今年2月9日投票の東京都知事選で、本来なら猪瀬・徳洲会献金疑惑追及の先頭に立つべき候補が、猪瀬同様の金権体質を抱えていると、かつての仲間から批判されています。澤藤統一郎氏や醍醐聰氏らによる宇都宮健児候補への批判がそれです。特に澤藤氏などは、ご自身のブログ「澤藤統一郎の憲法日記」で既に20本以上も宇都宮氏の立候補辞退を呼びかける記事を書いています。
澤藤氏や醍醐氏による宇都宮氏批判の要点は概ね次の通りです。
(1)選対本部長(上原公子・元国立市長)や選対事務局長(熊谷伸一郎・岩波書店社員)など一部幹部による専断的な選対運営によって、翌日の街宣日程が前日になっても決まらなかったり、現場の人手不足がずっと放置されてきた。それに対して、宇都宮候補の随行員として選挙ボランティアに加わった澤藤氏の息子・大河氏が、選対事務局に何度もその問題でかけ合ってきた。選対事務局はそれに対し、改善するどころか逆に、大河氏ともう一人の随行員を、理由も明らかにしないまま、いきなり「臭い物に蓋」とばかりに随行員から外す挙に出た。
(2)その一方で、上原本部長は、公選法では買収供応として明確に禁じられている選挙報酬を、ウグイス嬢などの労務費(バイト料)や交通費・宿泊費などの実費支給に限り例外的に認められている規定を悪用し、違法に受け取り、政治資金収支報告書にも虚偽の記載をした。
(3)熊谷事務局長も、岩波書店社員として給与を貰いながら、有給休暇も使わず、選挙活動に業務として参加する「企業ぐるみ選挙」を行っていた。
(4)その他にも、選挙ボランティアを単に自分たちの手足としてしか見なかったり、ビラ配布中に不当逮捕された運動員の釈放・救援にもまともに取り組まなかったりといった、差別的な選対運営がまかり通っていた。
(5)自身も選対幹部として加わった父親の澤藤統一郎氏が、何度もそれらの問題点を内部で指摘してきたのに対し、選対事務局は今度は澤藤氏も選対事務局から排除するに至った。
(6)宇都宮健児氏自身も、前述の選対運営の横暴を何ら諌めず、事実上、見て見ぬふりでお茶を濁してきた。
(7)宇都宮氏自身の都知事候補としての適格性も甚だ疑問だ。選挙戦の最初から最後まで同じ内容の演説の繰り返しで、かみ合った論戦が全然できていなかった。
それに対する反論が「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に対する法的見解」の名で宇都宮後援会「人にやさしい東京をつくる会」の公式サイトに掲載されましたが、抽象的な言い訳に止まり、全然、具体的な反論になっていません。例えば、選挙報酬について、「あれは交通費や宿泊費等の実費支給に過ぎず、買収供応には当たらない」と反論していますが、それなら何故、実費なら必ず出る筈の千円以下の端数が一切計上されず、まるで判で押したように10万円ちょうどという、いかにも取って付けたような報酬金額になるのでしょうか。既に醍醐聰氏もご自身のブログでこの疑問に言及しておられますが、私も醍醐氏と同じ疑問を持ちました。確かに猪瀬・徳洲会の5千万円疑惑とは全然金額が違いますが、やっている事は全く同じです。
これでやっと、前回2012年都知事選での宇都宮大敗の理由が分かりました。当時は猪瀬直樹が石原慎太郎の後継者として自民・公明両党に加え「維新の会」からも推薦を得て、同時に行われた衆院選での自民党圧勝の余勢をかって、433万票もの大量得票で早々と当選を決めました。
それと全く対照的だったのが宇都宮健児氏です。こちらも猪瀬には及ばないものの、元日弁連会長や年越し派遣村の名誉村長、サラ金に対する過払い金返還訴訟のリーダーとして、それなりに知名度がありました。それに加え、これまで同氏を支援してきた共産党だけでなく、社民党や緑の党、菅元総理など民主党の一部からも支援を得て、かつての革新共闘に近い体制で選挙に臨んでいました。東京都民ではない私も、この選挙にはかなり期待していました。
