脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

(椎間板ヘルニア≠慢性腰痛の原因)=(多発性脳梗塞≠認知症の原因)

2011年12月04日 | 画像だけにたよらない

テレビで面白いことを聞きました。
「50年に一度くらいの、大きな発見です」と、コメンテーターのドクターがおっしゃっていました。
その内容は
「椎間板ヘルニアがあっても、腰痛の原因にならない(場合がある)。
さらには、ヘルニアを手術で切除したにもかかわらず腰痛が治らないというケースもあり、『ヘルニア=腰痛の原因とは限らない』ということが分かってきた。
慢性腰痛の原因についてはもともと分からないことが多く、椎間板ヘルニアによるものは5パーセント、脊柱管狭さく症や圧迫骨折などによるものは9パーセント、そのほか腫瘍などによるものは1パーセント程度で、
 つまり、85パーセントについては、MRIやX線など目に見える形では、原因は不明」

 

私が興味深くみたのは、「脳の器質検査と認知症の関係」とよ~く似ている点です。

もともと、認知症(当時は老人性痴呆と言っていたわけですが)の担当領域は精神科がになっていたこともあって、重症化しないと病院受診をしない傾向がありました。
つまり受診した患者さんは、重症の認知症。そのほとんどは高齢者ですよね。

富士(粉サトウのような初雪)2011_1124_140400p1000027                                         ドクターは、家族からとんでもないような重度の症状を訴えられるわけです。
徘徊。
夜中に騒ぐ。
家族のことが全く分からない。
異食がある。
粗暴行為。
弄便などの不潔行為。

そして日常生活にも介助が必要な段階・・・
片時も目が離せない・・・

慢性腰痛で言えば、「痛くて痛くてたまりません。どうか助けてください」というレベルでしょうか。
そしてレントゲンで見ると「ひどい椎間板ヘルニアがある」「犯人はこのヘルニアだ!」

さて認知症の場合です。
CTを撮りました。患者さんの脳のCT 写真を見ると、そのほとんどの方に多発性脳梗塞が認められます。
「この多発性脳梗塞が、このとんでもない症状の原因」という結論になることも想定範囲内!
病名としては脳血管の障害があるので「脳血管性痴呆」と分類されました。
そして日本は世界でただ一国だけ「脳血管性痴呆」>「アルツハイマー型痴呆」となっていたのです。
年配の保健師さんたちは70%が「血管性痴呆」と習ったのですよね?!

ちなみに多発性脳梗塞が認められない場合は、萎縮が目立つということになって「アルツハイマー型痴呆」とされました。
高齢者が主体の検査ですから、CTを撮った時に正常ということはまずあり得ません。脳も老化しますから。2011_1125_105700p1000032                         木の洞に可愛い芽が

ところが、脳の器質検査に新風が吹くことになりました。
脳ドックです。

正常な高齢者が受診します。
物忘れなど訴えることはあっても、前述したような重度症状がある高齢者は、脳ドックには一人も受診しませんね。

もう大体結論はわかったと思います。
つまり症状のない高齢者にも、多発性脳梗塞はたくさん見つかりました。70代で70%といわれています。
ミズクラゲの赤ちゃん2011_1125_114100p1000037
この段階で、CTなどの器質検査は特に早期の認知症に関してはほとんど診断の基準になりえないということがもっと広まってもよかったと思うのですが、いまだにCTやMRIの方がきちんとした検査だと思っている人たちが多いですね。
二段階方式を学んだ人たちの中にもいらっしゃるのが残念です。

認知症を早く見つけるためには、年とともに老化していく脳の形を見るよりも、その働きを知ることの方がはるかに重要であることをおさらいしておきましょう。
認知症の早期発見には、器質検査よりも機能検査が必須なのです。

 


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