アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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酷い言い草

2006年12月22日 01時05分19秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 「Dogma_and_prejudice」というブログがあります。昨日、ひょんな事から偶々その存在を知る事になりました。私の所と同じgooのブログです。リンク先から察するに、どうやら拉致板の様です。その中の下記記事が目に入りました。

・「拉致問題は右翼が扇動」? NYタイムズ紙が誤解生む記事(12月20日)
 http://blog.goo.ne.jp/sinji_ss/e/b33fde37e6d2c030f5581ad245c9c971

 当該記事は表題の通り、日本での拉致問題の取り上げられ方や「救う会」運動の現状を批判したNYタイムズ記事に対する反論です。但し、当該記事が私の目を引いたのはその部分ではなく、下記の後半部分の記述です。私の所でも取り上げたNHKのワーキング・プア特集番組の事が、そこでも取り上げられていたからです。

>昨日のNHK(12/19)は、「ワーキング・プア」の特集をしていました。正社員になれない母子家庭の母親が、子供二人を抱えて、昼夜二つの職場で、働きづめになっている姿をカメラが追っていました。「競争社会」について、「努力したものが報われる社会だ」などといった言説が、いかにいい加減なものかという事が、こういう番組を見るとよく分かります。<
>社会問題において、実際に困っている人の側からすれば、「〇〇問題を政治的に利用している」などという言説が、時として酷い言い草になるという事も論者は自覚すべきでしょう。<

 という文脈の中で、「Dogma_and_prejudice」子は、「拉致問題を右翼が政治的に利用している」という左翼や小泉派右翼(穏健保守)の言説に対して反論しているのです。

 私はこの記事を読んで、「救う会」シンパを、ホンの少しですが、見直しました。最近の「救う会」シンパというのはもう、北朝鮮・拉致問題に託けて、ヘイトスピーチを煽ったり自己責任論を垂れ流たりして、弱肉強食や新自由主義を露骨に肯定するような輩ばかりが幅を利かしていましたから。中には、三浦小太郎さんやsakochi2634さんの様に、そうでない人もいるし、山田文明さん(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会・代表)や木村晋介・川人博弁護士(拉致被害者救出に取り組む法律家の会)の様な左翼の人もいますが、そういう良識派はあくまで少数であって、大勢はあくまで「ヘイトスピーチ・弱肉強食」派だと思っていましたから。

 「社会問題において、実際に困っている人の側からすれば~」以下の言説も、こういう人が言ってこそ初めて、それなりの説得力を持つようになるのです。私なども、「ヘイトスピーチ・弱肉強食」的言説を憎む余り、ともすればこの様な打撃的な批判に傾きがちだったので、その事は自戒しなければと思います。

 しかしまた、そうであれば尚更、この事は当の「救う会」シンパにもまた跳ね返ってくるのではないでしょうか。「Dogma_and_prejudice」子は紹介記事の中では小泉派右翼(穏健保守)を主に槍玉に挙げていますが、私からすれば西村派右翼(過激保守)の下記言説も、その本質においては全く同じです。

・師走の国会周辺とタウンミーティング(西村真悟の時事通信)

>従って、仮にタウンミーティングを政府が主催して、発言者が次々と自由に出てきて活発なミーティングが終了すると考えていたとしたら、その担当者は現実を知らない馬鹿である。<
>従って仮にそう考えていれば、現実のタウンミーティングは、国会裏広場にいたプロ達によって牛耳られたであろう。そして、これは目指したタウンミーティングではなく、彼ら左翼プロによって偽装された国民集会となる。<
>従って、政府のミーティングの担当者が、左翼プロに牛耳られる前に、まんべんなく発言者が確保できるように根回ししたのは我が国の現状に鑑みれば無理もない措置であった。<
>つまり、「やらせ」の巧い左翼プロからタウンミーティングをまもる為の「やらせ」は必要であったのだ。<
 http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi

 政府の「やらせ」は、「左翼プロ」の「やらせ」からタウンミーティングをまもる為の必要悪であった―こういう事をこの輩は言っているのです。尤も、その後に「もとよりタウンミーティングの手法に賛同はしない」とかへったくれとか書いていますが、こんなものは煙幕にしか過ぎません。

