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病院つぶしてカジノに入れあげ都構想にNO!

2020年10月28日 09時53分50秒 | 都構想・IRカジノ反対!

11月1日に迫った大阪市廃止・特別区設置住民投票(いわゆる「都構想」住民投票)に向けて、様々な市民団体が反対運動を展開しています。そのうちの一つで、元・大阪市長の平松邦夫氏らが立ち上げた大阪市民交流会では、ビラ配りやポスター張りのボランティアを募集しています。それを聞きつけて、私も自分の住むマンションにビラを配ろうと、地下鉄谷町四丁目駅近くにある同会の事務所に、ビラを取りに行きました。そして、ビラを受け取ったついでに、「大阪問題 資料編」というパンフレット(左上写真)をもらいました。

このパンフレットは、市民交流会とはまた別の市民団体が、2017年(平成29年)に内部資料として発行したものです。もう数年前の資料ですが、「都構想」の問題点について詳しく書かれています。私が疑問に思っていた住吉市民病院(右上写真)の統廃合問題についても詳しく書かれているので、いただいて帰る事にしました。そして、マンションにビラを配った後で、統廃合問題について読ませてもらいました。

住吉市民病院の統廃合問題とは、老朽化した同病院を建て替えようとした時に、当時の橋下徹・大阪市長が、「赤字の市民病院なぞ建て替えずにつぶして、近くの大阪急性期・総合医療センター(旧府立病院)に統合してしまおう。建て替えには57億円かかるが統廃合なら30億円で済む。そして母子医療センターを後者に併設するようにすれば良い。そうすれば同じような施設を2つも抱えずに済むし、機能強化にもなる。これこそ『二重行政解消』のモデルケースだ」と言い出した事がきっかけです。

しかし、上の地図を観れば分かるように、この2つの病院は、いくら隣接していると言っても、カバーしている地域が全然違います。地下鉄玉出駅近くにあった住吉市民病院(今は住之江診療所に規模縮小)がカバーしていたのは、住之江区や西成区などの大阪市南西部です。それに対し、帝塚山にある旧府立病院がカバーしているのは、住吉区や阿倍野区、平野区などの市内南東部です。今まで住吉市民病院に地下鉄や市バスで通っていた人が、旧府立病院に行くには、南港通(府道5号線、図上のR5)を通る市バスに乗り、途中であべの筋(府道30号線、図上のR30)を通るまた別路線の市バスに乗り換えて行くしか方法がありません。何故なら、大阪市南部の公共交通機関は、その大半が南北方向に走る路線しかないからです。地下鉄四つ橋線、南海本線、南海高野線…皆、南北方向にしか走っていません。東西の往来については、ムチャクチャ不便なのです。

しかも、この2つの病院については、それぞれ機能が全然違います。旧府立病院は、現在の「急性期・総合医療センター」の正式名称が示すように、どちらかというと急性期の患者に高度な医療を施す為に存在していました。そして、受け入れる患者も、市内南東部だけに限らず、他の地域からも多数受け入れてきていました。それに対し、住吉市民病院は、あくまでも地元密着で、小児・周産期医療を中心に、他の病院ではなかなか受け入れてもらえない障害児の短期入所や、障害児を持つ家族のレスパイト(休息)入院にも対応して来ました。

カバーしている地域も、果たしている役割も全然違うのに、単に近くにあるからと言う理由だけで、病院を統廃合しても上手くいくはずありません。実際に、住吉市民病院がつぶされると明らかになると、4万を超える反対署名が集まりました。しかし、橋下徹・前市長は、「旧府立病院に母子医療センターを併設すれば、すべて問題が解決する」として、2018年3月に住吉市民病院をつぶしてしまったのです。

その結果、どうなったか?確かに、大阪急性期・総合医療センターには母子医療センターも併設され、病床数も増えました。ところが、この病院は、前述したように急性期患者の治療に特化した総合病院の為に、受診するには医師の紹介状が必要です。紹介状のない患者も診てもらう事はできますが、5千円以上もの紹介料を余分に払わなければなりません。

