先日、知人から頼まれて、仕事帰りに「明るい民主府政をつくる会」のビラを近所に撒いてきました。そのビラというのは、橋下・大阪府政の財政再建案「大阪維新プログラム」を批判したものです。
ビラは両面刷りで、表には、「維新プログラム」の内容が、「(国や大企業などの)うるさいところは素通りして、ものを言いやすいところに負担増を求め」る印象を与えるものである(片山・前鳥取県知事の感想)事を、私学授業料助成削減や医療費助成削減、府立高校教務事務補助員の雇い止めなどの具体例を挙げて、説明しています。そして裏面には、府の財政赤字が、それまでの歴代オール与党時代の乱開発や乱脈予算、国の交付金削減によって生まれた事を指摘し、そのツケを府民に擦り付けるのではなく、暮らし支援策で府民の懐を暖めてこそ始めて、大阪経済の活性化や財政再建も軌道に乗ると、主張しています。
・明るい民主府政をつくる会のビラが発行されました。(共産党大阪府委員会)
※当該ビラのダウンロードのページに飛ぶ事が出来ます。
http://www.jcp-osaka.jp/2008/06/post_472.html
私も、基本的にはこのビラの内容と同じ意見です。そもそも、大阪府が5兆円もの借金を抱え込む事になったのは、関空2期工事(1140億円)やりんくうタウン(1789億円)、安威川ダム(390億円)、国際文化公園都市(彩都)建設(312億円)、箕面森町開発(160億円)などのゼネコン事業に入れ込みすぎたからではないですか。それで、関西財界だけ潤わせる一方で、「府民総懺悔」に話を摩り替えて、私学授業料助成の削減(年間6~7万円の値上げ)やら府立高校非常勤事務員の雇い止め(350名解雇)やらで、府民に責任転嫁するとは、やる事が余りにもせこ過ぎます。
数日前の府職員労組との徹夜団交でも、「私たちの首より(御堂筋ライトアップなどの)イルミネーションの方が大事なのか」という声が、職員から飛び出しましたが、あの知事にとっては、労働者や府民の生活権・生存権よりも、自身の人気取りの方が大事なのでしょう。
・橋下大阪府知事:財政再建目指す大阪維新プログラム案発表(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080606k0000m010001000c.html
・橋下知事が「大阪維新プログラム案」発表(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080605/lcl0806051657005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080605/lcl0806051657005-n2.htm
・『大阪維新』プログラム(案)(大阪府庁HP)
http://www.pref.osaka.jp/kikaku/ishin/ishin_index.html
・橋下知事、労組と徹夜バトル 怒号も 人件費削減案巡り(朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/08002/OSK200806210069.html
・橋下知事へ「府職員も大阪府民やで!人件費カットで誰が笑えるねん!ほんまに大阪がよくなること考えて行動してや!」(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/area/0806/0806038608/1.php
しかし、それにも関わらず、橋下知事の人気はすごいのも、また事実です。この前の府知事選以降、橋下府政についてどう思うか、何人かの方と話したりしているのですが、とにかく「捨て身である」とか「何かやってくれるだろう」というイメージで、知事を支持したり好感を抱く人が、結構居るのです。私に言わせれば、やろうとしている事の中身を深く考えもせずに、マスコミに煽られるがままに、「捨て身で何かやってくれさえすれば何でも好し」というのであれば、もうワイマール時代のヒットラーと全く同じじゃないかと思うのですが。小泉再登板待望論が依然として根強い事とも関わりますが、これだけ格差社会で痛めつけられても、まだ身に沁みて分からない人が、まだまだ居るのか、と。