ところが、いざ蓋を開けてみると、事実上の革新共闘が成立していたにも関わらず、僅か96万票しか得票できませんでした。得票率も僅か14%余りです。これが地方の知事選なら寧ろ善戦との評価になるでしょうが、仮にも大都市・東京で、民主党左派や革新無党派も加えれば今でも150万票ぐらいの潜在的リベラル票が存在する筈なのに、何故たった96万票しか得られなかったのか。確かに、衆院選挙との抱き合わせで都知事選の争点がかすんでしまった、民主党が自主投票に回り、かなりの票が松沢成文・元神奈川県知事や猪瀬に流れてしまったという、不利な条件もありましたが、その点を割り引いても、これでは幾ら何でも負け過ぎではないかと、ずっと疑問に思っていました。実際、その翌年2013年参院選での吉良佳子(共産党公認)70万票+山本太郎(革新系無所属)66万票+大河原雅子(民主左派系無所属)23万票の得票を合計すれば、約150万票になります。
そりゃあ、街宣スケジュールが前日になっても決まらず、素人同然の技量しかないくせに、権力欲だけは一人前の選挙スタッフや、前評判こそ良いものの、実際はそんな選挙スタッフに振り回されるだけの、弁舌も朴訥なだけで論戦もかみ合わない候補者では、幾ら優れた政策を提示できても、全然勝負になりません。
特に、これだけ政治不信が蔓延している中では、言っている事とやっている事が違う政治家は、有権者からことごとく総スカンに遭います。これは保守(右派)・革新(左派)問わずです。寧ろ、今はソ連崩壊や北朝鮮拉致問題などの思想的影響や、生活保護バッシングなどの弱い者虐めの風潮もあって、寧ろ左派の方が右派以上に叩かれる傾向があります。与党の保守系政治家にクリーンな政治や社会正義の実現なぞ誰も期待しません。それでも多くの人がそんな政治家を支持するのは、見返りを期待しての事です。逆に野党の革新系政治家には有権者はクリーンさや社会正義の実現を期待します。ところが、その野党の革新系も、保守陣営の企業ぐるみ選挙や権力支配を散々批判しながら、自分達は業務命令で部下に選挙応援させたり、与党も顔負けの権力欲にまみれていたのでは、有権者にとっては「どっちもどっち」でしかなくなります。「どっちもどっち」なら、「見返り」のより大きい方を選んでしまうのも、肯定はしませんが理解はできます。
この澤藤氏や醍醐氏の宇都宮氏批判を、利敵行為や私憤で片付けてはいけないと思います。これでは、さしずめ「ブラック企業の搾取と闘う」と言いながら、支持母体の生協内部で蔓延しているパワハラや不当労働行為には目をつむり、それへの批判を利敵行為や私憤として握りつぶす様なものじゃないですか。元生協職員で前述の被害にも遭った私としては、そんな二枚舌の政治家なぞ到底許容できません。
しかし、それでもやっぱり、若し私が東京都民だったら、しぶしぶ宇都宮さんに投票はするでしょうね。下手に棄権に回って、舛添や田母神なぞ都知事にさせようものなら、後々大変な事になります。福祉は切り捨てられ、ブラック企業も今以上に野放しにされます。「日の丸・君が代」強制を始めとした思想統制や、女性や障害者への差別も更に酷くなるのは確実です。何故なら、相手は、現憲法の主権在民(民主主義)・人権尊重・戦争放棄(平和主義)の思想をことごとく敵視し、戦前の帝国憲法を美化する様な人たちなのですから。万が一、田母神なぞ知事にさせようものなら、世界中からバカにされてしまいます。かつて橋下徹を知事にしてしまった後に他の大阪府民まで「お笑いバカ」と揶揄された以上のバッシングを受ける事になるでしょう。
