アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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安倍が後藤さんの身代わりになれば良いだろう

2015年01月27日 00時01分16秒 | 戦争法ではなく平和保障法を


 イスラム国の人質事件がまた新たな局面に突入した。1月24日(土)23時頃、イスラム国に囚われている二人の日本人のうちの一人、湯川遥菜(ゆかわ・はるな)さんが処刑され、残る後藤健二さんが湯川さんの遺体写真を手に、自身の解放を訴える動画がYouTubeに投稿された。その中で、イスラム国の要求も、今までの2億ドルの身代金から、ヨルダンに収監中のイスラム国自爆テロ犯サジダ・リシャウィ死刑囚の釈放に変わった事も、動画で同時に告知された。いわば捕虜交換の形で、サジダ死刑囚と引き換えに後藤さんが解放されるという話になったのだ。

 翌25日(日)はどの報道番組もこのニュースで持ちきりだった。イスラム国が巨額の金銭要求を引っ込め、代わりに捕虜交換を要求してきた事で、後藤さんの解放に向け話が進むかのように思われた。しかし、その交渉も直ぐに暗礁に乗り上げてしまった。サジダ死刑囚は、自身のテロは未遂に終わったものの、他のメンバーによる自爆テロで、ヨルダン国内で多くの人々を殺傷した罪に問われている。しかも、ヨルダン国内でも、イスラム国掃討作戦に参加した自国のパイロットがイスラム国に囚われているという事情を抱えている。ヨルダンにとっては、あくまでも自国民のパイロット救出が最優先課題なのだ。

 ここで敢えて一つの「極論」を言わせてもらう。「あくまでも同じ人数同士の捕虜交換に応じなければ後藤さんも救出されない」と言うのであれば、サジダ死刑囚以外にもう一人人身御供を立てれば良いではないか。一層の事、安倍首相にその人身御供になってもらってはどうか。
 これがとんでもない「極論」である事は私も重々承知の上だ。でも、そう言われても仕方ないだけの責任が安倍首相にはあると私は思う。

 こんな事になってしまったのも、元はと言えば安倍首相が中東歴訪先のエジプトで、下記の様なスピーチをしてしまったからではないか。

「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISIL(イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。」
(平成27年1月17日 日本・エジプト経済合同委員会合における安倍内閣総理大臣政策スピーチ、首相官邸HPより)
 http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0117speech.html

 これより以前、昨年の秋にまず湯川さんがイスラム国に拘束され、彼を助けに政府の渡航自粛勧告も蹴ってシリア入りした後藤さんも拘束されてしまった。その後、後藤さんの家族にはイスラム国関係者を名乗る人物から、身代金要求のメールが送られてくるようになる。この一連の経過を政府も既に知っていながら、なぜ安倍首相は、日本から8500キロも離れた中東にわざわざ乗り込んで行って、自分からイスラム国に喧嘩を売る様な事を言ったのか。いくら難民支援の人道援助だと言った所で、ISIL(イスラム国)掃討の一環として行う以上は、イスラム国にとっては敵対でしかないじゃないか。
 おそらく安倍首相は、この二人の人質の事なぞ全く頭になかったのだろう。ただただ、集団的自衛権行使、自衛隊海外派兵の口実作りの為に、イスラム国を引き合いに出したかった<だけ>だったのではなかろうか。

 この安倍首相の不用意な発言がイスラム国に付け入る隙を与え、中東歴訪最終日の20日に、首相自らイスラエルのホテルで、「テロとの戦い」を改めて表明しなければならなくなってしまった。よりによって、アラブ諸国から忌み嫌われているイスラエルで、イスラエルの国旗を背にしながら。これではもはや、イスラム国に必ずしも同調しないアラブ・イスラム教徒の人々をも、みすみす敵に回すようなものではないか。

・平成27年1月20日 イスラエルでの安倍首相記者会見(首相官邸HPより)
 http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0120naigai.html



 また、政府は二言目には「イスラム国とのパイプが無い」と言うが、実際はジャーナリストの常岡浩介さんやイスラム神学者の中田孝・同志社大学客員教授など、「パイプ役になり得る人」から協力の申し出があったにも関わらず、ことごとく無視してきた。両氏とも、二人の人質が拘束された昨年秋に、イスラム国側から「通訳や裁判の証人として立ち会って欲しい」旨の連絡を受け、先方の司令官とも実際に会っているのだ。ところが、その後の北大生によるイスラム国渡航幇助(ほうじょ)容疑で、両氏とも警察の家宅捜索を受け、今も政府の監視下に置かれ身動きが取れなくなった。今思うと、この容疑も、両氏の救出活動によって自衛隊海外派兵のきっかけを失う事を恐れた政府による「でっち上げ」ではないかと取れなくもない。


