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我々こそ敵の手口にもっと学ばなければ

2013年08月12日 23時47分26秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
 麻生太郎ナチス発言全文 2013年

 護憲と叫んでいれば平和が来ると思っているのは大間違いだし
 改憲出来ても世の中全て円満にと全然違う
 改憲はたんなる手段だ
 目的は国家の安全と安寧と国土、我々の生命、財産の保全、国家の誇り
 狂騒、狂乱の中で決めて欲しくない
 落ち着いて我々を取り巻く環境はなんなのか
 この状況を良く見て下さい
 という世論の上に憲法改正は成し遂げるべきだ

 そうしないと間違ったものになりかねない
 ヒトラーは民主主義によって議会で多数を握って出てきた
 いかにも軍事力で政権を取ったように思われる
 全然違う
 ヒトラーは選挙で選ばれた
 ドイツ国民はヒトラーを選んだ
 ワイマール憲法という当時、欧州で最も進んだ憲法下にヒトラーが出てきた
 常に憲法は良くてもそういうことはありうる

 今回の憲法の話も狂騒の中でやって欲しくない
 靖国神社も静かに参拝すべきだ
 御国の為に命を投げ出してくれた人に敬意と感謝の念を払わない方がおかしい
 いつからか騒ぎになった
 騒がれたら中国も騒がざるを得ない、韓国も騒ぎますよ
 だから静かにやろうやと

 憲法はある日、気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ
 誰も気づかないで変わった あの手口に学んだらどうかね
 ワーワー騒がない、本当にみんないい憲法とみんな納得してあの憲法が、
 あの憲法変わっているからね

 僕は民主主義を否定するつもりは全くありませんが
 私どもは重ねて言いますが喧噪の中で決めて欲しくない(以上、文字起こし)
 http://www.youtube.com/watch?v=gPrg3UArtKA

 私もそうですが、この麻生発言を最初聞いた時は、「よりによってナチスを肯定するとは、何て事を言うのだ!」と思いました。

 確かに彼の発言を聞く限りでは、前半ではいかにも「ヒトラーは選挙で選ばれた、ドイツ国民はヒトラーを選んだ、ワイマール憲法という当時欧州で最も進んだ憲法下でヒトラーが出てきた、常に憲法は良くてもそういうことはありうる」と、ナチスを批判するような事を言っています。
 しかし、後半では一転して「憲法はある日気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ、誰も気づかないで変わった、あの手口に学んだらどうかね」と、ナチスのワイマール憲法蹂躙を肯定するような論調に変わっています。
 そして、「ワーワー騒がない、本当にみんないい憲法とみんな納得してあの憲法が変わっているからね、僕は民主主義を否定するつもりはありませんが、私どもは重ねて言いますが喧噪の中で決めて欲しくない」と、まるで「ナチスに見習ってこっそり改憲しろ」と言わんばかりの台詞で締めくくっています。 

 発言の前後でナチスの評価が完全に入れ替わり、最後には寧ろ肯定的な評価で終わっています。
 これを聞いて、「この人、首相の時もそうだったが、発言が支離滅裂で、しかもナチスに見習えなどと言う、民主主義の政治家なら絶対口にしてはならない事も平気で言う」、「前半のナチス批判は、後に自分の発言が問題になった時に言い逃れする為の予防線(アリバイ工作)にしか過ぎず、寧ろ後半のナチス肯定発言こそが彼の本音だ」と思っていました。若し本気で「よい憲法を踏みにじったナチスを許せない」と思っていたら、今の日本国憲法の精神を踏みにじって改悪しようなぞと誰がするものですか。

