アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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安倍と御手洗が説く愛国心の反人民的本質

2007年01月07日 01時00分46秒 | ヘイトもパワハラもない世の中を
・[AML 11278] 【都教委News87】経団連、新ビジョンに「国旗・国歌」-会社・スポーツで実施求める
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-January/010864.html

>日本経団連は、1月1日、「希望の国、日本」(御手洗ビジョン)を発表しました。経済・雇用のみならず、教育・政治・改憲にも言及しています。<
>「今後5年間に重点的に講じるべき方策」では、・・(中略)・・「新しい教育基本法の理念に基づき、日本の伝統や文化、歴史に関する教育を充実し、国を愛する心や国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む。教育現場のみならず、官公庁や企業、スポーツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を揚げ、国歌を斉唱し、これを尊重する心を確立する。」<
>「愛国心は、改革を徹底していく前提でもある」「痛みも覚悟しなければならない」<(上記リンク先より)

 日本経団連は、今盛んにホワイトカラー・エグゼンプション(有体に言うと、ホワイトカラーには残業代は出さねぇ!死ぬまで働け!という事)などの労働基準法の全面改悪を主張しています(詳細は下記参考資料1や当ブログの以前の拙稿を参照の事)。そしてその一方で、上記の様な事を新年早々から臆面も無く言っていました。

 何の事は無い。己たちの、経済グローバリズムむき出しの搾取強化を合理化するために、愛国心をダシにしてきているだけなのです。愛国心やら国益やら国際競争力強化やらの名目を盾に取って、労基法全面改悪による際限の無い搾取強化を図ろうとしているのです。「愛国心はならず者の最後の墓場」という言葉がありますが、正にそれを地でいくものです。
 安倍や御手洗の言う愛国心なるものの、この様な反人民的・反階級的本質については、私などの左派の人間にとってはとっくに自明の事柄ではありましたが、経営側からこうも明け透けに語られる時代になるとは思っても見ませんでした。これは一面では「事の本質が誰の目にも明らかになって政治が分りやすくなった」とも言えますが、他方、資本家の本音がここまで露骨な形で明け透けに語られるという事は、日本の労働者もトコトン見くびられたものです。

 経労委報告、「美しい国」(安倍ビジョン)、「希望の国」(御手洗ビジョン)などの宣伝文書には、「イノベーション(技術革新)」とか「成果主義の導入」とか「自由度の高い、多様で柔軟な働き方」とかいう欺瞞的な表現が随所に登場しますが、こんな子供騙しみたいなものに惑わされてはいけません。
 今のワーキング・プア労働にどんな自由や柔軟性があると言うのでしょうか。大企業を中心に鳴り物入りで導入されている成果主義の人事評価や賃金体系にしても、上司の気まぐれ・胸先三寸による恣意的評価や、目先の短期的な数字追求だけに汲々とする粉飾決算紛いの目標管理の横行で、社内のチームワークはガタガタになり、リストラ退職で技術の伝承もままならない、そういう職場があちこちに広がっているではありませんか。
 賃金や労働条件にしても、ベースアップどころか定昇もままならず、短時間の細切れ雇用や、いくら頑張っても生活保護水準やそれ以下の年収しか確保出来ない低賃金・無権利・非正規雇用ばかりで、食いつなぐために泣く泣くダブル・ワークや休日無しの24時間・365日労働に甘んじている労働者が一杯いるではないですか。この働き方の一体何処に「自由」や自己裁量・自己決定の「柔軟性」が在るというのでしょうか。

 世間の一部では「いざなぎ景気を超える、戦後最長の景気回復」が取り沙汰されていますが、それは「ジョブレス回復」「格差景気」とも揶揄されている事からも明らかな様に、ホンの一部の「勝ち組」に限った話でしかありません。この間の規制緩和や大企業減税によって、大企業だけが史上最高の経常利益を計上し続け役員報酬や株主配当を引き上げる一方で、労働者の実質賃金や家計所得は目減りし続け、日本はとうとうOECD諸国の中でも米国に次いで貧富の差の激しい「格差大国」になってしまいました。
 確かに今までの「終身雇用」や「年功序列」も決して肯定出来る代物ではありませんでしたが、今の働き方、働かされ方はもうそれより遥かに悪い、正に「奴隷労働」そのものです。確かに北朝鮮の強制収容所のような目に見える形での身体的拘束・人権蹂躙こそ在りませんが、やっている事は格差社会化やその下での愛国心強要や欺瞞的な自己責任論・受益者負担論の宣伝であって、それはもうまるで北朝鮮のやり口と全く同じではないですか(以上の詳細については同・参考資料2を参照の事)。

 小泉劇場の化けの皮が剥がれた後に安倍政権が登場してきました。この政権は、「再チャレンジ」などの言説で小泉政治の「若干の手直し」らしきものを表明していますが(庶民をどん底に叩き落しておいて何が再チャレンジか!)、規制緩和や民営化などの小泉経済改革の基本路線はそっくりそのまま受け継いでいます。基本路線は継承しながら、しかもそれに対する抵抗の芽を封じ込める為に、ことさら愛国心や規範意識を強調しているのです。つまり安倍政治(新保守主義・ネオコンサバティズム=略してネオコン)というのは、小泉政治(新自由主義・ネオリベラリズム=略してネオリベ)と異なるものでも何でもなく、寧ろ後者の政治に対する反発や抵抗を力づくで押さえつけ、それをより反動的にごり押しするために、相補う形で登場してきたものなのです。
 況してや、安倍と並ぶもう一方の当事者の御手洗に至っては、人には規範意識の名で企業への奴隷的忠誠心を一方的に強要しておいて、当の自分のお膝元(キャノン)で違法労働(偽装請負)を内部告発されると、今度は逆に「使い勝手が悪い法律の方が問題だ」と居直っているのです。まるで「道徳や法律は自分の会社の儲けの為に在る」とでも言いたげな、こんな輩の説く公徳心や規範意識や愛国心など、眉唾に決まっているでしょう。
 
