今、アフリカ・南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に自衛隊が派遣されています。PKOは、当初の停戦監視から「文民保護」を口実にした「内戦介入」に、急速にその性格を変えつつあります。そして今や、集団的自衛権行使容認で「積極的平和主義」を掲げる安倍政権によって、駆け付け警護による武器使用で、自衛隊が他国の戦闘に直接巻き込まれる危険がいよいよ現実の物となりつつあります。停戦監視とは名ばかりの内戦介入=事実上の参戦。派遣先の国や国民からすれば「侵略」に他なりません。そんな物に日本の平和が脅かされようとしているのです。以前、「防衛予算は人殺し予算」と言った野党議員の発言が問題にされましたが、実際に安倍政権がやっている事こそが「人殺し」ではないのか。
その中で、このたび朝日新聞特派員の三浦英之記者が、個人の資格で、南スーダン現地の様子をツイッターで報じてくれました。南スーダンPKOや自衛隊派遣の実態を少しでも多くの人に知ってもらう為に、彼のツイートをこちらに貼り付けておきます。
①南スーダンから昨日戻った。日本では自衛隊に駆け付け警護を付与するのかどうかの議論が進む。紙面では伝えきれない個人的な思いを、自分なりにつぶやいてみたいと思う(治安上、外であまり写真が撮れないので過去に撮った写真も使用します) pic.twitter.com/QGW5DbJDCY
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
②基礎知識。南スーダンは2011年に独立後、大統領派と副大統領派が石油利権をめぐって対立。13年に武力衝突して内戦状態に。両派は昨年、和平合意を結び、今年、統一の暫定政権を発足させたが、7月に再び武力衝突。副大統領派はジュバを追われた pic.twitter.com/HfJRC4s10r
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
③7月の戦闘で何が起きたのか。それを知りたくてジュバに飛び込んだ。外務省は現在、南スーダン全域に「退避勧告」を出し、自衛隊はそれを理由に取材を拒絶中。取材者の安全を訴えるが、情報統制の側面も。現地を取材すると、日本政府や国連にとって不都合な事実がゴロゴロと出てくる pic.twitter.com/SvJupRbhUm
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
④国連施設の1㌔先にあるタレインホテル。入り口に近づくとすぐに治安部隊に止められ「帰れ」と追い返された。写真を隠し撮りして車に乗り込む。国際人権団体の報告書によると、7月、このホテルを襲ったのは80~100人の政府軍兵士だった pic.twitter.com/2rwc0tygjS
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑤兵士たちはまず地元記者を殺し、装飾品を略奪した後、外国の援助団体で働く女性を含む複数の女性を集団レイプした。米NGOの調査によると、滞在者らは近くに駐屯している国連部隊にさんざん助けを求めた。しかし「中国とエチオピアの部隊が出動を拒んだ」。事実上、無視したのだ pic.twitter.com/kq5wtjoGXb
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑥民間施設だけじゃない。7月の戦闘では国連施設も被害を受けている。世界食糧計画(WFP)の食料保管施設。何者かに襲撃され、22万人の1カ月分にあたる約4600トンの食料や車、大型発電機などを略奪された pic.twitter.com/CVCSMqwn4g
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑦WFP職員や銃を携帯した4人の民間警備員と車列を組んで現場に向かった。施設は大規模な戦闘が行われた地域にあった。周囲の民家は爆風で吹き飛び、道の真ん中には政府軍の巨大な戦車が砲身を吹き飛ばされた状態で放置されていた(エリア内は軍が管理しているため写真撮影は禁じられた) pic.twitter.com/Oo9aX85N0M
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑧施設の入り口は政府軍とみられる複数の兵士が守っていた。中に入ると、数百メートル四方の敷地内に数十台の国連の四輪駆動車やトラックが破壊され、残骸となって散らばっていた。エンジンやバッテリーなど、使える部品はすべて盗まれている pic.twitter.com/CH92tcuJXN