・橋下知事の支持率82% 過去最高に-産経新聞社ネットアンケート(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080612/lcl0806122236007-n1.htm
ただ、これは府職員労組の方にも、私は問題があると思います。何故、少なくない大阪府民が、橋下知事の方により親近感を持ち、労組には思いの外冷淡なのか。それは、単に府の幹部公務員・高級官僚だけでなく、労組員も含めた府職員全体が、大なり小なり公務員としての特権のお零れに預かってきたのを、府民が鋭く感じ取っているからではないでしょうか。
実際、過去に私が生協労組の分会長として、労働学校開講やら春闘決起集会やらで、近隣の公務員労組との取り組みを進めた時にも、こんな事がありましたから。何かのイベントで、開始時間を17時半にするか18時半にするかで、意見が分かれた事がありました。私たち生協労組の方は、「17時半なんて早い時間では誰も参加できない」と言ったのに対して、公務員労組の方は「18時半ではみんな帰ってしまって誰も来ない」という返事でした。
確かに、1日8時間労働の基準からすれば、「17時半なんて早い時間では」云々という事自体が、本来はおかしな話なのです。しかし、私たちからすれば、18時半の参加すら大変なのですから、「労組員が自分たちの権利を守る為のイベントに参加する時ぐらい、たかが18時半ぐらいまで何故待てないのか」「それまでの1時間ぐらい、どこか喫茶店で時間を潰すなりすれば、済む話じゃないか」「少しは私たちの事も考えてくれよ」と、愚痴の一つも言いたくなったのを、覚えています。
天下りなどの甘い汁を吸うのは、高級官僚などの非労組員です。それに対して、非常勤職員などは最低賃金ぎりぎりの時給で、「官製ワーキングプア」とも言うべき状況が広がっています。実際、過去に某市役所の非常勤職員の求人に応募してみて、月収10万円前後の低待遇ぶりに唖然とした事がありました。某ウヨク・エンタメ雑誌が盛んに喧伝している「給食のおばさんや市営バス運転手の年収が1千万」云々という話も、そういう「官製ワーキングプア」の状況には頬かむりし、それとは対極の一部事例を針小棒大に取り上げただけの、意図的な世論操作である事も知っています。
しかし、職員労組の方も、非常勤職員の「官製ワーキングプア」の状況に対して、「あれは上の幹部たちが決めた人事政策で、自分たちには口出しできない事だ」「とりあえずは自分たち労組員の地位は安泰なのだから、それで良しとしよう」と、口出し出来ない事を格好の口実にして、民間大企業の企業内労組と同じ様に、そういう問題から長い間、目を背けてきたのではないでしょうか。そうでなければ、お膝元の職場で、これだけ非正規雇用が蔓延る筈がありません。
それを今頃になって、何が「非正規職員との連帯」か、そういう事を言っている職員も口先だけで、やがて昇進して非労組員になれば、掌を返すように天下りや官官接待に現を抜かす様になるんじゃないか。―橋下知事や石原都知事、小泉元首相への「根強い期待感」も、ひょっとしたら、そういう気分の現れじゃないでしょうか。
この事を次の事例に準えてみれば、よく分かります。「水俣病を引き起こしたのはチッソ資本であって、チッソの労働者ではない」「自民党政権は北朝鮮・拉致問題を政権浮揚策に利用している」―なるほど、言っている事は確かにその通りです。しかし、そういう主張も、チッソの労働者や左派・リベラル系の人々が、水俣病患者や北朝鮮・拉致の問題を、自分の身に引いて捉えられる事が出来て、初めて説得力を持ち得るのです。そうでなければ、赤木智弘が「丸山眞男をひっぱたきたい。希望は戦争」で書いた様に、「公務員や正社員も、官僚や経営者と同様に、非正規労働者の敵」でしかありません。
尚、此処で言う「自分の身に引く」とは、何も相手のイデオロギーに同化してしまう事ではありません。たとえ拠って立つ立場や具体的な方法論は違っても、最低限、被害者の思いや苦悩に思いをはせ、それを自分自身の解放の課題と重ね合わせる事が出来るか、という事です。ソウル・フラワー・ユニオンが9条世界会議で「バグダッドやオキナワ、チベットやノース・コリアからも、民衆は自由を目指す」と歌ったのと、同じ立場で。
