ノンフィクション トニー・アイカー著「死に山」何とか第1回目の読了いたしました。天候不順が続いたので、ボチボチ読み進みました。何せロシア人の名前の難しさ、登場人物の区別ができず登場人物表を見ながら読み進める始末でした。感想を述べる前に本書の概略を説明します。
【概略】
事件が起きた峠の名前から、ディアトロフ峠事件と言われる。1959年、ロシア西部、ウラル山脈の一帯で起きた遭難事故である。真冬のウラル山脈に学生登山部の若者9人が入山し、全員が消息を絶った。そして1か月後、凄惨な死に様で全員の死亡が確認される。当局はその原因を「未知の不可抗力」とだけ報告し、調査を終了。しかしなぜか2010年ごろから、この出来事が急に「新たな謎」として発掘されたのです。その理由は様々だが、ひとつにはこの事件が「旧ソ連」で起きたこということと、深く関連している。(本書 解説の一部)
登山参加者の克明な日記と多くの写真から彼らの行動の一部が判明していきます。1959年当時のロシアの大学生達の登山行の様子が日記に克明に描かれています。事件は別にして面白いです。全員の顔写真や雪山やテント内の集合写真など若者たちの元気な姿が一層の同情を感じてしまいます。死体発見の状況や当時の合同葬儀の写真もあります。そして彼らの行動の記録と交互に、アメリカ人の映画、テレビの製作・監督である筆者の現地での調査の様子が述べられています。50年前のロシアの山奥の村の事件に外国人であるアメリカ人が、ロシアの事件をなぜ調べに来たのか、現地の人たちの感情や役人たちの対応など、スパイ映画の様なシーンも登場していきます。
彼らの日記が最後に途絶えた後、全員が死亡しているので事件の真相が当然全く判明しません。2013年当時本書で考えられる理由を解説していますが、長くなるのでその理由のタイトルだけをここに列挙します。すべて本書ではその原因を否定されてます。
①マシン族(現地人)の攻撃
②雪崩
③強風
④武装集団の襲撃
⑤兵器実験(ロケット実験/放射能関連の実験)
⑥「機密扱いになっている」ロシア政府によって
⑦エイリアンなど
ここまですべて著者は理由をつけて否定しています。不可能をすべて消去していくと後に何が残ったか。
著者がたどり着いた結論は、米国商務省の管轄下にあるNOAAという機関の学者とのインタビューから始まります。詳細はネタバレになるので省略したしますが、なるほどこんな現象があるのかと驚きました。勿論NOAAの学者が現地に行ったわけでもありませんし、著者が持ち帰った各種の資料からだけで想定された結論です。
日本でもこんな現象についての発表は聞いたことがありません。でもこの現象が説明された通りだったとしたら、9名の若者たちはそれはそれは恐ろしかっただろうと思います。
私は著者が解説した8番目の理由がなんとなく信用できるのですが。