2023年12月4日の7時前、NHK総合テレビ NHKニュース おはよう日本で表題の見出しで
枚方市「禁野本町遺跡」で「道路跡」がみつかったとの報道がありました。
報道で紹介された写真を利用させてもらい発掘調査の概要を纏めました。
特記していないかぎり上記番組からの引用写真です。
今回の禁野本町遺跡発掘調査は第139次で2023年9月1日から10月10日に実施されました。
発掘調査の詳細は下記サイトでプレスリリースされています。
現地説明会は9月30日に実施されています。
またNHKの報道内容の詳細は下記サイトに記載されています。
上の写真は発掘調査地(中央の下方)付近を北側から南に向けて撮影されたものです。
発掘調査は住宅開発に先立ち9月1日~10月10日に実施。
現在は住宅工事中。開発地(約 1,700 ㎡)内の2カ所で調査(北側の調査区:158㎡、
南側の調査区:59㎡、合計:217㎡)を実施されました。
両調査区で奈良時代後半~平安時代初期の南北街路の路面(検出長約2m)と
両調査区で奈良時代後半~平安時代初期の南北街路の路面(検出長約2m)と
西側溝(最大幅3m、深さ 20cm)を発見。これまでの調査で、この街路の北延長部などが
見つかっていたが、今回の発見で百済寺跡北門まで繋がって造られている
確実性がより高まった。
全体像を理解するために発掘調査地点付近の広域図を添付します。(下の写真)
出典:23112902.pdf (city.hirakata.osaka.jp) のPage3
調査地の場所を周辺をみるために調査地の近くの枚方市立明倫小学校(枚方市中宮西之町10-6)
のGoogleマップを添付しておきます。
上の写真は発掘調査地点の拡大版
禁野本町遺跡は7世紀後半に滅んだ朝鮮半島の古代国家「百済」の王族の末裔である
百済王氏が築いたと推定される古代都市の中心部で今回調査で南北街路の路面と西側溝が見つかった。
百済王氏の読み方はくだらのこにきしうじ
百済王氏は、平安京を築いた桓武天皇を支えた渡来系の有力氏族。
発見された路面と西側溝は奈良時代後半~平安時代初期(8世紀後半~9世紀前半頃)のもので、
この南北街路は遺跡の南側にある百済寺北門跡からほぼ真北へ延びていた平安京の朱雀大路に
当たるこの街のメインストリートの一部となります。
これまでの138回の調査で、この街路の北延長部や直交する東西街路の一部も確認されており、
平安京や平城京と同様に碁盤目状の方形街区の都市があったと指摘されてきたが、今回の発見で
その存在をより明瞭に裏付けられた。
百済王氏の都市が方形街区で整備されたことは同氏と桓武天皇の関係の深さが窺い知れる。
また、桓武天皇は母親(高野新笠)が百済系氏族の「和氏(やまとし)」出身だったこともあり、
「百済王らは朕の外戚」と言うほど信頼を寄せていた。文献には桓武天皇がたびたび
枚方がある交野郡で鷹狩りや天神を祭る儀式を行った記録が残されている。
また、桓武天皇は母親(高野新笠)が百済系氏族の「和氏(やまとし)」出身だったこともあり、
「百済王らは朕の外戚」と言うほど信頼を寄せていた。文献には桓武天皇がたびたび
枚方がある交野郡で鷹狩りや天神を祭る儀式を行った記録が残されている。
関連年表:
・660年、百済の役
水城跡は百済の役の後、日本を守るために築かれた城砦です。
水を貯えた濠と土塁とからなっており、今も長さ1.2kmもの巨大な土塁が存在
水を貯えた濠と土塁とからなっており、今も長さ1.2kmもの巨大な土塁が存在
・663年、白村江の戦いで唐・新羅連合軍に倭軍は大敗
関連事項として倭国が唐・新羅連合軍の進軍に備えて造った古代山城の分布図を添付。(下の写真)
白山江で大敗した日本の各地に百済からの避難した人達により多くの山城が建設された
上の写真の中央部の褐色帯がメインストリート12mのうち検出された2m幅の道路跡
道路跡の左側は道路の側溝になります。
上の写真は北側のトレンチで掘立柱の建物跡も見つかっています。
上の写真は枚方市文化財課の井戸竜太さんのコメントの字幕が書かれた場面
禁野本町遺跡の南側にある百済寺跡 についてGoogle 地図で現況を調べてみました。(下の写真)
百済寺跡(中宮西之町1)は国指定の特別史跡。現況は公園として整備されています。
百済寺は朝鮮半島南西部の古代国家「百済」の王族の末裔である百済王氏の氏寺。
伽藍配置は薬師寺や東大寺と同じ「2塔1金堂式」である。
更に背後には講堂や食堂があったと推定されています。
百済王氏の敬福(697-766)が奈良時代中頃に陸奥守となり、同国で発見した黄金を
東大寺大仏の鍍金用として聖武天皇へ献上しました。そのことにより、交野の地を賜り、
一族が大阪の上町台地に位置する摂津国百済郡(せっつのくにくだらこおり)から
移住したとするのが有力な通説となっています。
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