風吹く豆腐屋

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坂道と暗闇の迷宮 ~しまなみ編~

2009-08-08 01:55:44 | Weblog
【※携帯観閲者への配慮はこの一行を以って終わります。あしからず。】


しまなみは、
向島(むかいしま)、因島(いんのしま)、生口島(いくちじま)、
大三島(おおみしま)、伯方島(はかたじま)大島(おおしま)
の6つの島からなります。
本州から四国に渡る際、これら6つの島とそれらをつなぐ橋を通っていくわけです。

自動車道は直線的な道になっているため、比較的短いんですが、
サイクリングロードは傾斜を緩やかにする目的もあって、長めに作られています。
その距離、およそ70km。結構なもんでしょ?


さて、1つ目の島、向島に上陸したのは先述の通り00:00ごろでした。
夜を徹してしまなみ脱出を図ることとなります(笑


この時点で、かなりびびり始めていました。

どうしてか?

暗いのが怖いからです。

2年前も書いたけれど、真夜中のしまなみは本当に暗いんです。
闇に囲まれるというのはそれだけで恐怖です。
道が分からず、暗闇の中をさまよい続けるときには、絶望さえ感じます。

明けない夜はないなんて、明けそうにない夜の中にある人には考えられません。


そうして進んでいると、2年前にも立ち寄ったローソンを見つけました。
ここまではまだ道を誤っていないと安堵し、
店内でしまなみ街道の地図を探しました。

広島と愛媛の県境にあるしまなみ。
ロードマップなら、買うのは尾道か今治か相当悩みました。
ましてそれらは自動車用。
高い買い物をして役に立たないとあまりに悲しいので、踏ん切りがつかないでいました。


しまなみの中にあるコンビニなら、自転車専用の地図売られているんじゃないか・・?

ところが、そんな希望はあっさり潰えました。
あるのは普通の道路地図のみでした。


ここで、地図を持たずに闇に飛び込んだ恐怖がフラッシュバックしました。

しかたないさ。・・あの時だってなんとかなったんだ。しかも今回は2回目なんだ。

どうにか心を奮い立たせて、その場を後にしました。



自然、ペダルをこぐ足には力が入ります。どうしても気が急くんです・・

しばらく海沿いに進むと橋を見つけました。

ぉ、さっそく2つ目の島へ行けるのか。これはいいペースじゃないか?

その先は岩子島(いわしじま)でした。

ところが、何か様子がおかしい。
2つ目の島は本当に岩子島だったっけ・・?
おかしいな、2年前に通った記憶が無い・・(笑

あまりに橋の向こう側が暗いので不安になり、その橋を渡らずに海沿いに進むことにしました。

・・・そしてお約束の展開。



ん。・・・この交差点、さっき通ったよね。


島をぐるっと回ってしまったことに気づき、どっと疲れが来ました。

これは何が何でも地図を手に入れなければならないと思い、
コンビニで地図を探すことにしました。

最初に立ち寄ったのはファミリーマート。

「しまなみ開通10周年記念 しまなみサイクルクーポン販売中」とあったので、期待して入るも、
ローソンと同じような地図しかありませんでした。


途方にくれました。


このまま、この島のコンビニを巡って地図を探すのか・・?
そもそもそんなもの存在するのか・・・?
探すのをやめて、手探りで進むのか・・・?


ダメ元でコンビニの店員に聞いてみました

「サイクリングロードの地図ありませんか?」

「・・・あぁ、ちょっと待ってください。(ごそごそ)はいどうぞ。」


<<ジョニーは【しまなみ街道・自転車歩行者用マップ】を手に入れた!!!>>


ん な も ん あ っ た ん か い


ダンジョン入り口のショップ店員に話しかけたら、
0円でダンジョンマップがもらえるなんて、裏技をこえ、もはやチート・・
商品としては並んでおらず、レジの陰に隠されているところがポイントです(笑


心にすくっていた暗雲が瞬く間に消え去りました。
これがあれば、もう何も怖くない!!
これで、真っ暗な中、【しまなみサイクリングロード】の表示を探しながら進まなくてもいいんだ(涙

その表示、びっくりするくらい不親切で、分かれ道にも無いことがあるんですよ・・
おかげでこれがどんな苦行だったことか。


0円の地図なのでそう詳しいわけではありませんが、
現在位置と進むべき方向はほぼ把握できるようになったので、気分は再び最高潮に。

飛ばしました。

おかげで、あっというまに2つ目の島、因島へ入りました。

2年前、ぐるぐる回り続け、精神力をかなり削られた島。
ところが、今回、僕の手元には虎の巻。

一体どこに不安な要素があるというんだ!?