 安倍・御手洗・及びその提灯持ちの御用学者に告ぐ。いくら北朝鮮・拉致問題、中国・ロシアの人権問題や、日本国内での企業・家庭での倫理崩壊をダシにして、これ以上愛国心や国益を煽っても無駄である。
 北朝鮮・中国その他の人権問題も、これはこれで確かに重要な問題ではある。しかし、こと国内でこんな弱肉強食の政治を行っている奴らが、いくら北朝鮮・中国の問題にだけ「偽りと宣伝の涙」を流しても、そんな臭い芝居が何度も通用すると思ったら大間違いだ。
 国内での倫理・モラル・規範意識の崩壊や拝金主義の横行も、元を質せばお前たちが今まで行ってきた規制緩和や差別・選別・競争教育や格差拡大経済政策の、当然のツケではないか。それを全然顧みる事も無いばかりか、あろうことか、自ら生み出したこれらの負の遺産を更なる搾取強化の口実にするとは、もう「盗人猛々しい」にも程がある。
 それでも尚、その「モラル崩壊の嘆き」や「人権の涙」が偽りでないとあくまで言い張るのなら、その自らの「嘆き」や「涙」と、日本国内で実際に行っている人権蹂躙・弱肉強食の新自由主義政策との整合性について、是非ワーキング・プアにも分るように説明して貰いたいものだ。

(参考資料1)日本経団連の言い草―上記[AML 11278]より

・経団連(社団法人 日本経済団体連合会)
 http://www.keidanren.or.jp/indexj.html
・新ビジョン「希望の国、日本」発表
 -今後10年間を視野に入れ、めざすべき具体像を描く
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2007/0101/02.html
・年頭所感/日本経団連会長・御手洗冨士夫
 -「希望の国、日本」の実現に向けて
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/times/2007/0101/01.html
・新春対談 『美しい国』、『希望の国』の実現をめざして
 日本経団連会長 御手洗冨士夫× 内閣総理大臣 安倍晋三
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/trend/200701/taidan.html

(参考資料2)小泉・安倍政治の下での格差社会の実態
 
・格差社会 データにくっきり(読売新聞)
 http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06021325.cfm
・所得再分配:日本は欧米と比べ低所得層に恩恵薄い(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070106k0000m040101000c.html
・メキシコを超える格差社会の衝撃1~4(風樹茂のGET Japan)
 この筆者については最後の結論は私の考えとも少し異なりますが、豊富なデータを駆使して格差社会の実態を告発しているので、ここでも敢えて紹介します。
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa1.htm
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa2.htm
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa3.htm
 http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/kakusa4.htm
・大企業減税の大合唱/応援先あべこべだ(しんぶん赤旗)
 「財務省の法人企業統計によると、資本金十億円以上の大企業の経常利益は二〇〇〇年から〇五年にかけて一・五倍に増えました。役員報酬は総額一・七倍、一人当たり一・八倍、株式配当は二・五倍になりました。ところが、従業員給与は同期間、総額で〇・九五倍、一人当たり〇・九七倍と逆に減りました。」
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-12-02/2006120203_01_0.html
・キヤノン偽装請負 告発されて/御手洗経団連会長"法律が悪い"/「制度見直せ」と居直り(同上)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-10-20/2006102001_01_0.html

(追記)

 記事冒頭の御手洗ビジョンですが、今回は愛国心・忠誠心の強要について見てみましたが、その他にもトンでもない事が一杯書いてある事が分りました。「消費税を2年後には7%、将来は10%にしろ」「法人税率は30%に引き下げろ」「政治献金は解禁にしろ」「企業投資にとって非効率な今の都道府県など廃止して道州制にしろ」「労働基準監督署は企業のやる事に口出しするな、法律の解釈や周知だけしていろ」・・・と、もう言いたい放題。
 その為の憲法改悪や愛国心・忠誠心の強制で、その行き着く先は「女工哀史」「ああ野麦峠」の21世紀版、「スウェット・ショップ(搾取工場)」の日本版という訳です。なるほど、確かに政府・財界にとっては史上稀に見る「美しい国」「希望の国」なのかもしれません。

・消費税は2011年度までに2%程度引き上げ=経団連・御手洗ビジョン(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200701010002.html
・御手洗ビジョン 15年度めどに道州制 提言発表 消費税上げ09−11年度(西日本新聞)
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/economics/20070101/20070101_001.shtml
・御手洗ビジョン(非国民通信)
 http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/c865c6e285faad34dc09f0b5761f1e24
・愛国心より忠誠心?(同上)
 http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/dfd58308ea99359a6003043900f7879a
・「希望の国」と「美しい国」との類似性:御手洗ビジョン(S氏の時事問題)
 http://blog.goo.ne.jp/shigeto2004/e/1e59568b8d7d1df168595206fdd76465
コメント (1)
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