アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

「ハケンの品格」が現実にどこまで切り込めるか

2007年01月12日 00時21分52秒 | 映画・文化批評
 新しい年になってテレビ・ドラマの新番組が幾つか登場していますが、そのうちの「ハケンの品格」というドラマを、題名に釣られて見ました。「派遣ワーカーの事を取り上げているんだな、ブログのネタに一丁見てやるか」という感じで、「コーチ」や「ショムニ」を見るような軽いノリで。実を言うと、私はこの番組の内容については余り期待していませんでした。第一、中身のないウヨク本をもじったドラマのタイトルからして気に入らなかったし。

 それが見てみると、世相批判が、私の想像していた以上にそこかしこに散りばめられていたので、少しびっくりしました。まず出だしの部分で、1986年の派遣法施行と96年・99年の法「改正」を経て、日本の労働人口の多くが正社員から派遣・請負などのアウトソーシング・ワーカーにシフトしていった事、その裏にはリストラを大規模に進める企業の経営戦略がある事、アウトソーシング・ワーカーの給料は安く身分も不安定で、企業にとっては好きな時に好きなだけ使えていつでも使い捨て出来るモノでしかない事などが、ちゃんと解説されていました。

 ドラマのあらすじは、大手食品メーカーのオフィスを舞台に、派遣OLとそこの正社員や派遣会社の上司などが登場して、色々ドタバタを繰り広げるというもの。その第一話として、二人の派遣OLが登場する所から始まりました。

 一人は、加藤あい扮する新米ダメ派遣。面接で見栄を張ってどうにか採用されたものの配属初日からスキルの無さを露呈し、期日までに仕事を終える事が出来ずに会社のデータを家に持ち帰って残業して寝坊して、翌朝あわててタクシーで出勤した時にその会社データの入ったCDを車内に置き忘れてしまうという、そういうキャラ。
 もう一人は、篠原涼子扮する「派遣のカリスマ」と呼ばれるスーパー・キャリア・ウーマン。その大手食品メーカー営業部長から直々のお声がかりで、プロ野球選手の年俸交渉さながらに、一体どちらが面接されているのか分らないような面接を受け、配属されてからも正社員をあごでこき使い、どんなに忙しくても12時になれば昼休みに入り17時きっかりに退社する、そういうキャラ。
 この二人が新設のマーケティング課に配属され、正社員の新米主任(何と演ずるのは小泉孝太郎!)やその同僚のやり手主任、窓際族の嘱託社員たちと一緒に、ドタバタを繰り広げるという展開。第一話は、その新米ダメ派遣が無くしたCDをみんなで何とか取り戻すまで。

 第一話を見た限りでは「まずまず」といった所ではないでしょうか。少し気になった細かい点については後述しますが、そんな事など考えずに単純にエンターテイメント・ドラマとして楽しむ段には、それなりに面白いし日頃の溜飲も下げられる、そういう話の展開でした。
 新米派遣がCDを車内で紛失したタクシーを廃車処分場で見つけた時も、くだんのカリスマ派遣がいきなり重機に乗ってさっそうと登場し、そのタクシーを廃車の山から見事引っ張り出す所も、「ごくせん」で見せた仲間由紀恵扮するヤンクミの登場の仕方などと同じノリで、あらすじの荒唐無稽ささえ気にしなければ、見ている方もそれなりにスカッと出来る。
 ただ欲を言えば、このカリスマ派遣のキャラがちょっとキツ過ぎて、余り好感が持てなかった。これが篠原涼子でなく天海祐希や室井滋クラスなら程好いキツさになったのではと、まあこれは私の個人的意見ですが。

