病院の診察が早く終わった時は帰りにHARD OFFに寄ることにしている。1年ほど前、ガラスケースの奥の方に本体のみのM75EM2が新しく入った。他はシェル付きなのでそれなりに様になるけれど、カーリッジ単体なのでちょっと寂しい。半年後位に最前列に移動したけれど、なかなか買い手が現れない日々が続いていた。M75シリーズの中でもEMは当時、ヤマハのプレイヤーに載せられていた?モデルで一般的にはあまり知られていなかったのかもしれない。それと、スタイラスがオリジナルではなく、JICO針なのがマイナスだったようです。でも、不憫に思い拾ってきました(英世4枚+α)。いつも通り、まず、何でもないシェルとリード線でセットし、それから相性を絞り込んでいく予定です。
いゃ~、もう、このままでアタリの予感がしました。
深夜のジャズ・バー、客は二人っきりに。マスターと男の眼が合った。マスターが一枚のレコードを、そして一曲目ではなく真ん中あたりに針を降ろした。女はそれを見逃さなかった。
ピアノのイントロに導かれ、ハーマン・ミュートが耳を擽るように流れ出す、だが、品は失っていない。女はカクテルから男のブラントンに腕を伸ばす・・・・・・・、「今夜は帰らないわ」のサインだったのか、ミステリアスでミラクルな11:20。確証を得ないまま店を出ると夜風が心地良い。
「貴方って悪い人ね(笑)」、「いゃ~、悪いのはルグランとベイカーさ」、「もっと悪い人があ・な・た」、「いやいや、マスターだよ」。男の勝ちが見えてきた。タクシーのライトに絡み合う指が浮かび上がる。
若き日の思い出を蘇らすベイカーのハーマン・ミュートが兎に角、音色もすべて素晴らしい。勝ちパターンの絶対的切り札、これぞ”ONCE UPON A SUMMERTIME”のベスト・ヴァージョン。
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