だから、棄権に回る位なら、まだ宇都宮さんに「しぶしぶ」入れるでしょう。しかし、今回の事で、私の宇都宮さんに対する期待はすっかり冷めてしまいました。もはや、かつての様に、他の人にも同氏を推薦しようという気には全然なれません。
まだ告示日まで何日間かありますから、その間にもっと素晴らしい人が名乗りを上げてくれれば良いのですが、現状ではそれも望み薄です。私自身は、澤藤統一郎さんでも良いと思いますが、当人が固辞されている以上どうしようもありません。そういう意味では、今回の都知事選挙には殆ど何も期待できないでしょう。
でも、これを「対岸の火事」と舛添や田母神自身が思っているなら、それはとんでもない間違いだという事も、ここで同時に申し上げておきます。人材難は別に革新陣営だけに限った事ではありません。人材難は保守も同じ。だからこそ、客観的に見れば「過去の人」でしかない舛添、田母神、細川、東国原といった人物しか、候補者として名前が上がって来ないのでしょう。それで仮に嘘とペテンで幾ら票を掠め取っても、それらが砂上の楼閣にしか過ぎない事は、今の猪瀬を見れば良く分かります。たとえ今回の件があっても、人柄と政策については、我々の陣営の方が「敵」を上回っているのは確かです。あちらの陣営の方が上回っているのは、嘘とペテンと権力で人をたぶらかすテクニックだけなのですから。(続編に続く)
澤藤氏や醍醐氏による宇都宮氏批判の要点は概ね次の通りです。
(1)選対本部長(上原公子・元国立市長)や選対事務局長(熊谷伸一郎・岩波書店社員)など一部幹部による専断的な選対運営によって、翌日の街宣日程が前日になっても決まらなかったり、現場の人手不足がずっと放置されてきた。それに対して、宇都宮候補の随行員として選挙ボランティアに加わった澤藤氏の息子・大河氏が、選対事務局に何度もその問題でかけ合ってきた。選対事務局はそれに対し、改善するどころか逆に、大河氏ともう一人の随行員を、理由も明らかにしないまま、いきなり「臭い物に蓋」とばかりに随行員から外す挙に出た。
(2)その一方で、上原本部長は、公選法では買収供応として明確に禁じられている選挙報酬を、ウグイス嬢などの労務費(バイト料)や交通費・宿泊費などの実費支給に限り例外的に認められている規定を悪用し、違法に受け取り、政治資金収支報告書にも虚偽の記載をした。
(3)熊谷事務局長も、岩波書店社員として給与を貰いながら、有給休暇も使わず、選挙活動に業務として参加する「企業ぐるみ選挙」を行っていた。
(4)その他にも、選挙ボランティアを単に自分たちの手足としてしか見なかったり、ビラ配布中に不当逮捕された運動員の釈放・救援にもまともに取り組まなかったりといった、差別的な選対運営がまかり通っていた。
(5)自身も選対幹部として加わった父親の澤藤統一郎氏が、何度もそれらの問題点を内部で指摘してきたのに対し、選対事務局は今度は澤藤氏も選対事務局から排除するに至った。
(6)宇都宮健児氏自身も、前述の選対運営の横暴を何ら諌めず、事実上、見て見ぬふりでお茶を濁してきた。
(7)宇都宮氏自身の都知事候補としての適格性も甚だ疑問だ。選挙戦の最初から最後まで同じ内容の演説の繰り返しで、かみ合った論戦が全然できていなかった。
それに対する反論が「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に対する法的見解」の名で宇都宮後援会「人にやさしい東京をつくる会」の公式サイトに掲載されましたが、抽象的な言い訳に止まり、全然、具体的な反論になっていません。例えば、選挙報酬について、「あれは交通費や宿泊費等の実費支給に過ぎず、買収供応には当たらない」と反論していますが、それなら何故、実費なら必ず出る筈の千円以下の端数が一切計上されず、まるで判で押したように10万円ちょうどという、いかにも取って付けたような報酬金額になるのでしょうか。既に醍醐聰氏もご自身のブログでこの疑問に言及しておられますが、私も醍醐氏と同じ疑問を持ちました。確かに猪瀬・徳洲会の5千万円疑惑とは全然金額が違いますが、やっている事は全く同じです。