 ただこれを単なるエンターテイメントではなく一つの社会派ドラマとして見ると、色々気にかかる点が見えてきます。

 まず、松方弘樹扮する食品メーカー営業部長。第一話の中では実はこいつが一番のワルではないかと。「ダメ社員の面倒を見るつもりで飲み会にも少し付き合ってくれないか、時給をはずむから」とカリスマ派遣に頭を下げ、その裏では「派遣を使うのは人件費削減の為、所詮3ヶ月の短期契約だ」と悪びれてみせる。部長のそういう一面を垣間見せられると、この時給3千円(何せエンタメ・ドラマですからw)のカリスマ派遣の「信じられるのは自分のキャリアと高時給だけ」というツッパリも急に哀れに見えてくる。そしてそのツッパリの裏には、バブル崩壊で企業破綻の末リストラされた元金融キャリア・ウーマンという過去も顔を覗かせる。

 片や、一癖も二癖も在る派遣と対峙する正社員の方も、派遣と同様に色々で。中にはアンチ派遣の態度を露骨に取る社員もいて、例の新米を虐めたりカリスマと衝突したりするのですが、その社員の態度も、入社時から何くれと無く面倒を見てくれ一緒に仕事をしてきた先輩社員が次々とリストラされてドライな派遣に置き換えられてきたのをつぶさに見てきた末の成れの果てで。それでともすれば社員と派遣の間で、「雑用や嫌な事は派遣にばかり押付けて社員は遊び呆けている」「派遣はお客様気分で責任感やチームワークが全然無い」と互いに罵りあう。これは別にドラマだけの世界ではなく、実際の派遣関連の掲示板の書き込みにも散見される現象なのですが、左派の私から見ればこれこそ格好の分断・分割統治の最たるものなのですが。

 私に言わせると、「派遣(あるいは請負・契約社員・等々)vs正社員」という捉え方自体がある種ナンセンスなのです。経済グローバリゼーションに伴う雇用の多様化・自由化の進行の下で、アウトソーシング・ワーカーも正社員も内部の階層化が進んでいるのが現実です。
 まずアウトソーシング・ワーカーの方から言うと、「派遣」は、身分は不安定だが未だ派遣法で守られています。それに対して(正規の)「請負」は、法律の縛りこそ無い(法的には派遣より更に弱い)ものの、クライアント企業から完全に独立して一分野の仕事を丸ごと任されており、「根無し草の派遣とは違う」という自負も持っていたりする。巷で問題になった「偽装請負」は、その両方の悪い部分だけを寄せ集めたもの。それよりもっと最悪なのが、軽急便や赤帽などの個人請負業やコンビニなどのフランチャイズ。実際には被雇用者でしかないものも少なくないのに、自営業者扱いとされ労働法制の埒外に置かれている、完全な無法地帯。
 片や正社員も、内部の階層化が進み、「限りなく派遣・請負に近い正社員」や「短時間正社員」などが出現し、実際には非正規と正規の境界が無くなりつつあるのです。私の職場の請負会社の正社員なんかも酷いものです。私の地元には、昔から繊維関係の地場産業などを中心にして、俗に「泉州労基法」という言葉があるのですが、正にそれを髣髴とさせるような労働条件(1日12時間労働や休日のサービス出勤)の中で働かされています。そんな中で「正社員」がどうの「派遣」がどうの言っていても、全然意味を成さなくなってくる。
 もっと言えば、そもそもこの派遣なり請負なりのアウトソーシングの働き方そのものが「仕事の部品化、人間疎外、モラルハザード」であり「中間搾取、ピンハネ」でしかない訳であって、そんな働かせ方を強いておきながら一方的な精神論でモラルや責任感や愛社精神だのを説教されても白けるだけです。ではかつての終身雇用でもまま見られた「企業戦士・社畜・会社奴隷」的な働き方が良いのかと言われたら、こちらもゴメン蒙ります。「奴隷的でも人間疎外でもない働き方」というのが絶対に在る筈です。

 この1月25日からの通常国会では、今まで散々触れてきたホワイトカラー・エグゼンプションの導入を始め、労働法制の全面改悪メニューが用意されています。安倍マルコスも本音を言えば、参院選を前にしてこんな不人気法案の上程など本当は避けたい所でしょうが、これも年次改革要望書でリストアップされているアメリカ様のご意向ですから、避ける事など到底不可能。あとはもう教育基本法改悪の時と同様のヤラセ・詐欺・デタラメ政治でしゃにむに正面突破を図るしか道はない。

