大阪シティバスが万博関連バス運転手を時給2千円で募集。見かけの高時給に騙され応募する人もいるだろうが最長でも1日5時間勤務。日給1万、月22日勤務で22万。非正規雇用の私の給与ともさほど変わらず。交通事故の危険と隣り合わせで不規則勤務も多い職種なのに。市バス民営化の行き着く先がこの労働ダンピング。
しかも運転手の募集要項には研修中は時給1200円とか副業可とか、あり得ない文言が。時給1200円では200時間働いても僅か24万円。だから副業可にしているのだろうが、乗客の命を預かる仕事を片手間でやられたら堪らない。過去に深夜のスキーバスが過労運転で大事故を起こしたのをもう忘れたのか。
あと募集要項に社保完備とあるが、週20時間以上働かないと社会保険には入れない筈。万博関連運転手は1日4時間半~5時間、週3~5日勤務なので、最短4.5時間×3日だと週13.5時間しかなく社保には加入できない。常に交通事故の危険と隣り合わせなのに社保にも入れないのでは、ウーバーイーツと何ら変わらない。
時給2千円の見かけ上の高時給も所詮、非正規雇用の使い捨て。それは同業他社の募集条件と比較すれば一目瞭然。例えば神姫バス運転手は正社員1年目にして既に月給30万、賞与年3回で年収420万。大型二種免許取得支援や入社祝い金支給も。ただでさえ運転手の成り手がいないのに、年収300万以下の給与で誰が来るか。
ここで維新支持でネトウヨ(ネット右翼)の兄貴が、以前、市バス運転手の年収900万を槍玉に上げていたのを思い出した。もらい過ぎだと。それを今の維新市政が、市バスを民営化して大阪シティバスに改組した事で、バス運転手の給与も仕事に見合う水準に是正したと。でも私は決してそうは思わない。
民営化でサービスはよくなると言われるが、それは外面だけの事。乗客を増やす為に儲かる路線はダイヤも増発されサービスも向上されるが、利益を生まない保安部門は真っ先に削減される。地方では鉄道だけでなくバス路線の廃止も相次ぐ。人手不足対策だけでなく乗客の安全確保の為にも運転手の待遇改善を求む。
市バス時代の年収900万が仕事に見合うだけの収入だったかどうか?今の私には判断できない。でも、今の時給2千円でも年収換算では300万に満たない低賃金よりは、はるかにマシだ。それでなくとも運輸業界は長時間労働で低賃金。人手不足でドライバーも高齢化。それぐらい出さなければ人は来ない。
台風が来襲しても物流センター勤務の私は休めない。出荷先は台風で軒並み臨時休業も、センター内では次の荷物を捌くのにてんてこ舞い。バス運転手もこれと同じ。台風でバスが運休しても決して遊んでいる訳ではない。逆に台風対応で普段以上に激務なのだ。年収900万ぐらい貰わなければ到底引き合わない。
自民党議員の松川るいが公費で海外研修に出かけてパリでエッフェル塔のポーズ。これでは研修ではなくただの海外旅行だと非難殺到。市バス運転手の年収900万より、むしろこちらの無駄遣いこそ問題では?なのに政治家の浪費を棚に上げ、市バス運転手ばかり槍玉にあげるのは職業差別以外の何物でもない。