これでやっと、前回2012年都知事選での宇都宮大敗の理由が分かりました。当時は猪瀬直樹が石原慎太郎の後継者として自民・公明両党に加え「維新の会」からも推薦を得て、同時に行われた衆院選での自民党圧勝の余勢をかって、433万票もの大量得票で早々と当選を決めました。
それと全く対照的だったのが宇都宮健児氏です。こちらも猪瀬には及ばないものの、元日弁連会長や年越し派遣村の名誉村長、サラ金に対する過払い金返還訴訟のリーダーとして、それなりに知名度がありました。それに加え、これまで同氏を支援してきた共産党だけでなく、社民党や緑の党、菅元総理など民主党の一部からも支援を得て、かつての革新共闘に近い体制で選挙に臨んでいました。東京都民ではない私も、この選挙にはかなり期待していました。
ところが、いざ蓋を開けてみると、事実上の革新共闘が成立していたにも関わらず、僅か96万票しか得票できませんでした。得票率も僅か14%余りです。これが地方の知事選なら寧ろ善戦との評価になるでしょうが、仮にも大都市・東京で、民主党左派や革新無党派も加えれば今でも150万票ぐらいの潜在的リベラル票が存在する筈なのに、何故たった96万票しか得られなかったのか。確かに、衆院選挙との抱き合わせで都知事選の争点がかすんでしまった、民主党が自主投票に回り、かなりの票が松沢成文・元神奈川県知事や猪瀬に流れてしまったという、不利な条件もありましたが、その点を割り引いても、これでは幾ら何でも負け過ぎではないかと、ずっと疑問に思っていました。実際、その翌年2013年参院選での吉良佳子(共産党公認)70万票+山本太郎(革新系無所属)66万票+大河原雅子(民主左派系無所属)23万票の得票を合計すれば、約150万票になります。
そりゃあ、街宣スケジュールが前日になっても決まらず、素人同然の技量しかないくせに、権力欲だけは一人前の選挙スタッフや、前評判こそ良いものの、実際はそんな選挙スタッフに振り回されるだけの、弁舌も朴訥なだけで論戦もかみ合わない候補者では、幾ら優れた政策を提示できても、全然勝負になりません。
特に、これだけ政治不信が蔓延している中では、言っている事とやっている事が違う政治家は、有権者からことごとく総スカンに遭います。これは保守(右派)・革新(左派)問わずです。寧ろ、今はソ連崩壊や北朝鮮拉致問題などの思想的影響や、生活保護バッシングなどの弱い者虐めの風潮もあって、寧ろ左派の方が右派以上に叩かれる傾向があります。与党の保守系政治家にクリーンな政治や社会正義の実現なぞ誰も期待しません。それでも多くの人がそんな政治家を支持するのは、見返りを期待しての事です。逆に野党の革新系政治家には有権者はクリーンさや社会正義の実現を期待します。ところが、その野党の革新系も、保守陣営の企業ぐるみ選挙や権力支配を散々批判しながら、自分達は業務命令で部下に選挙応援させたり、与党も顔負けの権力欲にまみれていたのでは、有権者にとっては「どっちもどっち」でしかなくなります。「どっちもどっち」なら、「見返り」のより大きい方を選んでしまうのも、肯定はしませんが理解はできます。
この澤藤氏や醍醐氏の宇都宮氏批判を、利敵行為や私憤で片付けてはいけないと思います。これでは、さしずめ「ブラック企業の搾取と闘う」と言いながら、支持母体の生協内部で蔓延しているパワハラや不当労働行為には目をつむり、それへの批判を利敵行為や私憤として握りつぶす様なものじゃないですか。元生協職員で前述の被害にも遭った私としては、そんな二枚舌の政治家なぞ到底許容できません。
