◎フランス映画『ロビンソン・クルーソー』を観る
先日、DVDで、テイエリー・シャベール監督の映画『ロビンソン・クルーソー』(二〇〇三)を鑑賞した。フランス=ドイツの製作ということになっているが、全篇フランス語であり、実質的にはフランス映画と言ってよいだろう。
これが、なかなか佳作であった。長篇というわけでも、大作というわけでもない。むしろ、かなり低予算で作った映画ではないかという気がした。
この映画が優れているのは、何よりも脚本である。イギリス人デフォーの原作を踏まえながらも、これが大幅に改作されている。描写や説明が、アッサリしていて、くどくない。それでいて、ストーリーの展開に無理がない(脚本は、フレデリック・ヴィトゥ)。
よく知られている通り、原作においては、ロビンソンは、奴隷貿易にたずさわる人物であり、「未開の土人」であるフライデーに対し、キリスト教信仰を説こうとする人物である。ところが、この映画では、主人公ロビンソンは、奴隷差別に反対し、かつ人種差別に反対する人物になっている。宗教色は、あまり見られないが、その一方で、人肉食を肯定するフライデーに対し、人肉食が許されないことであることを強く説く。
ロビンソンの根底にあるのは、あくまでも「文明」、「理性」であって、「キリスト教」ではない。このあたり、いかにもフランス的だなあ、という印象を持った。
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