これでは住吉市民病院の代わりにはなりません。だから、住吉市民病院の統廃合条例が府議会で可決された時も、「代わりに民間病院を誘致する」という付帯決議が付けられました。ところが、いくら民間病院を誘致しようとしても、なかなか条件に見合う病院が見つかりません。当たり前です。元々、小児科や産婦人科は、診療報酬が安く抑えられている為に、儲からないのです。住吉市民病院の経営赤字も、元はと言えば、この診療報酬の安さに原因があります。決して「二重行政」のせいなんかではありません。

 

「住吉市民病院は赤字だ」と言いますが、需要は有り余るほどあるのです。例えば、2017年6月23日の府議会健康福祉常任委員会でも、共産党の宮原たけし議員が、その事を追及しています。その質疑の中で、「医療施設取扱分娩件数と出生数との比率」が、大阪府平均が94.1%なのに対して、住吉市民病院を管轄する大阪市南部医療圏では73.7%しかない事が明らかになりました。分娩需要の7割余りしか充足できていないのです。残りの3割弱は全て「たらい回し」です。この医療圏でも、2011年から2017年にかけて、分娩できる医療機関が16から13に、ベッド数に至っては273から239に34も減らされました。病院の経営赤字は「病院に患者が来ないから」ではなく、「来れないように」国が仕向け、府や市がその尻馬に乗ってきたのが原因です。(上記の図表参照)

市民病院の赤字の原因は、医療費を出来るだけ抑えようとする国の政策によるものなのに、それを「看護師の給料が他の民間病院よりも高いから」とか「公立病院だから」と、現場の労働者を悪者に仕立て上げ、「同じものが2つあってもムダなだけだ」と、立地条件や役割の違いも無視して、無理やり統廃合。そんなに給料が高いなら、何故、看護師の人手不足がこれだけ問題になっているのか?長時間労働で人の命を預かり責任も大きい割には、給料が余りにも安すぎるからでしょう。それを「民間よりも給与が高いから」と引き下げたら、一体どうなりますか?ますます人手不足に拍車がかかるだけではないですか。

結局、代わりの民間病院は見つからず。大阪市大病院や南港病院にも打診しましたが全て断られ、代わりに大阪市が住之江診療所を作る事で決着しました。ところが、この診療所は小児科と産婦人科の外来診療しかやっていません。他の診療科目もないし入院もできません。統廃合の費用も、当初は30億円で済むと言っていたのに、ふたを開ければ80億円もかかる事が明らかになりました。何のことは無い。「同じものは2つも要らない」と、時間ばかり費やして、わざわざ高い金かけて一つの市民病院をつぶしておきながら、代わりに作ったのは外来診療だけの診療所。この「市民病院」を「廃止される大阪市」に、安っぽい診療所を「代わりに設置される特別区」に置き換えて考えれば、今度の「大阪市廃止・特別区設置住民投票」は、もう「反対」一択しか無い事が分かると思います。

大阪市廃止賛成派は、大阪府に権限と財源を集約して、大阪市の代わりに4つの特別区を置く事で、「行政が身近になる」「ニア・イズ・ベターになる」と言います。しかし、それまで大阪市に払っていた法人市民税も固定資産税も大阪府に取り上げられ、自主財源が4分の1に減らされ、後は府の財政調整交付金(府からもらう「おこづかい」)頼みとなってしまうのに、どうやって「身近な行政」が実現できるでしょうか?大阪府にむしられた金は全てカジノや万博誘致、夢洲の埋め立て、地下鉄延伸工事に使われ、医療や福祉には全然回されません。得するのは一部の外国資本や、そのおこぼれにあやかろうとする日本の大企業だけです。

そのカジノも、コロナによる集客減で、従業員のリストラが進んでいます。あてにしていた観光客も、コロナ以降は激減してしまいました。結局、外需頼みではダメなのです。肝心の内需が冷え込んでいるのに、その内需を切り捨てて、外需にばかり頼るのは邪道です。「カジノは競馬や宝くじとは違い、控除率が低いからボッタクリではない」と、今度は「新手の宣伝」にいそしむ人まで出てきました。しかし、たとえ控除率が数パーセントでも損する事には変わりません。経済なんて成長してこそナンボなのに。その成長も、他人の不幸の上にあぐらをかく「丁半ばくち」頼みでは、人心がすさむばかりです。自分達さえ儲かればそれで良いのか。皆の幸福を願う人は、今度の住民投票で是非「反対」に投票して下さい。

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