しかし、それでもやっぱり、若し私が東京都民だったら、しぶしぶ宇都宮さんに投票はするでしょうね。下手に棄権に回って、舛添や田母神なぞ都知事にさせようものなら、後々大変な事になります。福祉は切り捨てられ、ブラック企業も今以上に野放しにされます。「日の丸・君が代」強制を始めとした思想統制や、女性や障害者への差別も更に酷くなるのは確実です。何故なら、相手は、現憲法の主権在民(民主主義)・人権尊重・戦争放棄(平和主義)の思想をことごとく敵視し、戦前の帝国憲法を美化する様な人たちなのですから。万が一、田母神なぞ知事にさせようものなら、世界中からバカにされてしまいます。かつて橋下徹を知事にしてしまった後に他の大阪府民まで「お笑いバカ」と揶揄された以上のバッシングを受ける事になるでしょう。
だから、棄権に回る位なら、まだ宇都宮さんに「しぶしぶ」入れるでしょう。しかし、今回の事で、私の宇都宮さんに対する期待はすっかり冷めてしまいました。もはや、かつての様に、他の人にも同氏を推薦しようという気には全然なれません。
まだ告示日まで何日間かありますから、その間にもっと素晴らしい人が名乗りを上げてくれれば良いのですが、現状ではそれも望み薄です。私自身は、澤藤統一郎さんでも良いと思いますが、当人が固辞されている以上どうしようもありません。そういう意味では、今回の都知事選挙には殆ど何も期待できないでしょう。
でも、これを「対岸の火事」と舛添や田母神自身が思っているなら、それはとんでもない間違いだという事も、ここで同時に申し上げておきます。人材難は別に革新陣営だけに限った事ではありません。人材難は保守も同じ。だからこそ、客観的に見れば「過去の人」でしかない舛添、田母神、細川、東国原といった人物しか、候補者として名前が上がって来ないのでしょう。それで仮に嘘とペテンで幾ら票を掠め取っても、それらが砂上の楼閣にしか過ぎない事は、今の猪瀬を見れば良く分かります。たとえ今回の件があっても、人柄と政策については、我々の陣営の方が「敵」を上回っているのは確かです。あちらの陣営の方が上回っているのは、嘘とペテンと権力で人をたぶらかすテクニックだけなのですから。(続編に続く)
以下は、四トロ二次会における私の投稿の転載です。
細川護熙氏への態度について 投稿者:まこと@スマホ
投稿日:2014年 1月12日(日)23時55分43秒
細川氏が「脱原発」に加え、秘密保護法への反対姿勢を明らかにしたら、安倍政権に揺さぶりを掛けて東京から政治的ダイナミズムを起こすという一点の目的のために、左派が細川氏を支持するという選択肢はあり得るのでは無いでしょうか。
私が思うに、いま求められるべきは安倍政権の独裁的政治手法、ネオナショナリズムに楔を打ち込む契機を作ることだと思います。政策については反動的でなければ、左派色の濃淡は、現下の政治状況においては、さほど問題では無いと考えます。
細川護煕氏の出馬の背景には小泉純一郎氏のラブコールがあると言われています。もとより私は小泉政権の進めた新自由主義政策には怒りを抱いています。が、未だに少なからぬ国民的人気のある小泉氏が自民党に反旗を翻して細川氏を支持するのであれば、それだけでも安倍政権に与える政治的インパクトは少なくありません。また、秘密保護法における独裁的な国会運営で支持率を落としている安倍政権の推す候補者が落選、もしくは落選させるまではいかなくても非自民候補者が健闘出来れば、安倍政権が進めようとしている右翼的政策にブレーキを掛けることも出来るでしょうし、「次」の機会にチャンスを繋げることも出来るでしょう。
残念ながら、宇都宮氏では左派の自己満足選挙で終わるでしょうね。先の都知事選で猪瀬氏に4倍以上の得票差を付けられて大敗している時点で、氏では民衆の広範な支持を獲得出来ないという事実を証明しています。しかも、澤藤氏や醍醐氏が指摘しているような問題を現在進行形で抱えている以上、法的なリスクもあります。共産党や社民党は、今からでも宇都宮氏推薦の路線を見直すべきでしょう。
