岩手県田野畑村の震災後の報告をしました。http://blog.goo.ne.jp/ageinglife/d/20110816
「糸や針を送ってあげよう!」と思い、最初は私一人でやるつもりでしたが、こういうことはみんなの力を借りた方がものもたくさん集まるし、田野畑村の認知症予防教室「ほのぼの教室」の皆さんも励まされるだろうと思って、友人に声をかけました。いろいろと大きな輪ができてびっくりしています。
友人→お姉さん→友人→洋裁仲間。洋裁をやるような人たちは理解が深いです!
「縫物をするなら糸と針だけじゃあだめ。ハサミも、ヘラも、メジャーも、アイロンも、ミシンも・・・さぁ、どこにあるかしら」と私の予想を超えた展開!
「毛糸はそれでも送り易いけど。布は難しい。もう着なくなった着物があるけど着物ではダメかしらねえ。一味違うものができるけど・・・」
「どうぞよろしく」とお願いしたら、間髪いれずに送ってくださったそうです。
K保保健師さんから弾んだ声で電話がありました。
「お心のこもった感動的な荷物でした。ここまでと思うほどにいろいろ揃えてくださって。
眺めるだけで夢が膨らむようでした。
教室の皆さんがこれを見てどういう顔をされるか楽しみです」
実は、「着物・・・」という言葉から、私はひらめきました。
毎度おなじみの奥州市江刺区稲瀬「年とらんと会」の千葉キヌさん
旧江刺市時代、認知症予防教室を脳元気教室と銘打って各地区で展開していました。そして毎年一度、各教室の合同交流会が行われていました。
その記念すべき第一回交流会の時、私は講評をするために訪れていました。
「年とらんと会」のメンバーは、500人くらいの会場の中でも際立っていました。
理由は、皆さん全員がお手製のチャンチャンコ(かといってお揃いではありません。みんなちがう!)を着ていたのです。
各コーナーにそれぞれの教室の作品紹介ブースがあって、「年とらんと会」の皆さんの今年一年の成果も展示されていました。
作品展示コーナーへ眼をやると、もちろんチャンチャンコは展示されていましたが、その横に何と型紙が重ねられていました。
「これは?」という私の問いに
「見たら作りたくなる人もいると思って・・・簡単にできるものだから型紙を用意しておいたんです」と答えてくれたのが千葉キヌさん。
今年の3月10日にもお邪魔をしたばかりでしたから、電話をかけました。
事情を話すと
「わかった!、型紙を送ればいいんですね。見ればわかるから!それから見本も一緒に入れておいてあげよう・・・・・ミシンがないだろうから、手縫いのにした方がいいよね」
後半部はひとり言のようでした。千葉キヌさんの頭の中がフル回転し始めているのが見えるようでした。
続けて話されたことばに私は感動しました。
「この年になると、迷惑をかけないように気をつけて生きることを、いつも考えてる。そうするとそれでいっぱいになってしまうけど、私でもお人の役に立てることができるんだね!うれし~い!」
ボケ予防にといっていろいろなことを勧めますが、究極は「人のためになる」ということを実感できるようなことをすることだと思います。
「人は一人では生きられない」という言葉を、東日本大震災の後、何度見聞きしたでしょうか?「人のためになる」このことほど生きる意欲をかきたてるものはないのではないでしょうか?
生きる目標として、前頭葉が納得できるものが有効です。
趣味もあるでしょうし、運動が生きがいの人もいます。
退職前なら仕事だって当然生きがいになります。でも、これらのことと「人のためになる」ことをすることとは、隔たりがありますね。
今回、布が届いたらという前提で保健師さんたちといくつか復習をしました。
「だいたいどんな状態なのかしら?これはいるだろうか?これはどうだろう?この布はこのように整理してあげて・・・そうするとこれも必要になるはず」
見たこともない田野畑村のおばあさんたちの姿を思い浮かべながら、そして喜んでくださる姿も想像しながら、さまざまに工夫を凝らして下さったと思います。
その時、皆さまの前頭葉はイキイキとなさっていたはずです!