 まずは、御用・商業マスコミやゲシュタポ・ネチズンを総動員して、特権官僚・族議員・政商どもの巨悪を横目に、一部「ヒラ」公務員の働き方ばかりをことさら槍玉に挙げて、「官」との対比で「民」の「成果主義」や「多様で自立的な働き方」の宣伝を垂れ流す、と(その実態がどれだけウソ八百なものであるかは既述の通り)。
 そして、いよいよ改悪メニューの登場。最初は年収1千万クラスからとか、いろいろ目くらましを図ってくるでしょうが、こんなモノは言い訳にしか過ぎません。今の消費税率の様に、適用範囲の年収制限ラインをどんどん繰り下げてくるに決まっています。そしてそれは早晩、正社員やホワイトカラーの枠を超えて、派遣・請負やブルーカラーにまで及んでくるでしょう。或いは、直接ホワイトカラー・エグゼンプションの導入という形でなくても、賃金相場の切り下げという形で影響が出てきます。そんな段階になれば、いくら例のカリスマが「信じられるのは自分のキャリアと高時給だけ」と突っ張って「昼休みはきちんと取る、仕事は定時で帰る」との給うても、そんなモノは一切通用しない世の中になっているのです。

 この番組、そこまでちゃんと見据えたストーリー展開を考えているのでしょうか。派遣会社のテンプスタッフやヒューマンがスポンサーに付いている(番組の合間にCMが流れている)所を見るとどうやら、カリスマ派遣を広告塔にして、せいぜい「派遣vs正社員」のレベルで面白おかしく捉えているだけでは? そうでなければ良いのですが。

・「ハケンの品格」公式サイト
 http://www.ntv.co.jp/haken/
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍と御手洗が説く愛国心の反人民的本質

2007年01月07日 01時00分46秒 | ヘイトもパワハラもない世の中を
・[AML 11278] 【都教委News87】経団連、新ビジョンに「国旗・国歌」-会社・スポーツで実施求める
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-January/010864.html

>日本経団連は、1月1日、「希望の国、日本」(御手洗ビジョン)を発表しました。経済・雇用のみならず、教育・政治・改憲にも言及しています。<
>「今後5年間に重点的に講じるべき方策」では、・・(中略)・・「新しい教育基本法の理念に基づき、日本の伝統や文化、歴史に関する教育を充実し、国を愛する心や国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む。教育現場のみならず、官公庁や企業、スポーツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を揚げ、国歌を斉唱し、これを尊重する心を確立する。」<
>「愛国心は、改革を徹底していく前提でもある」「痛みも覚悟しなければならない」<(上記リンク先より)

 日本経団連は、今盛んにホワイトカラー・エグゼンプション(有体に言うと、ホワイトカラーには残業代は出さねぇ!死ぬまで働け!という事)などの労働基準法の全面改悪を主張しています(詳細は下記参考資料1や当ブログの以前の拙稿を参照の事)。そしてその一方で、上記の様な事を新年早々から臆面も無く言っていました。

 何の事は無い。己たちの、経済グローバリズムむき出しの搾取強化を合理化するために、愛国心をダシにしてきているだけなのです。愛国心やら国益やら国際競争力強化やらの名目を盾に取って、労基法全面改悪による際限の無い搾取強化を図ろうとしているのです。「愛国心はならず者の最後の墓場」という言葉がありますが、正にそれを地でいくものです。
 安倍や御手洗の言う愛国心なるものの、この様な反人民的・反階級的本質については、私などの左派の人間にとってはとっくに自明の事柄ではありましたが、経営側からこうも明け透けに語られる時代になるとは思っても見ませんでした。これは一面では「事の本質が誰の目にも明らかになって政治が分りやすくなった」とも言えますが、他方、資本家の本音がここまで露骨な形で明け透けに語られるという事は、日本の労働者もトコトン見くびられたものです。

