、これについて少し整理しておきたい。なお、版元は、すべて批評社である。
Ⅰ 礫川全次編『覆刻 史疑 幻の家康論』一九九四年五月二五日初版。村岡素一郎の『史疑 徳川家康事蹟』(民友社、一九〇二)の全ページを復刻し、これに礫川による解説(全八章)を付したもの。三九八ページ、定価三二五〇円(税込み)。
Ⅱ 礫川全次著『史疑 幻の家康論』(新装増補改訂版)二〇〇〇年二月一〇日初版。Ⅰの解説部分を独立させたもの。Ⅰの解説部分・八章に、補章「幻の家康論・その後」を加えて、全九章。一七三ページ、定価一七〇〇円(本体)。
Ⅲ 村岡素一郎著『史疑 徳川家康事蹟』〔覆刻版〕二〇〇〇年四月一〇日初版。村岡素一郎の『史疑 徳川家康事蹟』(民友社、一九〇二)の全ページを復刻したもの。一八二ページ(本文)+三二ページ(広告等)、定価一五〇〇円(本体)。
Ⅳ 村岡素一郎著・礫川全次現代語訳『史疑 徳川家康事蹟 現代語訳』二〇〇〇年四月一〇日初版。村岡素一郎の『史疑 徳川家康事蹟』(民友社、一九〇二)を礫川が現代語訳したもの。一八二ページ、定価一五〇〇円(本体)。
【注1】ⅢとⅣは、ひとつの函に入れ、セットで発売(別売はせず)。三〇〇〇円(本体)。函には村岡素一郎原著・礫川全次現代語訳『史疑 徳川家康事蹟』とある。
Ⅴ 礫川全次著『史疑 幻の家康論』(新装増補改訂版)二〇〇七年八月一〇日初版。Ⅱをさらに増補したもの。Ⅱの補章に小見出し「丸谷才一氏の書評」を加え、さらに補論「近代日本における〈ネジレ〉の構造」を加えた。すなわち、全九章+補論。一八七ページ、定価一八〇〇円(本体)。
【注2】細かいことだが、Ⅱにはオビがあって、Ⅴにはオビがない。また、Ⅱのオビは、当初はオリーブ色のものだったが、のちに赤褐色のものに変わった。後者には、丸谷才一氏の書評(朝日新聞二〇〇〇・八・二七)からの引用がある。
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