なーんて調子の乗っていると、罰が当たりました(笑

「ガシャン  ・・・カラカラ カラカラ・・・」

最初、それがチェーンの外れた音だとは気づきませんでした。


橋を渡るために上る長い坂でした。
この手の坂は例外なく真っ暗なんですよね(笑

でも、地図のおかげか動じることはありませんでした。
直せる保証はなかったし、直らなかったら悲惨なことになっていたけど。

真っ暗な道、自転車を押して登りました。

登ること数分。ようやく明かりが見えてきました。橋の一端の料金所です。
がちゃがちゃしていたら、無事直せました。

昔、同じように自転車のチェーンが外れたのを直そうとしていて
友達の指に怪我させてしまったことを、ふと思い出しました。


そして橋を渡り、3つ目の島、生口島に突入。

2年前、闇に苦しんだのはこの島です。
今までの2つの島に比べ、ひとけが無いんです。
当然、街灯なんてありません。

そして、さらに悪いことに、サイクリングロードは山の中を走っています。
昼間なら心地よい木陰を作り出すんでしょうが、
2年前は明かりを遮る鬱蒼とした木々の中、想像力が創りだす恐怖に悶え苦しみました。



ところが。


もらった地図を見ると、山の中を走る必要なんて全く無いんです。

海沿いに行けば橋の上り口につくじゃんか・・
なんでこのサイクリングロードの表示は山のほうを指し示しているんだ・・・

同じミスは犯しません。

表示よりも手元の地図を信じ、海沿いを進みました。
海沿いならどんなに暗かろうと怖くありません。
これは多分、山派、海派に関わらず共通の感覚だと思います。


ところが、予想に反して、鳥肌が立つようなことも経験してしまいました。
海沿いを飛ばしまくっていたとき、誰もいないはずの対向車線から音が聞こえてくるんです。


キィィィィィ・・・ キィィィィィ・・・ キィィィィィ・・・ 


目を凝らしてみると、行き先に、老人が居ました。
乳母車のようなものを押しています。


昼間なら不思議じゃない光景です。
ただ、そのときの時刻は夜中の2時過ぎですよ。
いくら老人が早起きだといっても早すぎます。

正直言って、気味が悪かったです。
その存在に気づいたとき、鳥肌が立ちました。

・・一体、その手押し車の中には何があるの?
そして、こんな時間に何をしているの?


すれ違ったあとは逃げるように足を速めました。
おじいさんだったのかおばあさんだったのかすら分からずじまいでした。


そして、無事 <迷宮> 生口島を脱出。




▲ 橋の料金所にはカブトムシが居たりする。


【03:30 大三島】
 
多々良大橋という大きな橋を渡り、4番目の島、大三島を進みます。
ちなみに、ここからは愛媛県になります。
愛媛と言う文字を見るだけで元気が出る自分は、やっぱり地元大好き人間です。

2年前はここで仮眠を取りましたが、
今回は、一刻も早く家に帰らないと帰路が大変なことになるので、そのままこぎ続けました。
今のところ、休んだのは尾道でラーメンを食べたときだけですが、体力的にはまだ大丈夫でした。
というのも、自転車の性能差がこのあたりで顕著に現れてきていたんです。
前回はこのあたりではもう足を動かすのもしんどいというくらいになっていたのに、
今回は足の疲労自体はほとんど感じませんでした。

きついのは尻の痛みくらいで(笑

さすがロードバイクだなぁとしみじみ感慨にふけっていました。
十分にはその持ち味を活かせていないけど、やっぱり違うなって。


伯方の塩で有名な伯方島は、あっという間に抜けました。
カルビーには嫌われちゃった伯方の塩ですが、
サイクリングロードにも嫌われているのか、かなり短めに作られているんですよね。


