派遣会社と産経新聞社に車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフで殺します。みんなさようなら・・・というのは、勿論ウソですw。しかし、下記の「労働者派遣制度に関するJSGUの考え方」とかいう文書を読むと、「こいつ等にはもう、それくらい言ってやらないと分からないのでは?」という気にもなります。
>昨今、労働者派遣制度をめぐり、一面的な見方により諸悪の根源であるかのような議論がされています。派遣の実態について誤った認識の下、そのような議論をされていることは遺憾であり、人材派遣業界の将来が危ぶまれると危機感でいっぱいです。
http://www.jsgu.org/index.html
>このところ格差社会を論じる際に、間接雇用である派遣がその元凶であるという意見がたびたび出てきます。私たちは、マスコミや一部の労働界、政党から出されている、派遣イコール「ワーキング・プア」、派遣イコール「不本意な働き方」という見方には強く違和感を覚えます。
>組合員の話を聞き、さらに厚生労働省の調査結果をみると、こうした見方が一方的であることが浮かび上がってきます。間接雇用であるがために「不安定である」、「かわいそう」、「ひどい働き方だ」などといわれ、信念・プライドをもって派遣労働者として働く仲間は傷ついています。職業選択の自由の下、間接雇用も直接雇用も同等に「労働」であることの評価がされるべきです。
>たしかに、労働者派遣制度にはいくつかの問題があるものの、①雇用契約2ヶ月以下の登録型派遣の禁止、②日雇派遣の禁止については、JSGUは反対します。
http://www.jsgu.org/pointofview.html
まず、JSGU(人材サービスゼネラルユニオン)についてですが、連合系・UIゼンセン同盟傘下の、派遣社員の「労働組合」との事です。流石はUIゼンセン、「お国の為に血を流せ」の産業報国会―民社党・同盟系主流の流れを引き、今も9条改憲実現を堂々と掲げる「労組」だけあります。その「資本の下僕」ぶりは大したもの。但しここ数年は、新自由主義の余りの暴走ぶりを前にして、少し労働者寄りになりつつある様ですが。
HPによると、当該「労組」は正社員だけでなく派遣ワーカーも組織しているそうですが、それも俄かには信じかねますね。そもそも、派遣ワーカーは大多数が未組織労働者で、凡そ組合とは縁のない所で生きています。但し、そう言えば、以前私が働いていた現場にも、確かに請負会社の正社員だけの労組がありました。JSGU加盟ではありませんが、同じ連合系です。名前だけで殆ど活動していない所謂「イベント組合」で、組合費も会社持ちだと聞いていた。JSGUも、多分そんな口でしょう。大方、ガテン系連帯やフリーター全般労組、地域の合同労組などに対抗して、会社が先回りしてこしらえた「第二組合」と捉えても、当たらずとも遠からじ、といった所かと。
そして、「厚生労働省の調査結果」云々ともありますが、「後期高齢者医療制度で大多数は負担が軽くなる」なんて大嘘を平気でつく役所の言うことなど、誰がまともに信じますか。この手の調査にしても、常用フリーターも平気で正社員に分類していたり、かなり恣意的なものですから。
仮に「正社員よりも派遣の方を望む」という意見があったとしても、その大半は「正社員も過労死やパワハラがあって、フリーターに負けず劣らず過酷なので、それならもう今のままで辛抱するか」という諦めの心境でしかない。正社員・フリーター問わず、そういう働かされ方を強いられている事こそが問題であるのに、それを一切問わずに、「正社員かフリーターか」なんて聞く方が野暮というもの。
それでは聞くが、先日の秋葉原通り魔事件に際しても、下記の様な意見が、当の派遣・請負労働者やワーキングプアの間から、何故かくも多く寄せられるのか。
>やってほしいことを、やってほしい場所でやってくれた!という感じ
>よくやったな、よくぞやってくれた!(中略)あれを悪いといえる人は、きっといい家族がいて満ち足りているんだろうな(中略)人生で何度も解雇されるって派遣しかない
>日陰で生きる人間も「やればやれる」という勇気をくれた事件だと思う
>(事件で亡くなった)被害者はかわいそうだけど、閉塞を脱出しなかったら加藤はずっと被害者のままだった(中略)自分も今の職場でのいじめが続き、親がいなければやりかねない
>ともかく、生き抜け。時代の潮目も変化してきている。命落とすな、自民落とせ!
