高江のヘリパッド工事で、また新たな問題が発覚した。
防衛局は9月中旬から、ヘリパッド工事の工期を短縮するためと称して、工事用道路を造成しはじめている。そのため大規模な森林伐採が行われ、やんばるの森が見るも無残に切り開かれていることは、このブログでも何度も説明してきた。
現地は米軍基地内だが、国有林なので、防衛局は立木の伐採が必要な場合、沖縄森林管理署と事前協議を行い許可を得る必要がある。今回の工事用道路造成にあたっては、防衛局は9月1日に沖縄森林管理署に事前協議書を提出し、沖縄森林管理署は9月12日に許可文書を送付している。沖縄森林管理署が出した許可は、伐木面積:約5,700㎡(道路延長:1,409m、道路幅員:3.0m、伐採幅:4.0m)というものであった。
ところが、Aさん(元土木技術者)たちが、9月22日、現地で測量を行ったところ、ほとんどの地点で道路幅は許可の3.0mを超えて3.8m~7.6mにもなっていることが判明した。伐採幅もほとんどが6.0mを超えている。許可の範囲を逸脱した違法伐採だ。
琉球新報と沖縄タイムスは、この測量結果について大きく報道してくれた。琉球新報は1面の報道だったが、そこに防衛局の驚くようなコメントが載っていた。「工事用道路の全ての部分において4mに限定したものではない。森林管理署から道路幅3m、伐採範囲4mで許可を受けているという捉え方は誤りだ」というのだ。なんという開き直りか?
防衛局の協議書、沖縄森林管理署の同意書には、「道路幅員:3.0m、伐採幅:4.0m」と書かれている。これを防衛局は「範囲はあくまでも標準的なもの」と主張しているのだが、それは全く通用しない。今回の許可は、延長・幅員だけではなく、「伐木面積:約5,700㎡」とも明記されている。これは、「道路延長:1,409m、伐採幅:4m」で計算した面積なのだ。この面積以上の伐採は違法行為となる。
(見るも無残な伐採後)
事前協議の同意書では、伐採の総本数は上の表のように計3,732本にもなっている。もし伐採幅が4mではなく6mとすれば、この5割増しだから伐採本数は5,500本にも及ぶこととなる。防衛局は、ただちに工事用道路造成を中止しなければならない。
*わずか1ケ月ほどの工期短縮のために、これだけ大規模な森林伐採は許されない!
この工事用道路造成は、工事の遅れに焦った防衛局が環境への影響を無視して強行しているものだ。
防衛局は、当初の『環境影響評価図書』では、N1地区(2ケ所)・G地区・H地区のヘリパッド造成について、「環境への影響を考慮して同時ではなく、順次着工していく」としていた。その際の工期は13ケ月だった。
ところが、防衛局は本年7月に県に提出した『環境影響評価検討図書』で、工期を6ケ月に短縮するため、3ケ所同時に着工し、さらにヘリによる重機空輸や、工事用モノレール設置を打ち出してきた。特にこの工事用モノレールは、単管を人力で打ち込んで上にレールを造る構造で、土地の形質変更もせず、伐採もほとんどないと説明していたのである。工期が6ケ月に短縮された結果、来年1月末に竣工の予定だった。
そして本年9月、防衛局は『環境影響評価検討図書』の『修正版』を県に提出した。そこでは、工事用モノレールの設置を止め、N1地区近くからH地区まで工事用道路を造成するというのである。工期短縮の具体的な数字は明らかにされていないが、先日の国会開会の際の所信表明で、安倍首相が「年内に工事完了」と明言した。来年1月末から12月末まで工期が縮まるとすれば、工期短縮期間は1ケ月ということになる。たったそれだけのために、自分たちが行ってきた環境影響評価の結果にも相反する工事を強行しようとしているのだ。
結局、政府は、わずか1ケ月ほどの工期短縮のために、やんばるの豊かな森をこれほど大規模に破壊しているのである。絶対に許されない。