 経労委報告、「美しい国」(安倍ビジョン)、「希望の国」(御手洗ビジョン)などの宣伝文書には、「イノベーション(技術革新)」とか「成果主義の導入」とか「自由度の高い、多様で柔軟な働き方」とかいう欺瞞的な表現が随所に登場しますが、こんな子供騙しみたいなものに惑わされてはいけません。
 今のワーキング・プア労働にどんな自由や柔軟性があると言うのでしょうか。大企業を中心に鳴り物入りで導入されている成果主義の人事評価や賃金体系にしても、上司の気まぐれ・胸先三寸による恣意的評価や、目先の短期的な数字追求だけに汲々とする粉飾決算紛いの目標管理の横行で、社内のチームワークはガタガタになり、リストラ退職で技術の伝承もままならない、そういう職場があちこちに広がっているではありませんか。
 賃金や労働条件にしても、ベースアップどころか定昇もままならず、短時間の細切れ雇用や、いくら頑張っても生活保護水準やそれ以下の年収しか確保出来ない低賃金・無権利・非正規雇用ばかりで、食いつなぐために泣く泣くダブル・ワークや休日無しの24時間・365日労働に甘んじている労働者が一杯いるではないですか。この働き方の一体何処に「自由」や自己裁量・自己決定の「柔軟性」が在るというのでしょうか。

 世間の一部では「いざなぎ景気を超える、戦後最長の景気回復」が取り沙汰されていますが、それは「ジョブレス回復」「格差景気」とも揶揄されている事からも明らかな様に、ホンの一部の「勝ち組」に限った話でしかありません。この間の規制緩和や大企業減税によって、大企業だけが史上最高の経常利益を計上し続け役員報酬や株主配当を引き上げる一方で、労働者の実質賃金や家計所得は目減りし続け、日本はとうとうOECD諸国の中でも米国に次いで貧富の差の激しい「格差大国」になってしまいました。
 確かに今までの「終身雇用」や「年功序列」も決して肯定出来る代物ではありませんでしたが、今の働き方、働かされ方はもうそれより遥かに悪い、正に「奴隷労働」そのものです。確かに北朝鮮の強制収容所のような目に見える形での身体的拘束・人権蹂躙こそ在りませんが、やっている事は格差社会化やその下での愛国心強要や欺瞞的な自己責任論・受益者負担論の宣伝であって、それはもうまるで北朝鮮のやり口と全く同じではないですか(以上の詳細については同・参考資料2を参照の事)。

 小泉劇場の化けの皮が剥がれた後に安倍政権が登場してきました。この政権は、「再チャレンジ」などの言説で小泉政治の「若干の手直し」らしきものを表明していますが(庶民をどん底に叩き落しておいて何が再チャレンジか!)、規制緩和や民営化などの小泉経済改革の基本路線はそっくりそのまま受け継いでいます。基本路線は継承しながら、しかもそれに対する抵抗の芽を封じ込める為に、ことさら愛国心や規範意識を強調しているのです。つまり安倍政治(新保守主義・ネオコンサバティズム=略してネオコン)というのは、小泉政治(新自由主義・ネオリベラリズム=略してネオリベ)と異なるものでも何でもなく、寧ろ後者の政治に対する反発や抵抗を力づくで押さえつけ、それをより反動的にごり押しするために、相補う形で登場してきたものなのです。
 況してや、安倍と並ぶもう一方の当事者の御手洗に至っては、人には規範意識の名で企業への奴隷的忠誠心を一方的に強要しておいて、当の自分のお膝元(キャノン)で違法労働(偽装請負)を内部告発されると、今度は逆に「使い勝手が悪い法律の方が問題だ」と居直っているのです。まるで「道徳や法律は自分の会社の儲けの為に在る」とでも言いたげな、こんな輩の説く公徳心や規範意識や愛国心など、眉唾に決まっているでしょう。
 