ここで安倍氏が支持する候補者が他の候補者に大差を付けて勝利すれば、安倍政権に信任を与えたのと同様になるでしょう。それだけは阻止せねばならないと考えます。ここで安倍政権側を勝たせたら、原発再稼働はもとより、集団的自衛権をはじめとする右翼的政策を強行するでしょう。
今こそ、大局的見地が求められると考えます。
政治の右翼化を一ミリでも後退させなければ。 投稿者:まこと@スマホ
投稿日:2014年 1月14日(火)00時07分47秒
>日本社会は、右から左までその全体が、かなり未熟、ないしは腐朽しているのだと痛感しました。(バッジさん)
澤藤統一郎氏の告発と、その後の宇都宮陣営の様相は、日本の左派・自称「市民派」の混迷ぶりを象徴するものですね。
しかし、秘密保護法、日本版NSC、武器輸出三原則の見直しなど、危険なネオナショナリズム的策動を次々と強行しようと企てる安倍政権に歯止めを掛けることが喫緊の課題だと思います。
別に私は細川護煕氏が都知事候補としてはベストだとは思いません。しかし、今の宇都宮健児氏は、浅野史郎氏が立候補した時の都知事選で例えるならば、吉田万三氏と五十歩百歩の立ち位置です。脱原発票、反安倍票を分散させるだけです。
また、左派・自称「市民派」が宇都宮健児氏を擁立して主体的に闘うことは、かなりのリスクを伴うと思います。大敗すれば左派・リベラルに対する民衆の幻滅感は大きなものになるでしょうし、澤藤氏や醍醐氏が指摘するような問題が社会的に対象化され、左派・自称「市民派」がそれらの指摘を知りながら積極的に支援していたとすれば、その社会的非難・風当たりは左派・リベラルにとって壊滅的打撃になるやもしれません。
私は左派・リベラルが細川護煕氏の支持という路線はあり得る選択肢では無いかと書きましたが、支持とは別に主体的に選挙戦を闘うことだけを意味する訳では無いと思います。「こちら側」の候補者を降ろす、積極的に細川護煕氏の選挙には関わらないーこれもまた支持の一形態だと思います。
細川護煕氏という人物が反安倍自民の候補者として名乗りを挙げ、なおかつ左派・リベラル側の候補者が宇都宮健児氏以外にいないのであれば、今回は左派・リベラル側が主体的に選挙を闘うことは断念し、消極的に細川護煕氏を支持し、「次」の闘いに繋げるという選択肢もあって良いのではないかと思います。
それに、「細川知事実現で安倍の暴走にストップを」というようなお題目は、あまりにもあどけないと願望だと思います。
細川出馬の条件の一つに小泉の支援があるようでは、靖国主義者をもって靖国派右翼を打とうなどという悪い冗談にしかなりませんからね。
こういう点からも、代々木流1点共闘主義は、選挙では難しいんです。選挙後に脱原発公約で裏切られた上に靖国右翼大増殖じゃ、踏んだり蹴ったりですからね。おまけに菅たちからTPP容認、消費税増税まで後押しされそうな知事じゃ、細川支持は民主党政権の時以上に高額授業料になる。
今回は、安倍ファシズム内閣と宇都宮取り巻きグループの二つの暴走を許していた我々有権者一人ひとりに積年のツケが回って来てしまったと諦め、深手を負わないうちに撤収して都知事選以降をみんなで考えるべきでしょうね。
今回の事態を教訓として、せめて今後の首長選挙での民主的なタマ出し方法だけでもね。
なお、宇都宮応援団の「法的見解」と澤藤・醍醐両氏によるそれへの反批判も読まずに贔屓の引き倒しを続けている宇都宮支持者や、その論争についての自らの見解も示さずに進歩派ヅラだけしているブロガー、ネット族は、やがて言論界での面目や影響力を失うでしょうからよくマークしておいた方が良いと思いますよ。今後は付き合い方を考えるべきでしょう。
