新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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リチャード・ギア「消えた天使」を観て

2008-01-17 17:47:59 | 芸術鑑賞
DVD発売 2007年12月

実に陳腐なタイトル、まるで60年代のB級映画かと思いました。ところが消えた天使の意味がわかるにつれて、この言葉の恐ろしさに唖然としました。誘拐・行方不明の女の子の意味です。

米国の性犯罪に対する取り組みをベースに、その監視官の仕事の現実を描いています。
現在アメリカには50万人の登録性犯罪者がいて、1人の監視官が1000人の登録性犯罪者を監視していると言います。

女子大学生が行方不明になり、後1月で退職する監視官が登録者の中に犯人がいるのではないかと強引な捜査を始めます。
公共安全局の監視官は警察ではないと、おざなりな監視をしている上司達は、実質彼を首にしたのです。新人との引継ぎがあと18日しかない中で、彼は犯人に迫っていく。思い込みに近い強引な捜査は続いていきます。

まったく警察の捜査が描かれていない、役人が強引な捜査を続けていくのには大いに疑問がありますが、日常的に増加する性犯罪大国の米国では許されるのでしょうか。
社会問題と言いますか、犯罪に対してシステム的に対策を次々に立てていく米国にある意味感心していましたが、現場での問題はそんなに綺麗なことではなく、やはり役人的な考えが存在し、犯罪の深刻化についていかないのでしょうか。

日本も最近以前は無かった犯罪が増えています。少女が殺され犯人の捕まってない事件が多発しています。発信機を取り付けるなど物理的な対応は紹介されていますが、誰が、どこの役所で監視するのでしょうか。
後手後手に対応が遅れるのがツネの日本の役所で、あと十年か二十年で同じ様な社会問題になるのではと思います。

映画に戻ります。香港の監督で、撮影監督の経歴のある監督です。映像にフラッシュ映像が多用され、最初のうちはなれるのに時間が掛かりました。外国人の監督に自分の国の闇を映画化させてしまう、米国の映画界に感心します。

犯罪者に対して、これほどの強引な対応が可とする米国社会の現実、あるいは性悪説に基づいて起こりうる最悪の事例には、前もって対策を採るべきだとする米国人の考え方は、村社会で周りの人はいい人ばかりとする日本人にはなかなか理解できないでしょう。

コレクションにはしませんでした。

コメント
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