外国特派員協会での両氏の記者会見の様子。左上が常岡浩介氏、右上が中田孝氏の時の写真。

 これだけで見ても、政府の言う「人命優先」の決まり文句は、ただ言葉だけのもので、実際は逆にサボタージュを図っているとしか思えない。二人が救出される事で自衛隊海外派兵のきっかけを失う事を恐れているとしか取れないではないか。
 マスコミも御用学者も、口を開けば「テロに屈するな」と言うが、実際は二人の「人命」の事なぞ全然考えていないじゃないか。ひたすら安倍政権の太鼓持ちをしているだけではないか。
 そして、マスコミも御用学者も、二言目には「政府は死力を尽くしている」「今、政府を批判してはいけない」と言う。しかし、私から言わすと「時間稼ぎにばかり熱心で、肝心な事は何もやっていない」。もし「死力を尽くしている」なら、常岡・中田両氏からの申し出を無視したりなぞしていないはずだ。「やるべき事を全然しない」無能政権を批判して一体何が悪いのか。むしろ、政府の無能を見て見ぬふりする事こそ、「テロリストへの手助け」に他ならない。

 あらかじめ言っておくが、私は決してイスラム国のテロを肯定している訳ではない。イスラム国もやっている事は米国ともそう変わらない。イラク侵略戦争などの「帝国主義のテロ」に、「イスラム教のテロ」で対抗しているだけにしか過ぎない。それも、本当のイスラムやコーランの教えではなく、自己流に都合良く解釈したデタラメな教えによって。
 しかし、たとえそんなデタラメな相手であっても、付け入る隙を安倍がここまで与え、実際にここまで付け込まれてしまった以上は、たとえ一時の恥を忍んでも、後藤さんの救出を最優先において、テロリストとも出来る範囲で妥協しなければ、もはや救出も出来ないと言っているのだ。

 どんなテロにも妥協しないのは、先進国の中でも米国と英国だけだ。この二国はどんな事があっても身代金要求には応じない。それは、この米英両国が「テロとの戦い」を主導する立場だからだ。「テロとの戦い」と言えば聞こえは良いが、実際はイラク戦争の様な、石油獲得の為の帝国主義戦争だ。
 それ以外の先進国は、フランスにしてもドイツやスペインにしても、政府が前面に出ず第三者に支払わせる形で、テロリストに身代金を渡してきた。これはもはや公然の秘密だ。そうして、少なくない自国民をテロリストから奪還してきたのだ。なぜなら、今やドイツもフランスも移民によって支えられていると言っても過言ではないからだ。例えば、フランスのイスラム教徒は、全人口の約1割、600万人を占めるまでになった。そんな中で、いたずらに「テロとの戦い」だけを煽っても、社会が回らなくなるだけだろう。

・湯川遥菜氏救出に動いたイスラム法学者「外務省が見捨てた」(NEWSポストセブン)
 http://www.news-postseven.com/archives/20141123_288594.html
・イスラム国「身代金要求」に日本は応じるのか 過去には機密費から支払ったと報じられた例も(J-CASTニュース)
 http://www.j-cast.com/2015/01/21225861.html?p=all

 そもそも、アルカイダにしてもイスラム国にしても、イラク戦争以前はここまで広がらなかったはずだ。アフガニスタンのタリバンにしても、今よりももっと小さかったはずだ。そのタリバンを、米ソ東西冷戦時代に、当時アフガニスタンにあった社会主義政権に対抗する為に、育成したのが米国ではないか。そして、アルカイダやイスラム国も、イラク戦争で米国がフセイン政権を倒した事で、イラク国内の混乱・対立を更に増長させた結果、生まれてきたものじゃないか。そうして、最初はテロリストを飼い馴らしていたつもりが、大きくなるにつれて自分たちの命令も聞かなくなった。その体たらくが今の現状じゃないか。(詳しくは旧HPの資料参照)

 その中で、本当にテロを根絶しようと思うなら、テロの発生原因たる貧困や民族対立を、地道に解消していくしかない。かつてアフガニスタンで中村哲医師を中心とした「ペシャワル会」というNGOが、自力で砂漠に水を引き農民の生活向上を助けたように。その中で、常岡さんや中田先生のような人が、相手にも理解できる言葉で、「テロによらない民族和解の道」を説いていくのを、政府も応援する事こそが、本当の「人道支援」であり「積極的平和主義」ではないのか。
 しかし、安倍首相のやっている事は何だ。ひたすら米国の顔色をうかがい、「テロとの戦い」とバカの一つの様に繰り返し、米国と一緒になって口裏を合わす事しかしてないじゃないか。安倍は一体どこの国の首相なのか。これでは「己の保身しか眼中にない」と言われても仕方ないだろう。

 かつて、私の配属部署にも、アルジェリア出身の移民がいた。確か奥さんが日本人で、その奥さんについて日本にやって来たのだ。彼は漢字が読めなかった。平仮名・カタカナと数字しか分からなかった。では、なぜ商品を仕分けできていたかと言うと、ラベルに記された店名の漢字は彼には読めないので、店番号で仕分けしていたのだ。
 彼も職場の中では浮いていた。今から思えば、自分と他人の間で、仕事や責任範囲をはっきりと区別するアラブ人気質に、日本人の感覚が合わなかったのだろうと思う。かく言う私も、当時は今の職場に配属されたばかりで、今から思うと、彼とのコミュニケーションが取れていたとはお世辞にも言えなかったと思う。

