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私がまだ次の引越し先を探していて、住之江区のあるマンションの下見に訪れた時の事です。そこは家賃も間取りも今のマンションとほとんど変わりませんでした。しかし、駅からだいぶ離れていたので、そこではなく今のマンションに引越す事にしました。その駅から離れたマンションに下見に訪れた時に、すぐ近くにこんもりした庭園が広がっていました。果たして住之江区の下町に、こんなにうっそうとした庭園があっただろうか?確か、住之江公園ぐらいしか無かったはずですが?そう思って調べたらちゃんとありました。それが加賀屋緑地(加賀屋新田会所跡)でした。ずっと気になっていたので、昨日、早速そこに行って来ました。
加賀屋緑地は、江戸時代後期に、大阪(当時は大坂)の豪商・加賀屋甚兵衛が、私財を投げ打って開発した加賀屋新田の会所(管理事務所)跡です。新田の経営管理や役人の接待場所、文人墨客のサロンとして使われました。今で言えばさしずめ迎賓館に当たるでしょうか?その「迎賓館」を明治以降に整備して設置されたのが加賀屋緑地です。現在は大阪市の有形文化財に指定されています。住之江区にある加賀屋の地名も、この加賀屋甚兵衛から来ています。
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加賀屋新田会所跡の碑と長屋門
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冠木門とそれに掲げられた「古見堂」の額
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旧書院(正面から見た姿、中の部屋の様子)
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土蔵と庭に抜ける入口の門
新田の屋敷跡なので、中には日本庭園や茶室があります。庭園には池や滝、飛び石などもあり、池には鯉が泳いでいました。広さは1,500坪ほどもあるそうです。正門の長屋門をくぐり、中に入ると次に冠木門(かぶきもん)が現れます。冠木門にかかる額に彫られた古見堂(こけんどう)の文字は、京都の偉い坊さんの手によるものだそうです。冠木門をくぐると旧書院が現れ、中を見る事が出来ます。その横には土蔵があり、土蔵横の門をくぐると日本庭園が現れます。
日本庭園には茶室の鳳鳴亭(ほうめいてい)、待合室の偶然亭、四阿(あずまや=休憩所)の明霞亭(めいかてい)などが建てられています。それらの建物に囲まれるようにして、池が広がり、滝やせせらぎ、湧き水の湧き出る淵などが造られていました。多分、どれも人工の構造物で、ポンプで水を汲み上げて循環させているのでしょうが。それでも、池の飛び石を飛び歩き、鯉を見ていると癒されます。この新田会所跡は、戦時中の空襲で一旦焼失してしまった後に、大阪市の手で復元されたものです。公共施設なので無料で拝観出来ます。開園時間は10時から16時半まで。但し受付は16時で終了。休園日は毎週月曜日と年末年始。詳しくは加賀屋緑地の管理事務所(TEL06-6683-8151)まで。
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鳳鳴亭(左から見た姿)
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同上(右から見た姿)
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明霞亭(左)と偶然亭(右)
ここで改めて見直したのが大阪市の役割です。昔は私もそうでしたが、とかく大阪市と言えば、「役人天国」のイメージしかありませんでした。確かに、今もそういう側面は無いとは言えませんが、その一方で、昔の新田会所跡を公園として整備・管理するという事も、ちゃんとやって来たのです。もし、この前の住民投票で大阪市が廃止されてしまっていたら、これらの仕事は一体誰が引き継ぐのでしょうか?法律上は大阪府になるのでしょうけれど、大阪府の吉村知事を観ていると、彼は万博やカジノを誘致する事しか頭にないような様子です。そんな彼が、こんな「地味」な公園の整備にまで気を配るでしょうか?
一見「地味」ではあっても、地元住民にとっては貴重な都会のオアシスです。それを無料で管理・運営できるのも、やはり大阪市があるからです。大阪市を廃止した後に設置されるという「特別区」では、自主財源がほとんどないので、無料では到底維持出来ないでしょう。幾ら「役人天国」が憎いからと言っても、それを潰してしまうだけでは、「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)までも」にしかなりません。これでは、バーミアンの石仏を破壊したアフガニスタンのタリバンとも、さほど変わらないのではないでしょうか?
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庭園の池は東池(左)と西池(右)の2つのエリアに分けられています。
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池には2か所のせせらぎが設けられています。右のせせらぎはまるで滝のようです。
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池の中から湧水(?)が湧き出し、飛び石の間では鯉が泳ぎ回っていました。