自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

ナイフと銃/無知による無鉄砲

2010-09-10 | 体験>知識

時代も環境も違うので一概には言えないが、ブラジルではナイフと銃が野放しでも周囲では事故も事件も見たことがなかった。

わたしは無知ゆえにぞっとするような体験をいくつかした。
折りたたみナイフは遊び道具として大抵のものが所持していた。
ナイフで決闘のまねごともした。
ほかに手裏剣の練習みたいな的当てに夢中になることもあった。
オラリアで初めてピストルを手にした。
大人たちが空き缶の的めがけて射撃していた。
こどもには重いうえ引き金がかたくて片手では発射できなかった。
ある時U叔父の寝台の裏に隠してあった実弾を持ち出して金槌で薬莢を叩き壊して火薬を取り出した。
爆発しなかったのが不思議だ。
危険に気がついて身震いしたのは何年も経ってからだった。

日本ではその場で恐怖の体験をした。来日後半年ほど経った頃だった。
鉄管で鉄砲を作る遊びが流行った。
短い鉄管に撃鉄と引き金を付け、花火の火薬で細かい鉄くずを発射する仕組みだった。
級友のAが試し撃ちに引き金を引いた。不発だったのでわたしの方に銃口を向けたまま「あれ~出ないよ」と引き金を引いた。
また不発だったがわたしは一瞬凍りついた。
奪い取るようにして引き金を引くと破裂音とともに散弾が空しく飛んだ。
教育で危険を知るのではなく、体験で危険を知る「しあわせな」時代だった。