>「搾取」という名の妖怪が日本社会を歩き回っている。カール・マルクスが『資本論』の中で唱えた言葉が、21世紀になって再びよみがえってきた。秋葉原無差別殺傷事件の一つの引き金になった派遣社員制度である。
>経団連や派遣各社にテロ起こせば日本を救えます:2008/06/23(月) 01:27:19
(以上、週刊「SPA!」7月1日号「自称・アキバ通り魔予備軍たちの告白」、2ch「派遣労働の闇」板より)
http://spa.fusosha.co.jp/weekly/ent_4447.php
http://money6.2ch.net/test/read.cgi/eco/1135945297/
事件加害者の加藤容疑者自身が、日研総業(この会社はとかく悪名高く、ネットで検索すれば幾らでも出てくる)の派遣社員として、トヨタ系列の関東自動車工業(このメーカーも前者と同様)東富士工場で、働き始めてから僅か数ヶ月で、いきなり解雇通知書の紙切れ一枚で雇い止めされて、それが事件の引き金になったのではないですか。当人には後で「雇い止めの延期」が申し渡されたそうですが、それもあくまで数日間かの猶予にしか過ぎなかっただけで。下記の資料を見ると、JSGUの主張とは裏腹に、「不安定で、ひどい、不本意な働き方」そのものではありませんか。
・秋葉原事件の背景には「残酷な派遣労働」があった(You Tube)
http://jp.youtube.com/watch?v=FFCeapLpPnc
・関東自動車へ申し入れに行きました。(ガテン系連帯)
http://gatenkei2006.blog81.fc2.com/blog-entry-164.html
・ガテン系連帯、秋葉原事件で関東自動車工業へ申し入れ(ユニオン・チューブ)
http://video.labornetjp.org/Members/akira/videos/mousiire.wmv/view
しかも、JSGUは、今あちこちで問題になっている「登録型・日雇派遣の禁止すらも反対である」というに至っては、「こいつら、本当に労働組合か?」という根本的な疑念すら抱かざるを得ません。JSGUの言い分とは裏腹に、「労働者派遣制度は諸悪の根源」です。戦前の「蟹工船」や現代の「原発ジプシー」「日雇い人夫出し」そのものです。私も、過去派遣ワーカーとして、今も請負ワーカーとして、それを毎日実感しています。
過去に私が派遣ワーカーだった時も、嫌な経験をしました。確か、偽装請負で派遣された先が青果市場で、そこで輸入バナナの選別の仕事をしていた時です。私たちに作業指示を下すべき請負会社の人間(社員かバイトかは不明)が、ロクスッポ指示もせず私たち派遣ワーカーを放置しておきながら、仕方なく壁にもたれていたら、そいつは我々に向かって「立っとらんかい!」と怒鳴りやがった。
その挙句に、二週間で解雇です。それも当日いきなり送迎のバンが来なくなり、派遣会社に電話したら最初は「燻蒸作業があるので今日は臨時休業になった」とウソを付かれ、二日目には「我々としても困っているんです、貴方の方で別に職を探すというのであれば、それも致し方ないですね」と、まるで自分たちが被害者であるかの様な口ぶりで言われた時には、もう開いた口が塞がらなかった。
そして、今の職場では請負ワーカーとして、日払い派遣ワーカーに作業指示を出しています。私も派遣ワーカーだった時期があるだけに、出来るだけ「おい、そこの派遣の君」ではなく名前で呼ぶようにしていますが、そう毎日入れ替わり立ち替わりで来られると、顔と名前を覚えるだけでも大変です。
仕事も、単に「ここにある商品を分ける」「このカゴ車をあそこに持っていく」とかだけでなく、どんな作業にもそれぞれに意味や前後工程との関連がある訳ですが、そんな事を現場で、いきなり来られて今日一日だけ仕事して帰る人に、自分も同じ様に仕事に追われる中で、きちんと説明など出来る筈が無く。それでもミスや怪我はさせられないので、構内施設や作業の名称すら知らない人を相手に、「これはこうするんや!」という形で、最低限の説明だけして、何とか仕事を回しています。しかし、こんな扱われ方では、する方もされる方も、堪ったものではないでしょうね。職場が次第にギスギスしてくるのが、手に取る様に分かります。そんな中で、また森みたいな事をされたら、今度こそ私も何するか分かりません。
そんな働き方(働かされ方)を強いられて、一体どこが「信念・プライドをもって」働けるというのですか。「派遣・請負という働き方を望む人もいる」のも、大多数の人は、過酷な境遇は正社員も似たり寄ったりだったり、低賃金でそれだけでは食べていけないから、仕方なく派遣・請負労働に甘んじているだけの話なのです。確かに、えり好みさえしなければ、正社員の口も、在るには在ります。しかし、それらはいずれも大半が、悪徳商法の詐欺営業か、フリーター以上に使い捨てかの、碌でもない求人ばかりなのです。
その辺の事情は、米国のワーキングプアが、食い詰めてイラク派兵に「志願」せざるを得ないのとも、非常によく似ています。しかし、そんな状況でも「需要がある」の一語で以って正当化されるのであれば、闇金や麻薬取引ですら、大手を振ってまかり通ってしまいます。「人の足元を見透かして、いい加減な事を言うな」と言いたい。
勿論、グッドウィルなどの個々の悪徳派遣会社を、「臭いものに蓋、トカゲのしっぽ切り」宜しく、廃業に追い込むだけで、それで事足れりとする国の姿勢は、徹底的に糾弾されなければなりません。住専・銀行・ゼネコンにではなく、グッドウィル廃業で失業した日払いワーカーの救済にこそ、公的資金が投入されるべきです。
但し、先のJSGUの幹部連中の様な労働貴族については、「自業自得」という他ないですね。今頃になってやっと「グッドウィルに騙された」とか騒いでいる様ですが、何をか況やです。それまで会社と一緒になって、派遣ワーカー賃金ピンハネのお零れに預かってきたくせに、被害者面すんなと言いたい。まあ、それでも同じ労働者である以上は、助けてやらない事もないですが、それも、それまで自分たちが言ってきた事・してきた事について、きちんと自己批判して初めて言える事です。
また、この問題は、単に「正社員・直雇用か、派遣・請負か」の単純な二者択一でもありません。交通量調査の様な、本当に臨時・自己完結・単一労働の「やっつけ仕事」については、派遣でも一向に構わないのですから。或いは、トヨタの期間工の様に、直接雇用であっても非人間的な労働もある。問題はそんな所にあるのではなく、直接雇用であれ間接雇用であれ、「人間扱いされているか、モノの様に扱われていないか」という事が問われているのです。そうして見た場合、日々の昼食にも事欠いて、カップラーメンや無食で凌がなければならない様な、今の派遣・請負労働については、お世辞にも「人間的」であるとは、到底言えません。
この秋葉原通り魔事件については、下記のブログでも紹介されている様に、昨今の格差社会が微妙に影を落としています。勿論、その中でも加藤容疑者の様にならずに、頑張っているワーキングプアの人も大勢居ます。彼のやった事は到底許される事ではありません。第二・第三の彼を生まない為にも、「何故、彼にはそれが出来なかったのか」という彼個人の弱さ・甘さや、彼のみならず私自身自身の中にも潜む「弱者の暴力性・差別性」「無差別テロへの衝動」についても、批判的立場からきちんと見ていかなければ、事件の全体像は掴んだことにはなりません。
その中にあって、最後に紹介した産経新聞の記事だけは、相変わらず事件を容疑者個人の特異性だけの問題に貶めて(つまり光市母子殺害事件と同様の手口で)、ナイフ所持規制の是非といった方向に世論を誘導しようと、躍起となっているのが、もう見え見えで。いくらナイフ所持を規制しても、犯罪の土壌となる社会的閉塞感・不公平感や、現実の経済格差が解消される方向に向かわない限り、犯罪は減りません。そんな報道ばかりしていると、いつか最後には産経新聞も、「この御用新聞が!」という事で、「第二・第三の加藤」の標的にされてしまうでしょう。明治時代の日比谷焼き打ち事件や、大正時代の米騒動の時の様に。
・久々にマスコミに感謝!(秋葉原通り魔事件関連記事)(ワンダバステーション・日記帳)
http://blogs.yahoo.co.jp/wandaba_station/55549185.html
・NHKスペシャル「追跡・秋葉原通り魔事件」 - 本田由紀の正論解説(世に倦む日日)
http://critic5.exblog.jp/8848401/