今回の事件は、見解表明に共産党流の「民主集中制」が適用されるような問題でもないのですから、有権者一人ひとりの良心や道義性が試されていると思いますからね。
ところで、この記事では宇都宮健児氏に対して割と辛辣な事を書きましたが、実際はそんな酷い人ではない様な気がします。寧ろ悲劇のヒーローと言った方が近い様な。
と言うのも、氏が弁護士として有名になったのは、多重債務問題に取り組む中で、サラ金の利息を利息制限法で定める法定利息に引き直して、過払い分を取り返す手法を確立したからでしょう。この複雑な利息計算ができるのは、経理畑の人物でないと無理です。大雑把な性格の人間には向いてない仕事です。宇都宮氏も、多分そんな経理・総務向きの性格の人だったのではないでしょうか。
そういう人は、細かな計算は得意な代わりに、演技力や指導力には欠ける場合が多い。私自身もどちらかと言うとそんな性格なので、何となく氏の置かれた立場が分かるのです。
氏はそこで能力を発揮しているうちは良かったのでしょうが、いつしか貧乏人の味方、悪徳サラ金と闘うヒーローに祭り上げられてしまった。一旦祭り上げられてしまったら、元々嫌とは言えない性格なので、とうとう都知事候補の役回りまで押し付けられてしまった。支援する革新政党の側からすれば、苦学の末に弁護士になり、貧乏人の味方として活躍する氏は、「格好の絵」になりますからね。
でも、絵を描くだけでは政治にならない。少数与党の知事として、巨大な敵を向こうに回して公約を実現しようと思えば、石原や橋下の様な演技力やハッタリも必要です。でも、それは氏にとっては所詮「無い物ねだり」だ。でも、氏の性格からすれば、今さら出馬辞退なぞ出来ない。恐らくそんな所ではないでしょうか。
氏も無責任と言えば無責任なのでしょうが、本当に悪いのは氏ではなく、寧ろ、氏を政党の勝手な都合でヒーローに祭り上げた側ではないかと思います。
彼が弁護士としていろいろな社会問題で頑張れたのも、彼より左側に共産党を始めとする一定の勢力があったからでしょうね。彼は一人ではなかった。
でも、今回の問題対応からみて、彼には残念ながら戦前戦中の獄中闘士のような勇気や頑張りまでは多分期待できないでしょうね。彼にも転向者同様の多勢迎合許容思想があるからです。問題ある対応をした選対中枢の多勢に迎合してしまうような姿勢のことですよ。
ま、ミヤケンの言い草ではありませんが、人間、真面目でお人好しなだけではダメなんですね。
時には蛮勇ともいうべき決断が出来ないと政治家はつとまりません。本物の民主主義者には誠実性や勇気が大切なんでしょうね。オレも他山の石とします。
また、金子勝氏は、宇都宮氏を推薦する共産党と社民党に対して一本化に向けて動くべきと主張しています。その社民党の吉田党首も、一本化を希望するコメントを明らかにしています。
広瀬隆氏は、はっきりと宇都宮氏に立候補を止めるよう要求し始めました。
もう、今回については、左派・リベラルの独自候補を擁立するのは断念すべき時期が来ていると思いますね。
宇都宮氏には潔く都知事選から降りて頂き、左派・リベラルは今回は細川氏の選挙を静かに見守りつつ、「次」の闘いに向けて戦略を練り直すべきです。
しかしそんなことは、国政選挙のような党派選挙で全小選挙区立候補に固執していた共産党中央に対し、レーニンの「左翼小児病」見解なども援用して反対したオレたちだって主張しませんでしたよ。「民主党に投票を集中せよ!」で行け、などとはね。
だいたい、今回の選挙では、多くの無党派有権者は「幻想の崩壊=民主党に寄せた期待の裏切られ」もすでに経験し、期待すべき層は政治的な学習をかなり積んでいる。だから昨年の都議選、参議院選挙の結果(=共産党の復調)も生まれたんです。やはりニセ改革派や補完勢力への次善策的期待ではダメだ、左右二択か棄権だ、と。