だからこそ、大阪府の職員労組には、敢えて次の事を求めたいと思います。相対的にはまだマシな正規職員の待遇引き上げは一旦脇においても(これは別に放棄しろという意味ではありません)、何はさて置いても、一番酷い状況に置かれている「官製ワーキングプア」の雇い止め阻止に全力を注ぐ。そうしてこそ初めて、非正規労働者やワーキングプアとの連帯が、言葉だけでなく現実のものとなって、橋下府政の暴走に待ったをかける事が出来るのではないでしょうか。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ということわざもあるが如く。
これは、何も主流派の連合系労組だけに限って、言っているのではありません。職場で冷や飯を託ってきた非主流の全労連・全労協系労組にも言えることです。非正規雇用の低待遇を許してきた責任は、どちらにもあるのですから。勿論、今までオール与党と結託して一緒に甘い汁を吸ってきた前者の方に、より重い責任がある事は、言うまでもありませんが。
そうしてこそ初めて、橋下「大阪維新プログラム」の本質が、所詮は「勝ち組の勝手し放題のツケを負け組に押し付ける」ものでしかない事が、余すことなく暴き出されるのです。年収数千万円も得ながら、「サラ金顧問弁護士時代の年収3億円よりは少ない」とうそぶき、年収100万円余の非正規職員に財政赤字の責任を擦り付けて恥じない事の異常さを、分かりやすい形で示す事が出来るのです。
そして、米軍の思いやり予算や厚木機能の岩国移転に対して、「国策には逆らうな」との給う橋下知事の態度こそが、日本の財政赤字の真の原因の一つを隠蔽するものでしかない事も。また、光市母子殺害事件についても、徒に被告個人や弁護団をバッシングする事にのみ終始し、その背景となった「家庭内暴力・虐待の親から子への連鎖」が、格差・競争社会によって生み出されたものである(つまり秋葉原通り魔殺人事件にも通ずるものである)事に、全く思い至らない単眼ぶりについても。更に、知事の進める道州制導入への地ならしや学区制撤廃・エリート進学校育成などの、目先の数字・効率のみ追求する姿勢が、最終的には地方自治を根底から破壊し、州都とその周辺以外を全てスラムやシャッター街や限界集落に変え、学校現場の荒廃を更に押し広げるものでしかない事も。それらの事例を通して初めて、「橋下府政そのものが最大のムダ」である事を、分かりやすく示す事が出来るのです。
ビラは両面刷りで、表には、「維新プログラム」の内容が、「(国や大企業などの)うるさいところは素通りして、ものを言いやすいところに負担増を求め」る印象を与えるものである(片山・前鳥取県知事の感想)事を、私学授業料助成削減や医療費助成削減、府立高校教務事務補助員の雇い止めなどの具体例を挙げて、説明しています。そして裏面には、府の財政赤字が、それまでの歴代オール与党時代の乱開発や乱脈予算、国の交付金削減によって生まれた事を指摘し、そのツケを府民に擦り付けるのではなく、暮らし支援策で府民の懐を暖めてこそ始めて、大阪経済の活性化や財政再建も軌道に乗ると、主張しています。
・明るい民主府政をつくる会のビラが発行されました。(共産党大阪府委員会)
※当該ビラのダウンロードのページに飛ぶ事が出来ます。
http://www.jcp-osaka.jp/2008/06/post_472.html
私も、基本的にはこのビラの内容と同じ意見です。そもそも、大阪府が5兆円もの借金を抱え込む事になったのは、関空2期工事(1140億円)やりんくうタウン(1789億円)、安威川ダム(390億円)、国際文化公園都市(彩都)建設(312億円)、箕面森町開発(160億円)などのゼネコン事業に入れ込みすぎたからではないですか。それで、関西財界だけ潤わせる一方で、「府民総懺悔」に話を摩り替えて、私学授業料助成の削減(年間6~7万円の値上げ)やら府立高校非常勤事務員の雇い止め(350名解雇)やらで、府民に責任転嫁するとは、やる事が余りにもせこ過ぎます。
数日前の府職員労組との徹夜団交でも、「私たちの首より(御堂筋ライトアップなどの)イルミネーションの方が大事なのか」という声が、職員から飛び出しましたが、あの知事にとっては、労働者や府民の生活権・生存権よりも、自身の人気取りの方が大事なのでしょう。
・橋下大阪府知事:財政再建目指す大阪維新プログラム案発表(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080606k0000m010001000c.html