【04:15 大島】

尾道から来たときに一番の関門となるのは大島だと思います。
というのも、距離が長い上にアップダウンがかなりきついんですよね。

もうそろそろ四国へ上陸させてくれと思っているところにこれですから、結構しんどいんです。
海沿いの道でなく、山道を走らされるのもその疲労の原因だと思います。

ただ、今回は肉体的疲労が小さかったので、それほど苦しまずにすっと通過できました。

【04:55 来島海峡大橋】

しまなみ街道最大の橋、来島海峡大橋に到達しました。
自転車歩行車道はここだけでなんと4kmもあります。

通るだけでも大変なこんな巨大な建造物、よく人は作り上げることができたもんだな・・と
今度は橋に対して不思議な感慨が湧いてきました。


今回、しまなみ街道は5時間で突破できました。


そして今治へ。

ここで、精神力が底をつきました。
というのも、今治市内を結構進んだ後に、松山まで48kmという標識があるんですよね。

あれは、きつい。

まだ50kmもいかなきゃならないのかと思うと、
速度も出せなくなり、それまで感じなかった肉体疲労が一気に来ました。

分かっていたことではありますが、分かっていても辛いことって、少なくありません。


ここからはほとんど何も感じずにひたすら足を動かし続けました。
尻の痛みが時間を追うごとに酷くなってきて、速度もどんどん落ちていきました。

応急処置として、ガムをかみつつ走行することにしました。
これが意外と功を奏して痛みを紛らわせることができました。


あとはひたすらこぎ続けました。


松山市内に入ったときにはもうぼろぼろでした。
補習にいくらしい女子高生の自転車に追い抜かれるような有様でした。

ただ、自分の家が近づくにつれて少しずつ精神力が回復してきて、
速度も出せるようになってきました。

愛光の近くまで来たので、6年間通った通学路をひさびさに通って帰りました。
最短距離だからと選んだ道でしたが、見通しの悪さと飛び出しの多さで最悪の通学路でした。
よくもまぁ、あんな道を飛ばしまくってて事故に遭わなかったものだと・・



【08:40 自宅】

ようやく家に帰りついたとき、庭に居た猫がお帰りを言いに寄ってきました。
猫が何を持って個人を識別しているのかが、昔から分かりません。
見た目は大分違ったはずだけど・・鋭いなぁ。


犬のほうは、ワンとひと吠えした後走り回って体当たりしてきました。
ストレートに気持ちを表現してくれると、やっぱりなんか嬉しいですね。

家族のほうも驚きはしましたが、せいぜいいつもの声のトーンの3割り増し、というところでした。

まぁ、僕の家族なのでそんなもんでしょう。



朝御飯を食べ、妹が持ってきた生物の問題に答え、シャワーを浴び、そのまま意識を失いました。

すぐに帰らないといけない旨を伝え、3時間後に起こしてくれと言って。
 

今回はここまでにしますが、本当の地獄は後半戦。
自宅から岡山までの道のりがあまりに過酷でした。



まぁ、それは気が向いたらまた今度。
(ここまでの走行距離、約205km 経過時間 14時間20分)

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4 コメント

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Unknown (oun)
2009-08-08 09:05:11
怪我、おれやん 笑
ようおぼえてんなぁ
おれも思い出してたら全く同じこと思ってたんやね 笑
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Unknown (じょにー)
2009-08-12 02:50:10
あのときは、本当にごめん。
ひどいけがさせてしまったよな・・
忘れるわけはないよ。
僕は人の痛みに鈍感な子供だった。


ところで、この夏は帰省するの?
かんがえてみたら、お互い携帯のアドレスすら知らんよなー
返信する
Unknown (oun)
2009-08-12 06:55:41
九月頃かな?今年はじじの初盆だったんだけど忙しくて帰れない。
そうはいっても帰らないわけにもいかないので九月に帰るとおもうよ。
アドレスはミクシーから送っておいてw
返信する
Unknown (ジョニー)
2009-08-18 00:34:41
>oun

結局、今回の帰省では誰とも会えなかった。
エミフル歩いてたら誰かとすれ違いそうなものなのになぁ。
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