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自民党の改憲案こそ北朝鮮そっくりのドレイミクス

2013年07月14日 08時02分40秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
 

 前回記事でも少し話題に上げた自民党の改憲案を、ここではもう少し詳しく見ていく事にします。本当はこの話題から先に記事にしようと思っていたのですが、いつ書こうか迷っているうちに、夏バテでついつい後回しになってしまいました。申し訳ない。
 同党改憲案の詳細については、既に多くのブログが取り上げているのでここでは繰り返しません。
 ここでは、くだんの「週刊プレイボーイ」7月15日号掲載当該記事の後半、同誌記者と中谷元・自民党憲法改正推進本部事務局長(兼・起草委員長)との質疑応答の一節(Q&Aで表示)を、読んだ上で少し感じた事を書くにとどめます。Q&Aの下の●部分が私の感想です。 


Q(記者):自民党の改憲案を批判している声に一貫しているのが、自民党の改憲案は近代的な憲法の基本である「立憲主義」すなわち「憲法は国を縛るものであって、国民を縛るものではない」という基本的な考え方に反しているという指摘です。こうした批判について、中谷さんはどうお考えですか?

A(中谷):確かに憲法は国を縛るものでもあるかも知れないが、国民だって守らなきゃいけないコトがあるのは当然でしょう?そうでなければ国は成り立ちません。

●床屋談義もいい加減にしろ。中谷の「国民だって守らなきゃいけないコト」と言うのは、道徳や規範の事だろう。「他人の物を盗るな」とか「仕事をちゃんとしろ」等の。そんな事は当たり前。でも、現実はそんな一般論や精神論だけで割り切れるものじゃない事ぐらい、普段の生活や仕事からも直ぐ分かるだろうに。先日の宝塚市役所での火炎瓶放火事件も、税金滞納で預金を差し押さえられた無職者による犯行だ。犯人がやった事は確かに犯罪行為で道徳に反しているが、それを指摘するだけで済むのか?彼がそこまで追い詰められないように、貧困対策を充実するのが政治の役割だろう。それが中谷の言い方では、政治家が何もしない言い訳を、国民の自己責任に転嫁して誤魔化しているだけ。ヘボコーチが、自分の指導力不足を棚に上げ、「愛の鞭」とか屁理屈こねてシゴキや体罰を正当化しているのと同じ。道徳や根性論だけで憲法や政治を語るな。

Q:しかし、繰り返しますが、「立憲主義」の考え方はあくまで「憲法は国権を縛るもの」です。そして国民は「憲法」ではなく「法律」で縛る、というのが基本です。自民党の改憲案は「立憲主義」にはこだわらないと?

A:いや、立憲主義は尊重しますが、憲法が国を縛るだけでは国は成り立たないでしょう?戦前の大日本帝国憲法だって、憲法だったわけで、あれだって立憲政治でしょう?

●これも最初の「根性論」の繰り返しでしかない。民主主義や男女平等や基本的人権の発想が全くなかった戦前の大日本帝国憲法も、1930年代には既に世界の趨勢から取り残された時代遅れの代物と化していた。そんな物を21世紀の今になっても、まだ「あれだって立憲政治でしょう?」なぞと、いけしゃあしゃあと言ってのける神経が全く理解できない。

Q:大日本帝国憲法は近代的な憲法観では立憲主義と見なされないのが一般的です。また、自民党の改憲案では立憲主義と同じく、近代的な民主主義の基本的な考え方である「天賦人権説」(すべて人間は生まれながらにして自由かつ平等で、幸福を追求する権利を持つとする思想)についても疑念を呈していて、「日本国憲法改正草案Q&A」の中で「我が国の歴史、文化、伝統を踏まえた」人権規定が必要と解説しています。天賦人権説の何が問題なのでしょうか?また、「我が国の歴史、文化、伝統を踏まえた」人権規定とはどのようなモノなのでしょうか?