 安倍・御手洗・及びその提灯持ちの御用学者に告ぐ。いくら北朝鮮・拉致問題、中国・ロシアの人権問題や、日本国内での企業・家庭での倫理崩壊をダシにして、これ以上愛国心や国益を煽っても無駄である。
 北朝鮮・中国その他の人権問題も、これはこれで確かに重要な問題ではある。しかし、こと国内でこんな弱肉強食の政治を行っている奴らが、いくら北朝鮮・中国の問題にだけ「偽りと宣伝の涙」を流しても、そんな臭い芝居が何度も通用すると思ったら大間違いだ。
 国内での倫理・モラル・規範意識の崩壊や拝金主義の横行も、元を質せばお前たちが今まで行ってきた規制緩和や差別・選別・競争教育や格差拡大経済政策の、当然のツケではないか。それを全然顧みる事も無いばかりか、あろうことか、自ら生み出したこれらの負の遺産を更なる搾取強化の口実にするとは、もう「盗人猛々しい」にも程がある。
 それでも尚、その「モラル崩壊の嘆き」や「人権の涙」が偽りでないとあくまで言い張るのなら、その自らの「嘆き」や「涙」と、日本国内で実際に行っている人権蹂躙・弱肉強食の新自由主義政策との整合性について、是非ワーキング・プアにも分るように説明して貰いたいものだ。

(参考資料1)日本経団連の言い草―上記[AML 11278]より

・経団連(社団法人 日本経済団体連合会)
 http://www.keidanren.or.jp/indexj.html
・新ビジョン「希望の国、日本」発表
 -今後10年間を視野に入れ、めざすべき具体像を描く
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2007/0101/02.html
・年頭所感/日本経団連会長・御手洗冨士夫
 -「希望の国、日本」の実現に向けて
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2007/0101/01.html
・新春対談 『美しい国』、『希望の国』の実現をめざして
 日本経団連会長 御手洗冨士夫× 内閣総理大臣 安倍晋三
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/trend/200701/taidan.html

(参考資料2)小泉・安倍政治の下での格差社会の実態
 
・格差社会 データにくっきり(読売新聞)
 http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06021325.cfm
・所得再分配:日本は欧米と比べ低所得層に恩恵薄い(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070106k0000m040101000c.html
・メキシコを超える格差社会の衝撃1~4(風樹茂のGET Japan)
 この筆者については最後の結論は私の考えとも少し異なりますが、豊富なデータを駆使して格差社会の実態を告発しているので、ここでも敢えて紹介します。
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa1.htm
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa2.htm
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa3.htm
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa4.htm
・大企業減税の大合唱/応援先あべこべだ(しんぶん赤旗)
 「財務省の法人企業統計によると、資本金十億円以上の大企業の経常利益は二〇〇〇年から〇五年にかけて一・五倍に増えました。役員報酬は総額一・七倍、一人当たり一・八倍、株式配当は二・五倍になりました。ところが、従業員給与は同期間、総額で〇・九五倍、一人当たり〇・九七倍と逆に減りました。」
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-12-02/2006120203_01_0.html
・キヤノン偽装請負 告発されて/御手洗経団連会長"法律が悪い"/「制度見直せ」と居直り(同上)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-10-20/2006102001_01_0.html

(追記)

 記事冒頭の御手洗ビジョンですが、今回は愛国心・忠誠心の強要について見てみましたが、その他にもトンでもない事が一杯書いてある事が分りました。「消費税を2年後には7%、将来は10%にしろ」「法人税率は30%に引き下げろ」「政治献金は解禁にしろ」「企業投資にとって非効率な今の都道府県など廃止して道州制にしろ」「労働基準監督署は企業のやる事に口出しするな、法律の解釈や周知だけしていろ」・・・と、もう言いたい放題。
 その為の憲法改悪や愛国心・忠誠心の強制で、その行き着く先は「女工哀史」「ああ野麦峠」の21世紀版、「スウェット・ショップ(搾取工場)」の日本版という訳です。なるほど、確かに政府・財界にとっては史上稀に見る「美しい国」「希望の国」なのかもしれません。