 しかし、それでも言っている事が無茶苦茶です。ナチスは決して「ワイマール憲法をこっそり改憲」した訳ではありません。寧ろ、第一次大戦後ドイツの政治的混乱や世界恐慌への不安・不満に乗じる中で、突撃隊や親衛隊を組織し、ユダヤ人や左翼勢力を暴力的に威嚇しながら、如何にも「労働者の味方」の様な顔をして票を掠め取り、政権を取った途端に国会放火事件をでっち上げ、その罪を共産党に擦り付け他の野党も全部弾圧して、全権委任法でワイマール憲法そのものを有名無実化してしまったのです。
 ナチスの政権掌握以後もワイマール憲法そのものは残りました。決して「ナチス憲法」という別物に変わった訳ではありません。あくまでも「全権委任法」という一片の法律で、憲法自体を無効にしてしまったのです。そういう意味では、「みんないい憲法とみんな納得してあの憲法が変わっ」た訳では決してありませんでした。

(参考資料)
・ヴァイマル共和政 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%AB%E5%85%B1%E5%92%8C%E6%94%BF
・ナチ党ヒトラー独裁政権の成立過程:ワイマール共和国のナチス(鳥飼行博研究室)
 http://www.geocities.jp/torikai007/war/1943/race.html

 だから、「何だ、麻生は当時のワイマール共和国やナチスの事についても、何も知らずに言っていたのか」と、最初は思っていました。
 でも、「それなら別にナチスを引き合いに出さなくても良いのじゃないか」「労働者の味方のふりをして選挙で多数を制し、政権についた途端に独裁者としての本性を現し、国民から自由を奪いたいのが本音なら、別にスターリン・ポルポトや、226事件の時の青年将校でも良かったんじゃないか」という事にやがて気付きました。この麻生発言の本音は、「ナチス」云々ではなく、寧ろ「こっそり改憲」の「手口に学べ」にこそあるのではないかと。

 実際、その後の安倍政権の動きを見ると、麻生発言の本音は別の所にあったのではないかという気がしてなりません。

 ●安倍も野党党首時代は改憲については余り大っぴらに言わなかったのに、政権に復帰した途端に改憲を公言し始めた。
 ●最初は「憲法9条改正して自衛隊を国防軍に」「従わなければ軍法会議で処罰」、
  その為に「96条も改正して改憲手続きも自分たちにとって都合の良いように」と画策。
 ●それが「お手盛りの八百長ルールでズルして改憲」と批判を浴びると、立憲主義や基本的人権を否定して一挙に外堀まで埋める作戦に。
  国民に憲法擁護義務を課す。→「憲法は権力の横暴から国民の自由と権利を守る為にある」という立憲主義の考え方を否定。
  権利主張は義務を果たしてから、公の秩序に反しない限りで。
  (では勤労・納税の義務を果たそうにも果たせない障碍者・失業者には人権はないのか?)
  →「人間は生まれながらにして自由・平等で幸福になる権利がある」とする天賦人権説(基本的人権の考え方)も否定。
 ●それも批判されると、今度は集団自衛権の行使を容認するような人物を内閣法制局長官に抜擢する事で、再び9条否定の正面突破に。
  石破の「軍法会議」発言や麻生の「ナチスの手口に学べ」発言に世間の目が引き寄せられているうちに、こっそりと。前回記事の丸山論文参照)

 そうして、今までなら専守防衛(日本一国の防衛)だけでしか認められてこなかった(個別)自衛権の行使を、次からは米国が発動する世界規模での紛争・戦争にも参戦しなければならなくなる集団的自衛権にまで広げようとしています。この「改憲クーデター」とも言うべき手法こそが、ナチスが全権委任法でワイマール憲法を有名無実化した手口と、全く同じじゃないですか。

 このように、改憲勢力は手を変え品を変え、日本国憲法の改憲や有名無実化に躍起となっているのです。その執念たるや、敵ながら天晴と言うべきではないでしょうか。
 私もそうですが、あれこれの選挙やデモで勝利する度に有頂天になり、逆に負けて敗北する度に意気消沈し、というのを、今まで何度も繰り返して来たじゃないですか。
 それに引き替え、この改憲勢力の執念深い事と言ったら!我々もこの敵の手口に、もっと積極的に学ばなければならないのではないでしょうか。但し、あくまでも「反面教師として、改憲を阻止する為に」ですが。
コメント (1)
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