実務研修会お疲れさまでした。
「頭がいっぱいになりました」と毎回言われますが、皆さんは続けて生活歴の聴取や生活指導の大切さに気づいてくださったみたいで講師としてはとてもうれしいです。
今年はランの当たり年でした。シンビジュームの花茎が4本!
受講者のTさん持参のケースを解説しながら、涙してしまった私を、皆さんはなぜ?といぶかしく思われたことと思います。今日はその言い訳です。
テスト結果は昼休みに提出されました。まず最初に見たテスト結果は75歳の男性の方でした。
MMS13点。でも低下順は全くアルツハイマー型を示さず、左脳右脳の器質障害のパターンでした。
病気か事故かをたずねると、脳卒中を繰り返していて、それも予測どおりではありますが不運にも両側・・・
つまり、左脳に感覚性失語症という後遺症があり(マニュアルC95p参照)、一方で図形の模写は全くできず、自分の名前すら書くことができないということに象徴される重い右脳がらみの後遺症もありました。
デンドロビュームは満開!
脳卒中後、後遺症がわかったとき、この方はどんなに無念だっただろうか。
あるいは何が起こったか理解しがたかったかもしれない。その状態をご家族ともどもどのように乗り越えたのか。
そして多分ドクターからは、後遺症の説明はほとんどなく(特に右脳障害については。右脳障害についてはこのブログの3/14~4/9までにまとめて書いておきました)、ご家族も脳卒中後遺症という捉え方よりは「ボケてしまった」とあきらめたに違いない・・・
左脳に先に卒中が起きていたら、そのつらさはさらに厳しいものなので、できれば、右脳障害が先行していたらよかったのだけど・・・。
テスト結果を見たときに、心をよぎった思いです。
天城高原は1ヶ月花が遅いです
次に目を通したテスト結果は、75歳の今度は女性の方でした。
MMSは満点。かなひろいテストは正答数45、見落とし数1、内容把握可という20歳代にも匹敵するすばらしい成績でした。
この年齢でこの前頭葉機能を持っていれば、学歴も職歴も、現在の社会的な地位とも全く関係なく、この人は「かくしゃくとしている」「生き生きしている」「楽しそうでいいねえ」と、周り中から言われているに違いないのです。
本当の意味でのリーダーが務まり、みんなから頼りにされて・・・隠しようもなく輝いているようなそんな方が目に浮かぶようでした。
そのように解説しました。
その後で、実はご夫婦ということとTさんのご両親という説明を受けました。
私は、この状態でありながらなお前頭葉を生き生きと保つことができているTさんのお母さんに強く心を動かされたのです。
Tさんのお父さんの要介護状態はシビアなものがあるはずです。
それをこなしつつ、このレベルの前頭葉機能をどうすれば保つことができるのでしょうか。
介護の手助けをしてもらっても、気持ちの上で前向きに自分の人生をまっとうできない、そしてそのために次第に脳機能の老化を加速させてしまう人たちがどんなに多いか私は知っています。
夫の重なる病気(や後遺症)を、どのようにして受け入れられたのでしょうか。
どのような思い変えをすれば、それに負けずにこんなに元気に生きていかれるのでしょうか。
75歳で急にこのような前頭葉をもたれるわけではありませんから、お母さんはどのように生きてこられたのでしょうか。
お母さんの一生がフラッシュバックされるような気持ちで、かなひろいテスト正答数45、見落とし数1、内容把握可のテスト用紙を眺めました。
慌しい研修会の昼休みですから、私の思いを伝えることはできていないと思いながら、簡単にテスト結果の解説をしたのはほんの数分だったと思います。
その後で、たまたま皆さんにケース説明をすることになったとき、私の胸の中でもう一度お母さんの人生がフラッシュバックされました。
「これから先、また困難な状況が起きるかもしれませんが、決してそれに負けないで、今まで生きてこられたように自分らしく人生を完走していただきたいのです」と願った時、私は涙が出ていました。
多分、お母さんの人生の山坂を、ちょっとだけですがともに歩いたような気持ちになったのだと思います。
エイジングライフ研究所の二段階方式の手技は、脳機能テストを通してその人の現在の行動を理解するものですが、その人生に触れるような体験もできるのです。
是非、この手技を使いこなせるようにがんばってください。
お手伝いはいくらでもしますから。
レポートをお待ちしています♪