・消費税は2011年度までに2%程度引き上げ=経団連・御手洗ビジョン(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200701010002.html
・御手洗ビジョン 15年度めどに道州制 提言発表 消費税上げ09−11年度(西日本新聞)
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/economics/20070101/20070101_001.shtml
・御手洗ビジョン(非国民通信)
 http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/c865c6e285faad34dc09f0b5761f1e24
・愛国心より忠誠心?(同上)
 http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/dfd58308ea99359a6003043900f7879a
・「希望の国」と「美しい国」との類似性:御手洗ビジョン(S氏の時事問題)
 http://blog.goo.ne.jp/shigeto2004/e/1e59568b8d7d1df168595206fdd76465
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

青蔵鉄道の光と影

2007年01月04日 22時55分21秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 私はこの正月は仕事でテレビも殆ど見ませんでしたが、唯一の例外が1月2日夜9時からNHK総合テレビで放送された特集番組「青海チベット鉄道~世界の屋根2000キロをゆく~」です。この番組は鉄道マニアの端くれとしてじっくり堪能させてもらいました。 
 中国の省・自治区の中でチベットだけは未だ鉄道が開通していなかったのですが、それが昨年の夏に開通して旅客営業を開始した(形式上は未だ試運転期間らしいが)という事で、NHKが取材してきました。番組では、鉄道建設の苦労や、高地鉄道特有の様々な工夫、沿線の自然・風土、乗客の素顔などを映し出していました。

 車内ゴミの完全回収システムなどの環境対策や、酸素吸入器が車内に備え付けられ高山病対策が施されている事など、個々の点については私があれこれ書くよりも記事末尾添付の参考資料の方が詳しいので、そちらを参照して下さい。ただ、次の点だけはその参考資料にも記述が見当たらなかったので、ここで補足しておきます。
 鉄道建設に際してはチベット高原の永久凍土対策に悩まされたそうです。永久凍土の上に直に線路を引いたのでは熱で地盤が緩んでしまいますので、その対策として、特殊な措置を施した冷気通風用の配管パイプが線路に沿って何本も並んでいました。また、トンネル工事の際にも冷気をトンネル内に送り込んで地盤の緩みを防いだそうです。

 今までは南米のアンデス山脈を横切るペルー中央鉄道のティクリオ峠(海抜4781m)が世界最高所の鉄道通過地点でしたが、今回の青海チベット鉄道(青蔵鉄道とも言う)の全通で、その記録はチベット高原のタングラ峠(同5072m)に塗り替えられました。そういう事もあって、この鉄道には世界各地から観光客も大勢押しかけていました。番組ではイタリアや台湾からの観光客の姿が、出稼ぎから帰郷中のチベット人家族と併せて映し出されていました。そして、車窓から見るココシリ自然保護区の野生動物の姿や、崑崙山脈、黄河・長江源流地帯、ニェンチェンタングラ山系の雄姿を堪能させてもらいました。

 この青蔵鉄道については、中国のチベット弾圧政策に引き寄せて、鉄道開通をことさら揶揄する<だけ>のサイトも散見されます(2chなどはその筆頭)。こういう見方に対しては、鉄道ファンの端くれとしては少し抵抗を感じます。鉄道開通によって中国のチベット侵略が助長されるという指摘自体は決して間違ってはいないと思いますが、それを言い出せば米国・豪州の大陸横断鉄道やロシアのシベリア・バム鉄道、日本の北海道や第三世界の旧植民地の鉄道などもみんなそうです。

