新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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「坂の上の雲」を観て

2011-12-26 17:56:29 | 芸術鑑賞
昨日「坂の上の雲」最終回を観ました。近年稀に見るよくできたドラマだと思います。ロケやセットにかなりの金がかけられており、重厚な戦闘シーンにも感動しました。明治の初めの日本開国の雰囲気も良く出ていました。庶民からの観点ではありませんが。

さて昨日観終わっての感想で、二つほどちょっと違和感がありました。

①丁字戦法の解説がほとんどなかったこと。
近代戦史の残る完璧な海戦の主要となる戦法、丁字戦法をもう少し解説してほしかった。
丁字戦法自体は軍艦に大砲を積むようになってから既に考えられていた戦法らしいのですが、敵先導艦の頭を抑えるまでの時間、味方先導艦が敵の集中砲火を浴びる危険性があることや、事実旗艦三笠にはこの時間に31発の大型砲弾が命中していたらしいのです。(日本海海戦で検索してみました)

回頭した後、味方戦艦が一斉に敵先導艦からは順次集中砲火を加えると言う事になるのですが。
秋山真之が帰還後多くの兵を死なせたと悩むシーンがありますが、ほとんどのロシア艦隊を沈めただけでなく、自分の乗艦する旗艦三笠に多くの砲撃を受けて兵士を死なせているのがよくわからず、悩む姿が不思議に思えました。

②秋山兄弟の帰還後の描写が少なかった。
大手柄の秋山海軍中佐の帰還の姿が、津田沼?の古ぼけた木造駅舎に一人降り立つシーンです。彼の苦悩はわかりますが海軍としての彼の迎え方が気になります。東郷長官以下の歓迎式はなかったのでしょうか。その式典と彼の苦悩とが並ぶとより引き込まれるのでは。
兄の秋山少将と弟の秋山中佐との軍人としての日露戦争に対する会話が聴きたかったです。
兄は陸軍大将に弟は海軍少将に晩年は昇進しているのですから。ただ原作を読んでいませんので、どこまで書かれているかわかりません。

最後にもう一つ。
この物語は登場人物がほとんど佐官クラス以上と言う事です。その辺が少し気になります。明治の初め、兵卒は貧しい農家の二男三男たちだそうですから。旅順要塞の冷たい泥水の中で死んでいった数万の兵隊の事は描かれていません。
騎兵旅団長の制服も、海軍参謀中佐の制服もカッコいいのですが。どうも。

最後に出てくる二人の『これから日本はどうなるだろうか』が軽く聞こえてしまいます。
コメント
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