・秋葉原無差別殺傷 25歳どう見る 「共感できない」(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080612-00000087-san-soci&kz=soci
>昨今、労働者派遣制度をめぐり、一面的な見方により諸悪の根源であるかのような議論がされています。派遣の実態について誤った認識の下、そのような議論をされていることは遺憾であり、人材派遣業界の将来が危ぶまれると危機感でいっぱいです。
http://www.jsgu.org/index.html
>このところ格差社会を論じる際に、間接雇用である派遣がその元凶であるという意見がたびたび出てきます。私たちは、マスコミや一部の労働界、政党から出されている、派遣イコール「ワーキング・プア」、派遣イコール「不本意な働き方」という見方には強く違和感を覚えます。
>組合員の話を聞き、さらに厚生労働省の調査結果をみると、こうした見方が一方的であることが浮かび上がってきます。間接雇用であるがために「不安定である」、「かわいそう」、「ひどい働き方だ」などといわれ、信念・プライドをもって派遣労働者として働く仲間は傷ついています。職業選択の自由の下、間接雇用も直接雇用も同等に「労働」であることの評価がされるべきです。
>たしかに、労働者派遣制度にはいくつかの問題があるものの、①雇用契約2ヶ月以下の登録型派遣の禁止、②日雇派遣の禁止については、JSGUは反対します。
http://www.jsgu.org/pointofview.html
まず、JSGU(人材サービスゼネラルユニオン)についてですが、連合系・UIゼンセン同盟傘下の、派遣社員の「労働組合」との事です。流石はUIゼンセン、「お国の為に血を流せ」の産業報国会―民社党・同盟系主流の流れを引き、今も9条改憲実現を堂々と掲げる「労組」だけあります。その「資本の下僕」ぶりは大したもの。但しここ数年は、新自由主義の余りの暴走ぶりを前にして、少し労働者寄りになりつつある様ですが。
HPによると、当該「労組」は正社員だけでなく派遣ワーカーも組織しているそうですが、それも俄かには信じかねますね。そもそも、派遣ワーカーは大多数が未組織労働者で、凡そ組合とは縁のない所で生きています。但し、そう言えば、以前私が働いていた現場にも、確かに請負会社の正社員だけの労組がありました。JSGU加盟ではありませんが、同じ連合系です。名前だけで殆ど活動していない所謂「イベント組合」で、組合費も会社持ちだと聞いていた。JSGUも、多分そんな口でしょう。大方、ガテン系連帯やフリーター全般労組、地域の合同労組などに対抗して、会社が先回りしてこしらえた「第二組合」と捉えても、当たらずとも遠からじ、といった所かと。
そして、「厚生労働省の調査結果」云々ともありますが、「後期高齢者医療制度で大多数は負担が軽くなる」なんて大嘘を平気でつく役所の言うことなど、誰がまともに信じますか。この手の調査にしても、常用フリーターも平気で正社員に分類していたり、かなり恣意的なものですから。
仮に「正社員よりも派遣の方を望む」という意見があったとしても、その大半は「正社員も過労死やパワハラがあって、フリーターに負けず劣らず過酷なので、それならもう今のままで辛抱するか」という諦めの心境でしかない。正社員・フリーター問わず、そういう働かされ方を強いられている事こそが問題であるのに、それを一切問わずに、「正社員かフリーターか」なんて聞く方が野暮というもの。
それでは聞くが、先日の秋葉原通り魔事件に際しても、下記の様な意見が、当の派遣・請負労働者やワーキングプアの間から、何故かくも多く寄せられるのか。
>やってほしいことを、やってほしい場所でやってくれた!という感じ
>よくやったな、よくぞやってくれた!(中略)あれを悪いといえる人は、きっといい家族がいて満ち足りているんだろうな(中略)人生で何度も解雇されるって派遣しかない
>日陰で生きる人間も「やればやれる」という勇気をくれた事件だと思う
>(事件で亡くなった)被害者はかわいそうだけど、閉塞を脱出しなかったら加藤はずっと被害者のままだった(中略)自分も今の職場でのいじめが続き、親がいなければやりかねない
>ともかく、生き抜け。時代の潮目も変化してきている。命落とすな、自民落とせ!