 朝鮮半島の鉄道なども元々は日本が日清戦争の兵員輸送の為に敷設したものですし、アフリカ・エリトリアの鉄道などはエチオピア侵略の為にイタリアが敷設したものです。ペルーのインカ世界遺産・マチュピチュに行くのに乗る観光鉄道も、元々はキヤバンバ地方のコーヒーをモノカルチャー輸出する為に外国資本が敷いたものです。それを抜きにして青蔵鉄道の場合<だけ>をことさら貶めるのは、フェアじゃないと私は思います。

 ただNHKもNHKです。如何にお正月番組の旅行記だとは言え、流石にあの内容では「中国政府のプロパガンダだ」と言われても仕方がありません。いくら中国政府の協力・協賛によって作られた番組であったとしても、チベット動乱の歴史に直接触れるのは無理としても、取材・編集の仕方によってはもう少し陰の部分も取り上げる事が出来たのではと思います。

 そう思って番組の場面を思い返すと、また別の側面も垣間見えてきます。例えば、列車には豪華な食堂車が併設されていて、ビジネスマンや外国人観光客などはそこで中国料理を堪能していましたが、チベット人の帰郷客などは車内販売の弁当やカップ麺やパンで食事を済ませていました。車内販売の弁当はご飯に野菜炒めと目玉焼きの副菜がついて、別にチキンを焼いたやつなども売っていて、これはこれで結構美味しそうでしたが、やはり食堂車のメニューと比べるとかなり見劣りがします。

 また観光客や帰省客に混じって、ラサにメノウやヒスイの行商に行くチベット人の若者の姿や、外の景色には眼もくれずにコンパートメントで商談に耽っている中国人ビジネスマンの姿を映し出していましたが、前者の若者は如何にも山師風の雰囲気を漂わせていましたし、後者の中国人ビジネスマンに至っては「大量仕入れでチベットで安くモノが売れる」という意味の事を言っていました。そのダンピングによってチベットの域内産業や現地住民の暮らしがどうなるかという事には全然無頓着というか、もうむき出しのグローバリズムというか、かつて中国を侵略した帝国主義者も斯くやと思わせるような事を。

 そして番組では、今回開通した青海省・ゴルムドとチベット・ラサの間の鉄道にほぼ並行して走っている国道(青蔵公路)を、乗用車やトラックが疾走する横で五体投地を繰り返しながら数ヶ月かけて巡礼の旅を続けているチベット人たちの姿も映し出していました。その中で、チベット人たちが五体投地を繰り返すのを尻目に見ながら列車が横の線路を駆け抜けていき、それを見た巡礼者がNHKのインタビューに対して「何か変な気持ちだ」と答えている場面がありました。多分この巡礼者の心の中に去来したのは、「ラサまで鉄道に乗れば一足飛びに行けるのに、俺は一体何をやっているのだろう」という言い知れぬ虚無感だったろうと思います。巡礼者を、人の心をそんな荒廃した惨めな気持ちにさせる開発って、一体何なんだろうか。そういう意味でも、いろいろ考えさせられた番組でした。

・青海チベット鉄道~世界の屋根2000キロをゆく~(NHK年末年始特集番組)
 http://www.nhk.or.jp/winter/gtv/gtv_61.html
・青海チベット鉄道(中国登山・トレッキング相談所)
 http://www1.vecceed.ne.jp/~watagi/page013.html
・チベット鉄道紀行(同上)
 http://www1.vecceed.ne.jp/~watagi/page015.html
・チベットではこんなことが起きている(超入門チベット問題)
 http://www.tibet.to/mondai/mondai2.htm
・現在のチベットの状況(ダライ・ラマ法王日本代表部事務所)
 http://www.tibethouse.jp/situation/index.html#12
・映画「ココシリ」公式サイト
 http://www.sonypictures.jp/movies/mountainpatrol/site/top.html
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

謹賀新年

2007年01月01日 08時14分23秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ
新年明けましておめでとうございます。
 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2007年こそ、改憲・共謀罪・労基法
改悪阻止、教基法復活の年にしよう!

 アフガン・イラク・北朝鮮と日本
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする