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踏切横断を口実にした弾圧を許すな!

2021年09月21日 21時45分28秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ
 
共産党参院議員の山添拓氏が書類送検された。何でも昨年11月の休日に秩父鉄道の写真を撮っている時に、「勝手踏切」を渡った事が、軽犯罪法違反に問われたらしい。山添氏自身も反省していると言う事で、上申書提出で済んだらしいが。
 
私も鉄道ファンの端くれ。いつ自分も同じ目に遭うかも知れない。そう思って彼のツイートを読んだ。「勝手踏切」と言う言葉がある事も、この件で初めて知った。
 
日本の鉄道踏切には次の4種類がある。警報機も遮断機も付いた第1種踏切、保安係が遮断機を操作する第2種踏切、警報機だけあり遮断機のない第3種踏切、どちらもない第4種踏切。最後の第4種踏切も、鉄道会社や警察が認めた正式な踏切だ。しかし、全国には、それ以外にも、住民が勝手に作った「勝手踏切」(私設踏切)が1万9千箇所もあるそうだ。
 
「勝手踏切」にも色々あり、農家の方が自分の農地に近道する為に作ったものもあれば、神奈川県の江ノ電の様に、後から線路が敷かれた為に、線路を渡らなければ自宅に入れない場所もある。「勝手踏切」の容態も様々で、単に柵が破れているだけの所もあれば、踏切の渡り板がないだけで、階段なども設けられて、正規の第4種踏切と一瞬見分けが付かないものもあるらしい。

特に、秩父鉄道は他の鉄道会社よりも「勝手踏切」が多いらしい。山間部の路線なので、農家の人が自分の畑に行くのに、一々山向こうにある正式な踏切を渡っていたら仕事にならない。鉄道会社も、「勝手踏切」を正式な踏切に昇格させて、警報機や遮断機を設置するだけのカネがない。国も、補助金を支給しなければならないので、踏切の保安設備強化や跨線橋設置には二の足を踏む。そういう諸々の要因を取り除かない限り、この問題は解決しない。単に警察の取り締まり強化だけで済む問題ではないのだ。
 
確かに、山添氏のやった事は褒められた事ではない。それでなくとも、一部「撮り鉄」の迷惑行為がマスコミをにぎわすようになってしまった。その中で、彼は共産党の国会議員で、一般人の模範になるよう努めなければならない立場だ。その彼が一部の「撮り鉄」と一緒くたにされるような事をしてどうする。
 
 
しかし、実際に列車の運行に支障を来したのならともかく、列車の来ない時間に、地元住民も通る「勝手踏切」を通ったからと言って、たったそれだけの事で、わざわざ書類送検する警察も、行き過ぎだと思う。そんな事言い出せば、静岡県の大井川鉄道に撮影旅行に行った時に、井川線の尾盛駅で踏切でない場所を横切った私も、下手すれば書類送検の対象になっていたかも知れない。
 
でも、尾盛駅の写真を見て貰えば分かるが、ホームから向こうの駅舎に行くには、線路を渡らなければならない。線路のどこにも踏切なんて無い。1日5本しか列車が停車しない秘境駅で、ホームも木枠で囲っただけの仮設ホームなのだから、踏切なんて要らないだろう。
 
構内踏切もない秘境駅で、列車の来ない時間に、周囲の安全確認をした上で、線路を渡ったからと言って、一体どこが悪いのか?そんなものまで犯罪扱いされたら、世の中犯罪者だらけになってしまうではないか。
 
住民の「勝手踏切」横断は黙認しながら、共産党議員の時だけ、鬼の首でも取ったかのように大騒ぎするのは、どう見ても公平とは言い難い。それも、「事件」発生から半年以上も経った今頃になって、昨年11月に起こった事を、何故今頃わざわざ蒸し返すのか?安倍や菅の方が、モリカケ桜や公文書改ざんなど、もっと酷い事やっているのに、そちらはお咎めなしで、何故こんな事で警察は書類送検するのか?
 
先の八代英輝弁護士の「共産党は今も暴力革命を追求」発言と言い、今回の書類送検と言い、非常に意図的なものを感じる。コロナ対策に失敗した菅内閣が退陣し、与党の自民党も地方選挙では連敗続き。他方で野党は、立憲民主党・共産党・社民党・れいわ新選組の4党が市民団体と政策協定に合意するなど、連携の動きを強めている。もし野党が一本化すれば、与野党で当落が逆転する小選挙区が60議席以上に上ると言われている。その中で、「共産党アレルギー」を煽るかのような先述の発言に続いて、今回の書類送検という所に、政権側の「悪意」が透けて見える。
 
この件でも早速ネトウヨ(ネット右翼)は共産党叩きに出ている。しかし、右翼団体の中にも、花瑛塾(かえいじゅく)の様に、「これを共産党だけの問題と捉えたら大間違いだ。こんな恣意的な弾圧を許したら、次は我々がやられる」と警鐘を鳴らしている人達もいる。
 
かつて、マルチン・ニーメラーという牧師が、ナチスの台頭を目の当たりにして、こんな事を言っていた。「共産党が弾圧された時、私は共産党員ではないから黙っていた。労働組合やユダヤ人が弾圧された時も、私はどちらでもないので黙っていた。教会が弾圧された時に、私は牧師として初めて立ち上がった。しかし、もうその時は、私達を支援してくれる人は、弾圧されて誰もいなくなってしまっていた」。そんな世の中にならない事を切に願う。
コメント (1)
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