>「搾取」という名の妖怪が日本社会を歩き回っている。カール・マルクスが『資本論』の中で唱えた言葉が、21世紀になって再びよみがえってきた。秋葉原無差別殺傷事件の一つの引き金になった派遣社員制度である。
>経団連や派遣各社にテロ起こせば日本を救えます:2008/06/23(月) 01:27:19
(以上、週刊「SPA!」7月1日号「自称・アキバ通り魔予備軍たちの告白」、2ch「派遣労働の闇」板より)
http://spa.fusosha.co.jp/weekly/ent_4447.php
http://money6.2ch.net/test/read.cgi/eco/1135945297/
事件加害者の加藤容疑者自身が、日研総業(この会社はとかく悪名高く、ネットで検索すれば幾らでも出てくる)の派遣社員として、トヨタ系列の関東自動車工業(このメーカーも前者と同様)東富士工場で、働き始めてから僅か数ヶ月で、いきなり解雇通知書の紙切れ一枚で雇い止めされて、それが事件の引き金になったのではないですか。当人には後で「雇い止めの延期」が申し渡されたそうですが、それもあくまで数日間かの猶予にしか過ぎなかっただけで。下記の資料を見ると、JSGUの主張とは裏腹に、「不安定で、ひどい、不本意な働き方」そのものではありませんか。
・秋葉原事件の背景には「残酷な派遣労働」があった(You Tube)
http://jp.youtube.com/watch?v=FFCeapLpPnc
・関東自動車へ申し入れに行きました。(ガテン系連帯)
http://gatenkei2006.blog81.fc2.com/blog-entry-164.html
・ガテン系連帯、秋葉原事件で関東自動車工業へ申し入れ(ユニオン・チューブ)
http://video.labornetjp.org/Members/akira/videos/mousiire.wmv/view
しかも、JSGUは、今あちこちで問題になっている「登録型・日雇派遣の禁止すらも反対である」というに至っては、「こいつら、本当に労働組合か?」という根本的な疑念すら抱かざるを得ません。JSGUの言い分とは裏腹に、「労働者派遣制度は諸悪の根源」です。戦前の「蟹工船」や現代の「原発ジプシー」「日雇い人夫出し」そのものです。私も、過去派遣ワーカーとして、今も請負ワーカーとして、それを毎日実感しています。
過去に私が派遣ワーカーだった時も、嫌な経験をしました。確か、偽装請負で派遣された先が青果市場で、そこで輸入バナナの選別の仕事をしていた時です。私たちに作業指示を下すべき請負会社の人間(社員かバイトかは不明)が、ロクスッポ指示もせず私たち派遣ワーカーを放置しておきながら、仕方なく壁にもたれていたら、そいつは我々に向かって「立っとらんかい!」と怒鳴りやがった。
その挙句に、二週間で解雇です。それも当日いきなり送迎のバンが来なくなり、派遣会社に電話したら最初は「燻蒸作業があるので今日は臨時休業になった」とウソを付かれ、二日目には「我々としても困っているんです、貴方の方で別に職を探すというのであれば、それも致し方ないですね」と、まるで自分たちが被害者であるかの様な口ぶりで言われた時には、もう開いた口が塞がらなかった。
そして、今の職場では請負ワーカーとして、日払い派遣ワーカーに作業指示を出しています。私も派遣ワーカーだった時期があるだけに、出来るだけ「おい、そこの派遣の君」ではなく名前で呼ぶようにしていますが、そう毎日入れ替わり立ち替わりで来られると、顔と名前を覚えるだけでも大変です。
仕事も、単に「ここにある商品を分ける」「このカゴ車をあそこに持っていく」とかだけでなく、どんな作業にもそれぞれに意味や前後工程との関連がある訳ですが、そんな事を現場で、いきなり来られて今日一日だけ仕事して帰る人に、自分も同じ様に仕事に追われる中で、きちんと説明など出来る筈が無く。それでもミスや怪我はさせられないので、構内施設や作業の名称すら知らない人を相手に、「これはこうするんや!」という形で、最低限の説明だけして、何とか仕事を回しています。しかし、こんな扱われ方では、する方もされる方も、堪ったものではないでしょうね。職場が次第にギスギスしてくるのが、手に取る様に分かります。そんな中で、また森みたいな事をされたら、今度こそ私も何するか分かりません。
