◎岡本勝治の『航空発動機主要部品工作と段取』(1944)
先日、古書展で、『航空発動機主要部品工作と段取』(中央工学会、一九四四年三月)という本を入手した。古書価三〇〇円。この本の著者は、岡本勝治〈カツジ〉だが、この名前には、聞き覚えがあった。
岡本勝治には、『少国民と工作機械』(中央工学会、一九四三年一二月)という著書もあるが、これは国立国会図書館に架蔵されていない、そこで、『雑学の冒険――国会図書館にない100冊の本』(批評社、二〇一六年六月)なる拙著で、この本を紹介したことがあったからである。
さて、今回、買い求めた『航空発動機主要部品工作と段取』だが、蔵印がふたつ捺してある。「国立国会図書館蔵書」という角印、および「日本労働科学研究所蔵書印」という角印である。そのほかに、「国立国会図書館 25.3.31」という丸印もあった。
詳しい経緯はわからないが、同書は戦後、国立国会図書館から日本労働科学研究所に移管され、その後、日本労働科学研究所が、これを除籍したということではないか。
家に帰ってから、国立国会図書館のデータを見ると、この本は、東京と関西に、少なくとも二冊、架蔵されているようだ。ということは、今回、私が入手した本は、国立国会図書館が、三冊以上架蔵していた本のうちの一冊ということになろう。
本の内容については次回。