 世論偽装という民主主義の根幹に関わる問題について、この御仁は一体どう考えているのでしょうか。
 世論の大多数が拙速改定反対・慎重審議を求めていた事、全国の公立小中学校校長の66%が教育基本法改悪に反対していた事、中央・地方公聴会でも与党推薦公述人からでさえ慎重審議を求める声が噴出していた事について、この御仁はどう考えているのでしょうか。
 そして何よりも、私が12月7日付記事で挙げた教育基本法改悪反対理由について、どう説明するのでしょうか。
 これらの疑問に対して、政府は何ら納得いく回答が出来ず、ことごとく答弁不能に陥っていた事実については、どう考えているのでしょうか。

 また西村真悟は、保守の国民新党が他の野党と教育基本法改悪反対で共闘している事の意味を、考えた事があるのでしょうか。国民新党の人たちと言うのは、元々は改憲や教育基本法改正に賛成の人たちです。しかし、今の様な「やらせ」や拙速審議の中では真摯な議論など出来ないという事で、今回の教育基本法改悪には反対しているのです。

 これら全ての疑問に対して、この御仁は「左翼プロ」の一言で全て切って捨てているのです。しかし、「教育基本法改悪反対運動の背後には左翼がいて、倒閣運動に利用している」というこの言い分こそ、「拉致家族支援運動の背後には右翼がいて、拉致を倒閣運動に利用している」という穏健保守の言い分と全く同じではないですか。「社会問題において、実際に困っている人の側からすれば、「〇〇問題を政治的に利用している」などという言説が、時として酷い言い草になるという」という言葉は、そっくりそのままこの御仁にも返ってくる言葉ではないでしょうか。

 また「救う会」運動は、それまでの与野党政治家による「拉致問題の切捨て」に激しく反発し、その結果「家族会バッシング」にも遭いました。しかし、同じ様に国家権力や強者から虐げられているその他の人々、例えばイラクの日本人拉致被害者に対して、どの様な態度を取ったでしょうか。当時の拉致板界隈でどういう「酷い言い草」が展開されたのか、よもや知らないとは言わせません。

 私は「救う会」運動に対して、何も我々の「左翼的」主張に同調しろと言っているのでは、決してありません。そんな事など誰も望んではいません。彼の運動が国防や愛国心教育重視の主張に傾いていくのは、私はその主張には賛同しませんが、彼らの拉致問題解決の論理からすれば、寧ろ当然の帰結です。

 しかし、今回の教育基本法改定劇やかつてのイラク日本人人質拉致事件についてコメントする以上は、当該事件の中で惹起された不条理やデタラメぶりに対しては、たとえそういう側からであったとしても、上記の国民新党やイラク日本人人質への横田夫妻のメッセージの様なアプローチがあって然るべきではないでしょうか。それを、幾ら何でも「左翼プロ」や「イラク3バカ」呼ばわりは、余りに醜い言い草ではないでしょうか。運動者としてそんなアプローチしか出来ないのなら、最初から最後まで何もコメントしない方がよっぽどマシです。

 この様に、イデオロギー云々以前の「運動者としての誠実さ」や「他の弱者へのいたわりや不正義への義憤」と言ったものが、彼の運動からは殆ど感じられないのです。「俺たちは国の主権を守る運動をやっている特別な存在だ」という、他の弱者や大衆運動を見下した様な鼻持ちならない選民意識や、『「左翼に政治的実権を絶対に与えてはいけない」という考えが根本にあるようです。そこから、「政府・自民党を絶対に守らなければいけない」という発想になり、「政府・自民党に都合の悪い事実」に対しては、見ない振り、聞かない振りを続け、「政府・自民党に都合の悪い主張」に対しては、激しく反論』(「Dogma_and_prejudice」の前述の記事より)する意志は強く感じられても。「救う会」運動の関係者は、この事について今一度考え直してみる必要があるのではないでしょうか。
コメント (5)
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