民主党による政権交代待望論が溢れる中での政治経過は、「左翼小児病」でレーニンが予測したような方向にだいたい動いたのです。
そういう政治的経過をたどってきたばかりなのに、ここでまた「一本化」などを主張するのは、お人好し左翼が有権者に幻想を代理販売し古い教材をまたぞろ持ち出すことにしかなりませんよ。学習済みの無党派有権者をバカにして追試を押し付けることでしかない。細川・小泉・小沢・菅野合集団は、政策的な取り柄も政治的信頼性もほぼ皆無の靖国派新自由主義選挙サギなのですからね。
こんな連中の提灯持ちや代理店をしなければならないほど我々小児科医は阿呆ではありません。政治的メリット皆無ですからね。
しかしさりとて手札も無い。今日は岩波筋から新たな暴露と宇都宮批判も公表されましたしね。宇都宮陣営の道義的(法的?)苦境は深まるばかりでしょう。
ま、今回は、候補者が病死してしまった選挙だぐらいに諦めて、他の政治課題に時間をさく方が賢明でしょうね。変な品質保証書まで捏造してムリ支援などすると、売り物が宇都宮でも細川でも後に全く責任持てませんからね。
ブルジョア議会主義者や選挙闘争至上主義の視野狭窄病者からは拒絶されるでしょうが、この世には「寝てしまう選挙」というのもありえるんです。実際に、小選挙区選挙では左翼も多くの地域でそういう対応をとって来ていますからね。共産党組織も、当選の目が全くない選挙で「革休を取って動け!」とまでは言わないでしょ!
猪瀬の自滅(=ヤツは徳田からの5000万など食わなくともまず当選していた)で生まれたタナボタでしかないんだから、手元不如意のくせにあまり夢中になるな!ということです。
脱原発にしても、氏は「転ぶ」可能性は確かに内包していると思います。橋下徹氏という先例もありますし。
私が言うところの「消極的支持」とは、左派・リベラルの独自候補である宇都宮健児氏には都知事選から撤退して頂き、かつ無党派系宇都宮支持層および社共支持層には「自主投票」を呼び掛け、都知事選は細川氏の選挙戦を静かに見守るというものです。
「世に倦む日日」など一部のリベラル系ネット論客は社共や宇都宮選対に対して細川支援と引き換えに政策のバーター取引をするよう宇都宮陣営に求めていますが、その必要は無いでしょう。というより、おそらく細川・小泉ラインは宇都宮陣営との連携で左派色が強くなることで保守票を失うことを敬遠し、取引には応じないでしょう。また、細川陣営と左派・リベラル側が取引すれば、細川支援に対する政治的責任が生じます。
左派・リベラルが黙っていても、宇都宮陣営が撤退すれば、宇都宮支持票の大半は細川氏に流れるでしょう。
仮に細川氏が都知事選に当選したとしても、左派・リベラルはいずれ、原発政策その他で「細川都知事」と対峙する時は来ると思います。その時のためにも、今は準備期間だと思いますね。
いずれにしても、左派・リベラルは今回は都知事選から一時退却すべきです。
マルクスだって「蜂起はやめろ!」と止めたことだってあるんですからね。
また、敗北主義の逆の冒険主義というのは、選挙闘争のような平和的闘争形態においてもありえるのだと思います。冒険主義は、武装蜂起のような非平和的闘争形態だけに発生するのではない
政治闘争は、目先目先しか見ずに万たび闘えば良いというものじゃないんです。客観情勢や主体的力量をよく見る必要がある。
もっとも、左翼には負けを覚悟で闘わなければならないような局面もありますがね。闘わずに勢力温存したつもりがその後の部隊に意気阻喪や無気力を招く場合とかもある。戦争前夜のような情勢下だけでなく、勝敗度外視の闘いが求められる場合はままある。
ま、政治的対応は、彼我の具体的状況次第でしょう。
冒険主義でも敗北主義でも拙い、ということです。