そんな働き方(働かされ方)を強いられて、一体どこが「信念・プライドをもって」働けるというのですか。「派遣・請負という働き方を望む人もいる」のも、大多数の人は、過酷な境遇は正社員も似たり寄ったりだったり、低賃金でそれだけでは食べていけないから、仕方なく派遣・請負労働に甘んじているだけの話なのです。確かに、えり好みさえしなければ、正社員の口も、在るには在ります。しかし、それらはいずれも大半が、悪徳商法の詐欺営業か、フリーター以上に使い捨てかの、碌でもない求人ばかりなのです。
その辺の事情は、米国のワーキングプアが、食い詰めてイラク派兵に「志願」せざるを得ないのとも、非常によく似ています。しかし、そんな状況でも「需要がある」の一語で以って正当化されるのであれば、闇金や麻薬取引ですら、大手を振ってまかり通ってしまいます。「人の足元を見透かして、いい加減な事を言うな」と言いたい。
勿論、グッドウィルなどの個々の悪徳派遣会社を、「臭いものに蓋、トカゲのしっぽ切り」宜しく、廃業に追い込むだけで、それで事足れりとする国の姿勢は、徹底的に糾弾されなければなりません。住専・銀行・ゼネコンにではなく、グッドウィル廃業で失業した日払いワーカーの救済にこそ、公的資金が投入されるべきです。
但し、先のJSGUの幹部連中の様な労働貴族については、「自業自得」という他ないですね。今頃になってやっと「グッドウィルに騙された」とか騒いでいる様ですが、何をか況やです。それまで会社と一緒になって、派遣ワーカー賃金ピンハネのお零れに預かってきたくせに、被害者面すんなと言いたい。まあ、それでも同じ労働者である以上は、助けてやらない事もないですが、それも、それまで自分たちが言ってきた事・してきた事について、きちんと自己批判して初めて言える事です。
また、この問題は、単に「正社員・直雇用か、派遣・請負か」の単純な二者択一でもありません。交通量調査の様な、本当に臨時・自己完結・単一労働の「やっつけ仕事」については、派遣でも一向に構わないのですから。或いは、トヨタの期間工の様に、直接雇用であっても非人間的な労働もある。問題はそんな所にあるのではなく、直接雇用であれ間接雇用であれ、「人間扱いされているか、モノの様に扱われていないか」という事が問われているのです。そうして見た場合、日々の昼食にも事欠いて、カップラーメンや無食で凌がなければならない様な、今の派遣・請負労働については、お世辞にも「人間的」であるとは、到底言えません。
この秋葉原通り魔事件については、下記のブログでも紹介されている様に、昨今の格差社会が微妙に影を落としています。勿論、その中でも加藤容疑者の様にならずに、頑張っているワーキングプアの人も大勢居ます。彼のやった事は到底許される事ではありません。第二・第三の彼を生まない為にも、「何故、彼にはそれが出来なかったのか」という彼個人の弱さ・甘さや、彼のみならず私自身自身の中にも潜む「弱者の暴力性・差別性」「無差別テロへの衝動」についても、批判的立場からきちんと見ていかなければ、事件の全体像は掴んだことにはなりません。
その中にあって、最後に紹介した産経新聞の記事だけは、相変わらず事件を容疑者個人の特異性だけの問題に貶めて(つまり光市母子殺害事件と同様の手口で)、ナイフ所持規制の是非といった方向に世論を誘導しようと、躍起となっているのが、もう見え見えで。いくらナイフ所持を規制しても、犯罪の土壌となる社会的閉塞感・不公平感や、現実の経済格差が解消される方向に向かわない限り、犯罪は減りません。そんな報道ばかりしていると、いつか最後には産経新聞も、「この御用新聞が!」という事で、「第二・第三の加藤」の標的にされてしまうでしょう。明治時代の日比谷焼き打ち事件や、大正時代の米騒動の時の様に。
・久々にマスコミに感謝!(秋葉原通り魔事件関連記事)(ワンダバステーション・日記帳)
http://blogs.yahoo.co.jp/wandaba_station/55549185.html
・NHKスペシャル「追跡・秋葉原通り魔事件」 - 本田由紀の正論解説(世に倦む日日)
http://critic5.exblog.jp/8848401/
・秋葉原無差別殺傷 25歳どう見る 「共感できない」(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080612-00000087-san-soci&kz=soci