俳句の風景

写真と自作の俳句を掲載しています。

居待月

2010-09-25 | 俳句・秋・天文


父母に会ひし帰りや居待月

陰暦八月十八日の月。名月、十六夜(いざよい)、立待月(たちまちづき)、居待月と続く。月の右上が欠け初め、名月から一時間ほど遅れて昇ってくるので、座して待つという意味の月。父と母に会った帰りに大きな居待月が昇っていた。少し欠けているとはいえ、明るい月であった。

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川にその影を映せり居待月


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酔芙蓉

2010-09-24 | 俳句・秋・植物



庭園の門閉ざされぬ酔芙蓉

アオイ科の落葉低木。酔芙蓉は園芸品種で、花の色が朝は白、午後は淡紅、夕方は紅色と変化し、翌朝しぼむ。神秘的な花である。昼にはまだほとんど白かった酔芙蓉が、四時間後には紅色となっていた。庭園の門はすでに閉ざされていた。それにしても、酔芙蓉とはよい名である。

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酔芙蓉古社を訪ねてきたりけり


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朴(ほお)の実

2010-09-23 | 俳句・秋・植物


朴の実やかそけき音も風ならむ

朴はモクレン科の落葉高木。初夏、白い大きな芳香のある花を咲かせ、晩秋に実を結ぶ。果実は袋果が多数集まったもので、熟すと袋果が裂け、二個の赤い実が白い糸で吊り下げられる。赤い棘のある朴の実が多数生っていた。辺りにかすかな物音がしたが、きっと折からの風によるものであったのであろう。

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遠くよりそは朴の実と知られけり


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名月

2010-09-22 | 俳句・秋・天文


名月の星引連れて昇りけり

陰暦八月十五日の月。「仲秋の名月」をいう。この夜が「十五夜」「良夜」である。芒を挿し、月見団子や芋、枝豆などを供えて月を祀った。月の左斜め下に明るい木星が見られた。まえるで名月が星を引連れて昇ってきたかのように見えた。この後、雲が早い速度で流れ、あっという間に曇ってしまった。

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風立ちて雲流れきぬけふの月



望の夜の見知らぬ人と話しけり


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橡(とち)の実

2010-09-21 | 俳句・秋・植物


まだ落ちてこぬ橡の実を見上げたり

トチノキ科の落葉高木。果実はほぼ球形で、中の種子は光沢のある赤褐色。苦味が強く生食することはできないが、水に晒して灰汁(あく)を抜き、餅や団子を作る。橡の実はまだ落ちていなかった。樹上に生っているのを見上げるだけであった。

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橡の実や製材所跡野と化して


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