A:天賦人権説は、もともとキリスト教的というか、神様から人権を与えられたという考え方ですから、当然、日本には別の考え方があってしかるべきだと思います。それに基本的人権は神様に「与えられた」ものではなくて、人が初めから持っているでしょう。

●「基本的人権は人が初めから持っているでしょう」ってアンタ、それを「天賦人権説」と言うのでしょうが。「天賦」という表現から、それを中世キリスト教的だとする意見もあるが、今はもうそんな宗教に限定された話ではなく、普遍的価値観として人権が捉えられている。そうではない日本独自の「別の考え方」って一体何?まさか、江戸時代の殿様が、鷹狩りに出掛けて食べた「あんころ餅」のおいしさに感激して、餅職人にくれてやった幾許かの褒美を、さも「人権を保障してやった」みたいに捉えているのではないでしょうね。今までの自民党政治の実態からも、それは充分あり得る話なので怖い。

Q:繰り返しますが、「我が国の歴史、文化、伝統を踏まえた」人権規定とは、何を指すのですか?

A:それはあなた、日本の神道には古くからすべてのモノに神様が宿るという考え方があったりしますから、そういうなかで、先祖代々家族が受け継いできたものとか・・・ね、そういう人権の考え方があると思いますよ。

●ここまで来たらもう、北朝鮮の政治と同じレベルじゃん。あの国も、「全ての物には将軍様の精神が宿る」とか言って、それをウリ(我が国)式の「民主主義」や「社会主義」だとか言って、国民に強要しているのですが。こんな考えでは、「人権は世界共通の普遍的な価値観」だとする今の「基本的人権」の枠組みから完全に逸脱する事になる。これでよく、日本も「自由、人権、法の支配」を標榜する西側先進国の一員だ、なんて言えたものだ。

Q:そうですか・・・。

A:最後に、これだけは言いたいのですが、日本が国民主権である以上、憲法は国民の意思で作られるもので、それを”守る”というのが目的ではないと思うんですよね。本来は国民の意見から憲法を作って、それを国民が承認して適用されますけど、今までの日本国憲法は70年間一度も国民の審判を受けていないんです。憲法の大事なところは当然守りますけど、時代遅れとか、曖昧になっているところとか、きちんとき換えて、国民の意見で憲法を作ってもいいのではないか。それが本当の国民主権であり、立憲主義だと思います。

●本当に「国民主権」で「国民の意見で憲法を作りたい」と望むなら、時代遅れの天皇制からまず書き換えろよ。誰が考えても共和制こそが「国民主権」の普通の姿だろうが。一部の右翼は、「共和国ではクーデターや権力闘争に明け暮れるが、王国では国民が平穏に暮らせる」なぞと、さももっともらしい事を言っているが、それには何の根拠もない。共和制国家にはフランスも北朝鮮もあるのと同様に、王制国家にも英国だけでなく未だに選挙も議会もないサウジアラビアみたいな国もある。ただそれだけの事。
●それなら共和制でも、王制や今の象徴天皇制でも、どちらでも良いじゃないか、とはならない。国民主権や民主主義である以上はあくまで共和制が基本だし、あれだけの犠牲を出したかつての侵略戦争の責任を天皇が一切取らず、今も「長い物に巻かれろ」式の奴隷根性の国民性やブラック企業に見られる封建的労使関係の精神的支柱になっている事を思うと、もはや天皇制なんて有害無益。
●ついでに、「さざれ石が岩になる」と嘘八百の「君が代」も、もっとまともな国歌に変えろよ。「今の憲法が訳語調でケシカラン」とかよりも、こっちの方がよっぽどケシカランじゃないか。そういう、自分たちにとっては都合の悪い事は何も言わず、都合の良い事だけを取り上げて、勝手に「国柄」や「伝統」をでっち上げ、「国民」や「国民主権」をダシにするな。


 念のために、自民党改憲案の内容についても少し当ってみました。それを読んでの感想も書き足しておきます。

現憲法
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

自民党改憲案
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

●改憲案では「自由及び権利には責任及び義務が伴う」とされ、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換えているが、両者は似て全く非なるものだ。「自由や権利は義務を果たした者しか主張できない」なんて事になったら、納税や勤労の義務を果たそうにも果たせない失業者や障害者の人権は完全に踏みにじられる。「公共の福祉のために責任を負う」立場から、例えば「知る権利」と「プライバシー権」の両立をどう図るかという現憲法の規定も、「常に公益及び公の秩序に反してはならない」なんて事になれば、「知る権利」も「プライバシー権」も権力者の意のままに踏みにじられる。

現憲法
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

自民党改憲案
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。

●これでは、例えば放射能汚染の実態告発や脱原発デモも、「公益及び公の秩序を害する」との口実で片っ端から弾圧されてしまい、国が「検閲」しているのと同じ事になる。
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