・橋下知事が「大阪維新プログラム案」発表(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080605/lcl0806051657005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080605/lcl0806051657005-n2.htm
・『大阪維新』プログラム(案)(大阪府庁HP)
http://www.pref.osaka.jp/kikaku/ishin/ishin_index.html
・橋下知事、労組と徹夜バトル 怒号も 人件費削減案巡り(朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/08002/OSK200806210069.html
・橋下知事へ「府職員も大阪府民やで!人件費カットで誰が笑えるねん!ほんまに大阪がよくなること考えて行動してや!」(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/area/0806/0806038608/1.php
しかし、それにも関わらず、橋下知事の人気はすごいのも、また事実です。この前の府知事選以降、橋下府政についてどう思うか、何人かの方と話したりしているのですが、とにかく「捨て身である」とか「何かやってくれるだろう」というイメージで、知事を支持したり好感を抱く人が、結構居るのです。私に言わせれば、やろうとしている事の中身を深く考えもせずに、マスコミに煽られるがままに、「捨て身で何かやってくれさえすれば何でも好し」というのであれば、もうワイマール時代のヒットラーと全く同じじゃないかと思うのですが。小泉再登板待望論が依然として根強い事とも関わりますが、これだけ格差社会で痛めつけられても、まだ身に沁みて分からない人が、まだまだ居るのか、と。
・橋下知事の支持率82% 過去最高に-産経新聞社ネットアンケート(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080612/lcl0806122236007-n1.htm
ただ、これは府職員労組の方にも、私は問題があると思います。何故、少なくない大阪府民が、橋下知事の方により親近感を持ち、労組には思いの外冷淡なのか。それは、単に府の幹部公務員・高級官僚だけでなく、労組員も含めた府職員全体が、大なり小なり公務員としての特権のお零れに預かってきたのを、府民が鋭く感じ取っているからではないでしょうか。
実際、過去に私が生協労組の分会長として、労働学校開講やら春闘決起集会やらで、近隣の公務員労組との取り組みを進めた時にも、こんな事がありましたから。何かのイベントで、開始時間を17時半にするか18時半にするかで、意見が分かれた事がありました。私たち生協労組の方は、「17時半なんて早い時間では誰も参加できない」と言ったのに対して、公務員労組の方は「18時半ではみんな帰ってしまって誰も来ない」という返事でした。
確かに、1日8時間労働の基準からすれば、「17時半なんて早い時間では」云々という事自体が、本来はおかしな話なのです。しかし、私たちからすれば、18時半の参加すら大変なのですから、「労組員が自分たちの権利を守る為のイベントに参加する時ぐらい、たかが18時半ぐらいまで何故待てないのか」「それまでの1時間ぐらい、どこか喫茶店で時間を潰すなりすれば、済む話じゃないか」「少しは私たちの事も考えてくれよ」と、愚痴の一つも言いたくなったのを、覚えています。
天下りなどの甘い汁を吸うのは、高級官僚などの非労組員です。それに対して、非常勤職員などは最低賃金ぎりぎりの時給で、「官製ワーキングプア」とも言うべき状況が広がっています。実際、過去に某市役所の非常勤職員の求人に応募してみて、月収10万円前後の低待遇ぶりに唖然とした事がありました。某ウヨク・エンタメ雑誌が盛んに喧伝している「給食のおばさんや市営バス運転手の年収が1千万」云々という話も、そういう「官製ワーキングプア」の状況には頬かむりし、それとは対極の一部事例を針小棒大に取り上げただけの、意図的な世論操作である事も知っています。
しかし、職員労組の方も、非常勤職員の「官製ワーキングプア」の状況に対して、「あれは上の幹部たちが決めた人事政策で、自分たちには口出しできない事だ」「とりあえずは自分たち労組員の地位は安泰なのだから、それで良しとしよう」と、口出し出来ない事を格好の口実にして、民間大企業の企業内労組と同じ様に、そういう問題から長い間、目を背けてきたのではないでしょうか。そうでなければ、お膝元の職場で、これだけ非正規雇用が蔓延る筈がありません。
それを今頃になって、何が「非正規職員との連帯」か、そういう事を言っている職員も口先だけで、やがて昇進して非労組員になれば、掌を返すように天下りや官官接待に現を抜かす様になるんじゃないか。―橋下知事や石原都知事、小泉元首相への「根強い期待感」も、ひょっとしたら、そういう気分の現れじゃないでしょうか。
この事を次の事例に準えてみれば、よく分かります。「水俣病を引き起こしたのはチッソ資本であって、チッソの労働者ではない」「自民党政権は北朝鮮・拉致問題を政権浮揚策に利用している」―なるほど、言っている事は確かにその通りです。しかし、そういう主張も、チッソの労働者や左派・リベラル系の人々が、水俣病患者や北朝鮮・拉致の問題を、自分の身に引いて捉えられる事が出来て、初めて説得力を持ち得るのです。そうでなければ、赤木智弘が「丸山眞男をひっぱたきたい。希望は戦争」で書いた様に、「公務員や正社員も、官僚や経営者と同様に、非正規労働者の敵」でしかありません。
尚、此処で言う「自分の身に引く」とは、何も相手のイデオロギーに同化してしまう事ではありません。たとえ拠って立つ立場や具体的な方法論は違っても、最低限、被害者の思いや苦悩に思いをはせ、それを自分自身の解放の課題と重ね合わせる事が出来るか、という事です。ソウル・フラワー・ユニオンが9条世界会議で「バグダッドやオキナワ、チベットやノース・コリアからも、民衆は自由を目指す」と歌ったのと、同じ立場で。
だからこそ、大阪府の職員労組には、敢えて次の事を求めたいと思います。相対的にはまだマシな正規職員の待遇引き上げは一旦脇においても(これは別に放棄しろという意味ではありません)、何はさて置いても、一番酷い状況に置かれている「官製ワーキングプア」の雇い止め阻止に全力を注ぐ。そうしてこそ初めて、非正規労働者やワーキングプアとの連帯が、言葉だけでなく現実のものとなって、橋下府政の暴走に待ったをかける事が出来るのではないでしょうか。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ということわざもあるが如く。
これは、何も主流派の連合系労組だけに限って、言っているのではありません。職場で冷や飯を託ってきた非主流の全労連・全労協系労組にも言えることです。非正規雇用の低待遇を許してきた責任は、どちらにもあるのですから。勿論、今までオール与党と結託して一緒に甘い汁を吸ってきた前者の方に、より重い責任がある事は、言うまでもありませんが。
そうしてこそ初めて、橋下「大阪維新プログラム」の本質が、所詮は「勝ち組の勝手し放題のツケを負け組に押し付ける」ものでしかない事が、余すことなく暴き出されるのです。年収数千万円も得ながら、「サラ金顧問弁護士時代の年収3億円よりは少ない」とうそぶき、年収100万円余の非正規職員に財政赤字の責任を擦り付けて恥じない事の異常さを、分かりやすい形で示す事が出来るのです。
そして、米軍の思いやり予算や厚木機能の岩国移転に対して、「国策には逆らうな」との給う橋下知事の態度こそが、日本の財政赤字の真の原因の一つを隠蔽するものでしかない事も。また、光市母子殺害事件についても、徒に被告個人や弁護団をバッシングする事にのみ終始し、その背景となった「家庭内暴力・虐待の親から子への連鎖」が、格差・競争社会によって生み出されたものである(つまり秋葉原通り魔殺人事件にも通ずるものである)事に、全く思い至らない単眼ぶりについても。更に、知事の進める道州制導入への地ならしや学区制撤廃・エリート進学校育成などの、目先の数字・効率のみ追求する姿勢が、最終的には地方自治を根底から破壊し、州都とその周辺以外を全てスラムやシャッター街や限界集落に変え、学校現場の荒廃を更に押し広げるものでしかない事も。それらの事例を通して初めて、「橋下府政そのものが最大のムダ」である事を、分かりやすく示す事が出来るのです。