脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

そろそろ被災地に小ボケが・・・

2011年09月19日 | 二段階方式って?

それまでの生活が一変して、その人らしくイキイキと生きられなくなる。
状況を判断して、見通しを立て、自分がどう進むか考え、決定する肝心かなめの前頭葉の出番がなくなる。
その結果、生きがいなく、趣味も交友を楽しむこともなく、運動もしない「ナイナイ尽くしの生活」に陥って、半年すると前頭葉機能ははっきりと低下してきます。2011_0909_062300p1000073

3.11から半年が過ぎました。
あの大惨事に会われた高齢者の方々こそ、いま述べたような生活に陥っても仕方がないと皆さんも思っているでしょう。

「少しは理解できます。想像できます」とも言えないほどの、苦しみや悲しさを体験なさった高齢者の方々。
「将来を見て、今なにをすべきか、考えましょう」と言っても空念仏にすぎない。
「どう考えても先が見えない」のが、厳しい現実です。

そして、負ける。
悲しいことにその先に待っているのは、前頭葉機能の老化加速です。元々年齢とともに低下していく前頭葉機能が、発揮する場所も時もないという状態に置かれると老化が加速されるのです。エイジングライフ研究所ではそれを小ボケと言います。2011_0909_062200p1000071

東北地方のある町からの相談です。

「夫69歳が変。けがをした妻に対する配慮もないし、ガステーブルの使い方がわからない」という妻からの訴えで、夫の脳機能検査をしたところ、前頭葉機能のみの低下がみられました(これが小ボケ)

けれどもいろいろ生活実態を尋ねていくと、どうももう一つ妻の訴えと夫の生活状況にずれが感じられる、というのです。

妻は、7月に足首を骨折し自分のことだけに精いっぱい、実姉のところに世話になっている状態。
そのため夫は一人暮らしが始まって、当初は家事に戸惑ったものの、最近では、買い物をしてきて家事もこなし、意識的にテレビを見たり散歩に行ったりと、それなりに生活を組み立て始めている印象が強い。2011_0909_062200p1000069

「それなのに、気遣いもしないし、いつ帰ってくるかとも尋ねない。全くの無関心。もうこんな人とは一緒に住めない」と妻が強く強く訴えたといいます。

「離婚や別居は考え直して、二人で生活できるように、工夫しましょう」と保健師さんが説得をし、一応の結論としては
「妻の気晴らしも必要、買い物も頼んだり家事の分担も考えてもらって、二人で暮らすようにする」ということになったそうです。2011_0909_062200p1000070             

さらにお二人の生活歴を確認していったところ
実は平成7年に、夫は脳梗塞を発症し一カ月入院。
その後精神的にも不安定となり、65歳まで在職できていたものの、発病後は家のことは一切妻が取り仕切ってきたことがわかりました。

家のローンなどもすべて妻が処理して、震災のちょっと前に払い終わったところだとか!

自宅は陸前高田・・・
全壊して、たぶん何らかの事情があるらしく子どものところにも行かれず、他町の雇用促進住宅に入居したということもわかってきました。                                 

仮設住宅は2年間しか住むことができない。
2年たってどこに住めるというのか?
ローンを組めるあてもない。
私たちはどうなってしまうのか?

どうすれば生活ができるのか?
仕事はどうなる?
私の体は元に戻るのか?
夫には頼れない・・・2011_0909_062300p1000072

今回の大惨事は、いわば「一家の長」たる妻の方により重くのしかかってきたとも考えられます。
この状態で、妻の前頭葉がイキイキと機能できるでしょうか?

妻にも小ボケが忍び寄っていることに気づいてあげましょう(脳機能検査は必須です)。その観点から話を聞いてあげることで、より深い理解につながりますから。

そして、きっと多くの町で、このような状況の高齢者がたくさんいらっしゃるはずです・・・繰り返しますが、この状態は、脳機能検査をしなければはっきりと指摘してあげることができません。

将来の展望のないこの状況での脳リハビリは難しいことは承知していますが、それでも手をこまねいてボケさせることはできません。
せめて散歩。できれば集いの中で右脳刺激を図る。
とにかく脳機能からみて、このままではボケに確実に近づいていくという、危険な現在の状態を説明してあげなくてはいけません。2011_0909_062300p1000074_2

私は早く早くと焦りますが、「当面は自殺予防です」と言われた声が耳にこびりついています。

でも、講演会の時に皆さんが答えてくれます。
「ボケるくらいなら死んだ方がいい」

この言葉もかみしめてください。そんなに猶予できるゆとりはありません。


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