構えにもいろいろある。身構え、気構え、門構え。
大震災の後、「寄付はフラッとできるのがよい、構えずに」と言った人がいる。田村敦のその言葉に感心した。
「身の引き締まる思い」などと定型句を口にし、そのときに構えは見せても、別段何もせずに、椅子の確保だけに精力を集中して終わる人もいる。
芸人の構えは、舞台高座で脱ぐときに見て取れる。
踊りながら脱ぐとき、噺しながら羽織を後ろに目立たないように置くとき、その仕草が芸の値打ちを左右する。
政治家の構えは議会壇上に立つときに際立つものだが、背をまるめ、目をしょぼつかせて、ぼそぼそと切り出す姿をしばしば見せられては、支える人々の気構えも萎え、それぞれに見えを切るすべさえ思い出せなくなってしまうだろう。