新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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内田康夫「汚れちまった道」

2012-10-23 17:30:09 | 読書
天気も悪いことで、内田康夫の「汚れちまった道」と「萩殺人事件」のどちらかを読みだすことにしました。

山口県を舞台に起きた事件が同時進行で展開していくのを二つの出版社で発行されたという新趣向です。どちらを先に読むかの紹介はなく、長年の読者としては慣れ親しんだ主人公浅見光彦の「汚れちまった道」を読むことにしました。

480頁を超える長編です。さらに途中で昔の知人からの長電話、結局3時過ぎまでかかってしまいました。

内田康夫のミステリーはいつも思うのですが、ある特定に地方を中心に事件が起きるのですが、まったくよくこんな風に考え付くなあと感心してしまいます。
内田さんのミステリーではいつも、何か業界と言いますか職域と言いますか、特定の団体と言いますか、そのグループの内部をえぐるような告発が描かれているのですが、今回のミステリーには特に目新しい告発はありません。

むしろどこにでもありそうな、あえて山口県ではなくても東京都でも北海道でも起きうるような、政界・大企業・マスコミ・闇社会の癒着が舞台です。日本中どこでも多分あるだろうと想像できる事件です。
市井の小市民である我々は、その主役にはならないでしょうがひょっとすると巻き込まれてとばっちりを受けて被害者になるかもしれないと、怖くなってきます。あるいは加害者にでもです。
最近マスコミをにぎわしている事件の一方的な被害者の方々の気の毒さは、心痛みます。

おとなしい真面目な国民性を逆手に取って、恣に富をむさぼっている連中の姿を描き切っています。ある意味うんざりです。

「萩殺人事件」の主人公は松田将明です。松田はこちらにも少し登場しますが、さて初めて登場する彼がどれほど浅見光彦になれた読者を満足させられるか期待したいです。

明日は天気が良くなるようですので、読書はまた後日になるでしょう。


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