8月に例のバカ社員・井下が私の事前の定休(公休)申請をガン無視してムチャクチャな勤務シフトを組んで以降(参考記事)、シフト編成の時期が来るたびに、私は年間の定休申請リストのコピーを財布にしのばせて持ち歩くようになりました。万一ムチャなシフトを組まれたら、その場で直ぐに対応できるようにする為に。普通の人間なら、こんな初歩的なミスを何度も繰り返したりしないので、私もそこまでする必要はないかと思いながら。
私の定休申請の理由はその大半が腰痛治療の為で、受診日程があらかじめ決まっており、急な日程変更にもなかなか対応できないので、わざわざ1年分の定休希望日をリストにして、前年12月にまとめて提出してきたのです。そうして、治療日の休みについては他の人以上に配慮してもらっている分、他の日はなるべく有休も取らずに頑張ってきたつもりです。
その中で、9月、10月、11月と何事もなかったので、さすがに同じミスはもう繰り返さないだろうと思っていたら、またやってくれました!定休申請リストにはその年の年末の分まで全て書かれていたにも関わらず、最後の12月21日の申請がまたしても無視されました。私は治療日の12月21日は出勤扱いとされ、翌22日が休みにされていました。
私は早速、責任者の人と交渉して、その場で22日の休みを21日に振り替えてもらいました(上記シフト表の「バイト私」「12月21日」の項目参照)。そして20日の朝礼で、井下を思いっきりどやしつけてやりました。「お前、俺を舐めてんのか!前と同じミスをまた性懲りもなく繰り返して!それでよく社員でおれるな!」と。
井下の今回のミスも、好意的に捉えれば、来年への年度替わりの上に、年末繁忙期の段取りも立てなければならない中で、来年の定休カレンダー作成ばかりに頭が行った為に、今年最後の定休申請についての確認がおろそかになってしまったのかも知れません。これが一度だけなら、私もここまで井下を追いつめたりはしませんでした。しかし、井下の定休申請確認漏れはもうこれで二度目です。しかも、この他にも同じようなミスを何度も繰り返しています。もうこれでは全然反省していないと思われても仕方ないでしょう。
しかも、この12月21日から始まる来年1月度の勤務シフト表自体も、何と前日20日の朝になってようやく渡されました。年末年始をはさんだ年間で一番忙しい、一番失敗の許されないこの時期のシフト公表が、なぜ前日ギリギリまでずれ込むのか。迎春の準備に大わらわなのは会社だけでなく個人も同じです。逆に普段の月以上に早めに公表されて然るべきなのに。これも好意的に捉えれば、失敗が許されないからこそ、熟慮に時間がかかったとも取れなくはない。でも、初日からつまずいている所や、この会社の普段の行状から見ても、その可能性はまず無いでしょう。行き当たりばったりの末にシフト作成がギリギリまでもつれこんだと考える方が、むしろ自然ではないかと。
そう考えて、この年末年始の繁忙期をはさんだ来年1月度の勤務シフト表を、自宅で改めて見直した所、他にもおかしな点がいくつか見つかりました。その中でも一番気になったのが、社員や一部バイトの年末連続勤務です。井下を含めた社員3名全員(井下と社員A・B)とバイト2名(C・D)の計5名が、いずれも7~11日休みなしの連続出勤になっています。(上記シフト表のピンク色の部分参照)
それによると、
井下は12月23日から30日まで連続8日勤務に。
社員Aは12月26日から1月5日まで何と連続11日勤務に。
社員Bは12月27日から1月2日まで連続7日勤務に。
バイトCは12月22日から28日まで連続7日勤務に。
バイトDは12月24日から1月2日まで何と連続10日勤務に。しかも最も忙しい農産部門ゆえに、そのうち8日連続で早朝6時から始業に。
そう言えば、11月末の臨時昼礼でも、「年末繁忙期については、可能な人については普段週休2日の所を週休1日にしてもらうかも知れません。それでも良いという人は是非申し出て欲しい」旨の連絡があったのを思い出しました。でも、申し出が余り無かったので、このような結果になったのかも。
しかし、最大で連続11日勤務ともなれば、労働基準法に違反しているのではないか。そう思って、労働基準法の条文に少し当ってみた所、意外な事に違反ではありませんでした。
労働基準法第32条には1日8時間、週40時間労働の制限が定められていますが、これはあくまで原則であって、実際には例外規定の名目で、色々と抜け穴が用意されているのです。それがフレックスタイムや裁量労働制です。それらの中には、消防や医療関係など、仕事柄どうしても不規則勤務にならざるを得ないものもありますが、実際はそれだけでなく、残業規制などを免れるために、企業がこの制度を悪用している面もあるのです。
その例外規定の中に、「変形労働時間制」というのがあり、労基法第32条の第4項・第5項に詳しく載っています。
それによると、年末など特定の時期に業務が集中する業種については、最大1日10時間まで、連続12日間まで働かせる事ができるのだとか。もちろん、いつまでもという訳には行きません。そういう事ができる特定期間(業務繁忙期)は、最大でも年間280日までと決められています。しかも、事前に労使協定でちゃんと取り決めておかなくてはなりませんし、その場合でも、18歳未満の年少者(高校生バイトなど)や妊産婦にはこの例外規定は適用されません。(参考記事)
でも、これは裏返せば、それ以外の労働者には全部適用されるという事です。連続11日勤務と口で言うのは簡単ですが、実際にやってみると結構堪えます。今まで、とかく労働基準法と言えば、まるで「伝家の宝刀」みたいに捉えていた所が私にもありましたが、労働時間については今や「抜け穴」だらけとなってしまっていたのです。道理で、「基本的人権の尊重」を憲法で定めたはずのこの国で、長時間労働・サービス残業や過労死が後を絶たない訳です。
しかも、この会社のズルい所は、バイトのD君を上手く盾に使っている事です。今年、正社員の登用試験を受験中のバイトで、筆記試験には首尾よく合格し、来年面接試験を受ける予定だとか。私も、人望もあり仕事もできるD君には是非採用試験に通ってもらいたいと思っていますが、その彼が、まだバイトであるにも関わらず、社員と同じように連続10日もの負担を課されるのは、何か会社がD君の足元を見透かしているようで、余り良い気がしません。逆に井下については、普段が普段なので、自業自得と思いこそすれ、全然同情する気にはなれませんが。
しかし、労働基準法は本来、労働者を保護する為の法律です。「その条文を口実に労働条件切り下げに悪用するような事をしてはならない」と、労働基準法の第1条にもちゃんと書いてあります。仕事はちゃんとやらなければならないのは当然です。しかし、それとは別に、主張すべき権利もちゃんと主張する。その為には、労働者にはどんな権利があるかという事についても、普段からもっと知っておかなければなりません。「頑張れ頑張れ」と会社は言うが、果たして言えるだけの事を今までどれだけやってきたのか。その責任を問われずに、根性論だけを押し付けようとしても、そうは問屋が卸しません。