時々鋭い質問をされることがあります。
たとえば、数学で平方根をやっているとき「先生、こんなの大人になってから使いませんよね。なんでこんなの勉強しなきゃいけないのですか?」といわれることがあります。
「何でこんなこと勉強するの?」と思えることはいろいろあると思います。先ほどの平方根だって、確かに実生活ではそんなに使うことはないでしょう。歴史だって知っていなくても生きてはいけます。
「何で勉強するの?」の答えはひとつではないと思います。
聞く人によって答えはさまざまでしょう。…将来の成功のため、自分の夢のため、自分の行きたい学校に入るため、などなどあるでしょう。 。
でも、将来のそういった夢がない人はどうしたらよいでしょうか。
夢がないとしてもしっかりやっておくべき理由があります。
中学そして普通科高校であれば、国、数、理、社、英の5科目を満遍なく学ぶことになります。そんなにやりたくもない科目を色々やらなければいけないなんてイヤだ、という声も聞こえてきそうですが。将来の方向性が決まっていない人にこそしっかり取り組んで欲しいところです。
それはなぜかというと、自分の将来の可能性を広げておくためです。
たとえ中学生の間に具体的な将来の夢が描けてなくても、高校生になってから見つかるかもしれません。そのときに、まんべんなく勉強しておいたならば、どの進路に進むことになっても、慌てなくてもすみます。
もしかしたら医者になりたいと思うかもしれません。数学や理科、英語は必須科目になりますが、もし好き嫌い言わず、きちんと勉強しておいたなら、基礎が身についているのでさほど慌てなくて良いでしょう。でも、理科は嫌いだから勉強しない、というスタンスできていたなら、どうなるでしょうか。慌てて勉強することになるか、最悪の場合、進路をあきらめることになるかもしれません。
または、自分は理数系だと思ってきていたが、歴史に興味を持つようになり、そちらの方面で進路を決めていきたいと思った場合はどうでしょうか。それまでに得意な理数しか勉強していなかったなら、取り戻すのに相当な労力が必要になるでしょう。
それで、平方根や歴史は今は役立つように思えないかもしれません。でも、将来の目標によっては、それらをベースとして知っておかなければ先に進めないものもあります。今は、「そんなものがいる様な方面には進まないから!」と思うかもしれません。でも自分がこれからどんな目標を選ぶかなんて誰にも分かりません。分からないからこそ、ちゃんと勉強して基本を知っておくのは今後のために有利なのです。
これらはあくまでひとつの考え方ですが、こんな風に、いつ自分の目指す目標に出会うか分からないのは事実です。そのときに、自分の選ぶ可能性を大きくしておくために、とりあえず、どの科目も基本的なことは身に着けておくよう、普段の勉強に取り組んでみるのはどうでしょうか。
ちなみに、高校での内容は、どの科目も中学のことが基礎になります。つまり、中学のことを知っているのが前提で高校では勉強が続いていきます。たとえば歴史などは、中学で覚えたことがかすんでしまうくらい、圧倒的な量の情報を学ぶことになります。だから、中学の勉強はおろそかにはできませんよ!
どの方向に自分が進むかわからないからこそ、そのときにどうにでも対応できるよう、きちんと勉強していきましょう!