 その中で一つ印象に残っているのが、彼にアルジェリアの地図を印刷して母国の事など聞いた時の事だ。下記の地図がその時のものだ。彼は、その地図の中で、西部にあるアルジェリア第二の都市オラン(Oran)を指さし、「僕の生まれ育った所、アルジェリアで一番美しいと言われている街」と。そして、百年以上に渡るフランスによる植民地支配や、そこから抜け出す為のアルジェリアの独立戦争についても、ごく簡単ではあるが説明してくれた事があった。(当ブログ過去記事参照)
 そういう何気ない会話の中で、相手が何を考えているのか、相手の立場に立って考える。その中で「でも、やっぱりテロでは何も始まらないよ」という話をしていくしか、テロを本当に根絶する事は出来ないと思う。今の米国や安倍のやっている事は、それとは全く正反対でしかない。



 今、湯川さんや後藤さんに対して、心無いバッシングを浴びせる輩が少なくない。「政府の渡航自粛勧告を無視して、勝手な事ばかりして」「それで殺されたとしても自己責任、自業自得だ」という意見が目につく。
 何が「自己責任、自業自得」なものか。後藤さんは湯川さんを助けようとして、敢えて「火中の栗」を拾いに行ったのだろうが。私には到底真似の出来ない事だ。それに、NHKを始めマスコミがここまで政府の公式発表しか報道しなくなった中にあって、後藤さんの様なフリージャーナリストの活躍があってこそ、初めて戦争の真実が明らかになるのじゃないか。

 湯川さんについては、後藤さんとは違い、確かに軽率だった点は否めない。アラビア語どころか英語もろくに喋れないのに、単身シリア入りしたのだから。しかも、ろくに訓練も積まずに、自称・民間軍事会社CEOの肩書で、銃を持って戦場に乗り込んだのだから。思想的にも右翼政治家の田母神に傾倒していたと言う。これでは、イスラム国からは「米国のスパイ」と見なされても仕方ないと思う。
 しかし、だったらそれで、「自己責任、自業自得」を言い募るネトウヨ(ネット右翼)やネットの保守派も、もう少し言い様があるのではないか。事業に失敗して一時は夜逃げやホームレスの境遇に陥るまでに辛酸(しんさん)を舐めた彼に対して、何かアドバイスできる事はなかったのか。思想的には同志とも言える間柄だった彼に対して。ところが、ネトウヨも保守派も、掌を返す様に湯川さんを罵るばかりで、全然彼を庇(かば)おうともしなかった。そして、安倍は平気で二人を見殺しにしようとしている。これでは、ネトウヨや安倍首相が普段口癖のように言う「愛国」とか「日本人の絆」とか言う決まり文句も、今の政府が口にする「人命優先」と同じで、単なるアリバイ工作でしかない。

 今日26日(月)、社内放送で何度も献血が呼びかけられていた。その余りのしつこさに、「俺らみたいな食うや食わずのバイトからよりも、料亭でたらふく寿司とか食べている安倍から血を取れ」と、同僚と仕事帰りのエレベーターの中で冗談を言い合っていたら、ちょうど同じエレベーターに乗り合わせた宅急便の兄ちゃんからもバカ受けして、「その通り」と合いの手が入った。これは今日実際にあった話だ。正にその通りで、財界やアメリカの機嫌取りにばかり汲々として、俺らの事を何も考えてくれない、俺らの為に何もしてくれないような首相なら、はっきり言って、一層の事イスラム国に身代わりに行ってくれた方が、はるかに日本の為になると思う。実際、安倍首相は昨年2月の大豪雪で、山梨県など各地の市町村が「陸の孤島」と化した時も、東京の料亭で呑気に天ぷらを食べていた(当ブログ過去記事参照)。そんないい加減な首相なら、むしろ後藤健二さんの方が、よっぽど日本の総理にふさわしい事だけは確かだ。

 特攻美化小説「永遠の0」作家の百田尚樹が、「”憲法9条で平和が守れる”と言っている奴らを戦地に派遣して、実際に戦争を止められるかどうかやらせてみろ」と暴言を吐いた事があった。そんな好戦作家をNHK経営委員に推薦したのが安倍首相だ。そんな物言いが許されるなら、まず首相自らが、「実際に俺の力でテロを止められるかどうか」、国民に模範を示すべきだろう。「国を守る気概」とか「お国の為に死ぬ覚悟」とか偉そうに国民に説教するなら、まず自らが人身御供となって率先垂範すべきだろう。
 人質を見殺しにする様な政府は、必ず他の国民も見殺しにする。原発再稼働にしても秘密保護法にしても、消費税にしても辺野古移設問題にしても、これまでの政府の対応は皆そうだったじゃないか!
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