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑨「写真を撮らないで!」。カメラを出そうとした瞬間、WFP職員が険しい表情で小さく叫んだ。40メートルほど先で、Tシャツ姿の数十人の男たちが工具などで車両を解体し、鉄板や部品を運びだそうとしている。周囲では自動小銃を持った十数人の政府軍兵士とみられる男たちが警戒している pic.twitter.com/3i1Ky0aQs7
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑩「まずい。撤収しましょう」。兵士らしき男たちが銃を構えてこちらに近づこうとした瞬間、WFP担当者は真っ青な顔で慌てて車に乗り込んだ。敷地を出る際、「写真を撮っていたら、今すぐ消して。検問所で見つかると命に関わる。今にすぐに」との忠告を受けた pic.twitter.com/uYgtyvhbcI
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑪誰が略奪していたのか、警備していたのは政府軍兵士ではないのか。帰り道、私がWFP担当者に聞くと、彼は「答えられない。今回の件については何もコメントできない」と拒否。「目にした光景こそが今のジュバの現実だ」と言った pic.twitter.com/aAvJt8Qqw0
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑫タレインホテルもWFP食料庫も、国連施設のすぐそばにある。滞在者や関係者は何度も国連に救助を要請。しかし国連は動かなかった。市民は憤っている。飲食店経営者(41)は「戦闘が起きても市民を守れないなら、国連部隊はいる意味がない」 pic.twitter.com/iM7rJPgMSl
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑬その他にも諸々出てくる。国連部隊は国連施設の前で女性が政府軍兵士にレイプされるのを目撃しながら助けなかった。市民を保護するエリアでも、戦闘時、中国とネパールの部隊が逃走。逃げ込んできた市民に逆に催涙弾を打ち込んだりしている。平和維持活動(PKO)がまったく機能していない pic.twitter.com/GRnBPM23jJ
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑭国連は今月1日、PKO部隊の失敗を認め陳謝。国連保護施設にいた20人以上の避難民を含め、少なくとも73人が死亡したことを明かし、指導力の欠如、指揮命令の混乱などが原因としてケニア出身の軍司令官を更迭した。しかし、これがさらなる混乱を招く pic.twitter.com/neCabsrn2D
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑮自国出身の軍司令官の更迭に激怒したケニアが南スーダンPKOから部隊の撤退を宣言。ケニアは約1千人を派遣。それ以上に痛いのはケニアはモンバサ港などを通じて南スーダンの国連部隊に補給経路を提供している。影響は計り知れないが、日本政府は「直ちに影響がない」。もう笑うしかない pic.twitter.com/V5G0jfupjm
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑯政府の言う通り、ジュバは今は安定している。自衛隊も危険な場所にはいない。宿営地で他国部隊に守られている。いつだってそう。最も危険な場所にいるのは国境なき医師団と一部の国連職員、そして決してテレビには出てこない「本物」の戦場カメラマンたちだ pic.twitter.com/qe4VRX4yoG
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑰でもいつ戦闘が起こるかわからない。さらに駆け付け警護が始まれば状況は激変する。人を殺し、殺される可能性がある。相手はテロリストだけでなく、十分に武装された政府軍兵士かもしれない。7月の戦闘ではまさに政府軍の兵士が国連施設のすぐ側でNGOスタッフを集団でレイプしている pic.twitter.com/vVxvUL9Gsw
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑱例えば再度ジュバで戦闘が起き、JICAで活動していた日本人女性が今回のように国連施設の近くで政府軍兵士に襲われた場合、自衛隊はどうするだろう。救助に乗り出すのか、あるいは中国軍のように出動を拒否するか。私は自衛隊は救出に向かうのではないかと思う。それが日本人だから pic.twitter.com/LiuQ9mjekB
