早春やジョギングコース歩く人
立春以後、だいたい二月末頃までをいう。
春になったとはいえ、まだ冬の名残の寒さが目立つ。
「春浅し」に近く、春早々の気配と、また凛とした空気も感じられる季語である。
早春の気が漂っていた。
そんな中、公園のジョギングコースを歩く人がいた。
鷺下りてきぬ早春の用水路
早春やジョギングコース歩く人
立春以後、だいたい二月末頃までをいう。
春になったとはいえ、まだ冬の名残の寒さが目立つ。
「春浅し」に近く、春早々の気配と、また凛とした空気も感じられる季語である。
早春の気が漂っていた。
そんな中、公園のジョギングコースを歩く人がいた。
鷺下りてきぬ早春の用水路
気がつけば真夜となりけり朧月
朧に霞んだ春の月をいう。
ヴェールのような薄雲が広がる夜には、月は雲を通して朧に見え、暈がかかることも多い。
宵には春満月が綺麗に見えていたが、後で写真を撮ろうと思ってすっかり忘れてしまった。
真夜中に気づいて見上げたら、薄雲があっという間に広がり、朧月になってしまった。
ファックスは訃報なりしよ月おぼろ
春の日や農家に隣る霊園も
「春の日」には春の太陽をさす場合と、春の一日をいう場合とがある。
俳句で「春の日」と詠むと、そのどちらか明確でない場合があるが、春の日差しは明るくうららかであり、春の一日は永くのどかなものとして詠まれているようである。
「春日影」は春の日差しをいう。
農家の隣に霊園があった。
その園霊園にも春の日が遍く差していた。
明日も生きむ春の夕日に向ひゐて
歩いても先ある道や春の雲
春は気圧の谷や低気圧が次々と通過するため、雲が発生しやすい。
春の雲の代表には、淡い白色のベール状の巻層雲、やや濃い灰色の高層雲があるが、いずれも薄く広がる。
また、春らしいふんわりとした綿雲が浮かぶことがある。
歩いても歩いてもその先に道がある。
歩いてきた空、向かう先の空に春の白雲が浮かんでいた。
春の雲没日に染まり始めけり
春北風や鴉十羽の流されて
春になっても低気圧の影響により、一時的に西高東低の冬型の気圧配置に戻ることがある。
俳句では、この時に吹く北西風を「春北風(はるきた)」と呼ぶ。
「ならい」は、東日本の太平洋側、特に関東地方で吹く冬の季節風の呼び名であるが、春先にも吹き、これを「春北風(はるならい)」という。
春北風が強く吹いていた。
寺の森に棲む鴉たちが、その春北風に流されていた。
薄墨の夕べの富士や春ならひ