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑲そうした場合、自衛隊は十分な装備を持つ8政府軍兵士と向き合うことになる。その時、この動画にあるピヨピヨは役立つんだろうか。政府軍兵士はただ逃げるんだろうか。それはもう歴とした「戦闘」であり、国軍と国軍との「衝突」ではないのか https://t.co/0MZq5a9V05
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
⑳かなり辛辣なことを書けば、南スーダンにおける日本のプレゼンスはほとんどない。市民の多くはジュバに日本の部隊がいることだって知らない。政府や国連関係者に聞けば「日本は良くやってくれている」と言うだろうが、市民は知らない pic.twitter.com/KA3fF1a1wX
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
㉑それは日本における米軍の存在に似ている。みんな米軍が駐屯しているのは知っているが、それがどこの部隊かは知らない。興味がない。みんなこの混乱した国で生き残ることで精いっぱいだ。逆に国連部隊を嫌っている人は山ほどいる。独立国なのに何で他国の軍隊がいるんだ、ここは俺たちの国だ、と pic.twitter.com/PYOW3Co7b6
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
㉒自衛隊のPKO派遣は南スーダンのためではなく、積極的平和主義を掲げる現政権のパフォーマンスの意味が強いように見える。視界の先には南スーダン市民や自衛隊の家族の姿はなく、国際社会での発言力の維持や国際貢献をしているという「自己満足」ではないか pic.twitter.com/U7YTvwINbt
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
㉓一方、失うかも知れない代償はあまりにも大きい。私たちの国はあの敗戦以来、海外でただ一発の弾丸も撃っていない。誰も殺していない。それは世界に発信すべき、日本人の美点であり、外交上の財産であるはずだ。私は愛国者として「海外でたった一発の弾丸も撃っていない祖国」を誇る pic.twitter.com/WYQiR4Aksl
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
㉔先月20、反政府勢力を率いて政府軍と戦闘を続ける副大統領との単独会見に成功した。ずっと狙っていたスクープ。副大統領は「和平合意は崩壊した」と宣言。「今度は徹底的にやらなければならないな」と言った。南スーダンの内戦はまだ全然終わっていない pic.twitter.com/BWY47FDIJ2
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
㉕こうして政府軍や国連の都合の悪いことを書き続ければ、いずれは現地で取材ができなくなるかもしれない。身の危険があるかもしれない。でも今は書かなければいけない。それは今こそが、日本の安全保障が正念場だから。私は自衛隊に撃ってほしくない pic.twitter.com/dkIq6xYtmd
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
㉖東日本大震災の崩壊した現場で自衛隊は本当に輝いて見えた。子どもの遺体を抱え、若い隊員たちは泣いていた。もう一度、自国ではなく、他国の領域で武器を持つと言うことの意味を、そこに絶対的に必要な謙虚さと慎重さを、真剣に議論した方がいい(終) pic.twitter.com/lghQmhiWCV
— 三浦英之(朝日新聞アフリカ特派員) (@miura_hideyuki) 2016年11月6日
(追記)
「自衛隊のPKO撤収で民間人の犠牲者を見殺しにして良いのか?」という「一見もっともらしい」意見に反論しておきます。「既に機能不全に陥っているPKOの中で、たかだか数百人程度の実戦経験もない自衛隊に、一体何が出来るのか?仮に治安維持の為に自衛隊だけ勇み足で大部隊を南スーダンに増派した所で、『日本は平和主義を放棄したのか?』と非難されるだけだよ」と。
そもそも、同じ民族独立を目指した同志でありながら、なぜ大統領と副大統領がたもとを分かち、政府軍すら野盗の群れと化してしまうようになってしまったのか?植民地時代からの部族対立を温存したまま、資源目当てに二股をかけている国があるからではないか?口では「平和を望む」と言いながら、陰では内戦をこじらせ「漁夫の利」を得ようとする大国が存在するからではないか?その紛争の芽を摘んでこそ、本当のPKOであり国際貢献ではないのか?
その真の解決を模索せず、「北朝鮮や中国から日本を守る」と言いながら、南スーダンでは中国のPKO部隊ともつるんで資源の分捕り合戦に加わっている日本の今の政府に、平和や安定を口にする資格が果たしてあるのか。