チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

深さ90mという問題以外にも、大量の砂の調達問題、そして浚渫土の処理問題 --- 大浦湾の軟弱地盤の改良工事はできない!

2019年02月22日 | 沖縄日記・辺野古

 大浦湾の軟弱地盤問題がますます深刻であることが分かってきた。海面下90mまでの地盤改良工事など世界でも前例がないにもかかわらず、安倍首相らは「一般的で施工実績が豊富な工法」で工事は可能だと強調し続けている。

 25日(月)の防衛省交渉(午後2時~ 参議院議員会館 B109)ではこの問題を中心に追求する予定だ。また、前日24日(日)の安里キリスト教会(那覇市おもろまち 午後2時~)での講演会でも、この軟弱地盤問題を分かりやすく説明したいと考えている。関心のある方は是非、おいでください。

 

 今日(22日)の沖縄タイムスは1面トップで、軟弱地盤の改良工事で、敷砂や砂杭に使用するため、砂が650間万㎥も必要になると報じた。これは沖縄の年間海砂採取量の3~5年分にもあたるという。いったいこれだけ大量の砂を何時、何処から調達するというのであろうか。

 今日の沖縄タイムスは報じていないが、これだけ大量の海砂を沖縄で調達することは不可能である。瀬戸内海では海砂採取が一切、禁止されているように、本土からの搬送も難しい(特定外来生物の侵入を防ぐための土砂条例の規制もある)。そのため、砂の代わりに「鉄鋼スラグ」の使用が想定されるが、これは環境に深刻な影響を与えるために許されない。

 

◍大量の浚渫土の処理をどうするのか?

 さらに、今まで指摘されていない問題がある。

 地盤改良工事では、大量の砂杭を打ち込むため、その分、現地盤面が大きく盛り上がる。政府の検討書では、ケーソン護岸部では、最大、10mも盛り上がるとされている。本来はこの盛り上がり土は撤去するのだが、今回は「環境影響への観点」から撤去せずに、その部分もSCP工法などで地盤改良を行なうという。

 それでも浚渫が必要な土砂量も多い。ケーソン護岸部では21万㎥、中仕切岸壁部では33万㎥もの浚渫が必要となるという(中仕切岸壁は土砂運搬船が横付されるため、一定の喫水を確保しなければならず、浚渫量が多い)。

 この、合計54万㎥もの浚渫土をいったいどう処理するかが問題となる。

 政府の検討書では、水深が深いところの浚渫土は、埋立材として使用。水深が浅いところは中仕切岸壁A、Bの中詰土として使用するとされている。しかし、この計画には大きな問題がある。

 当初の工事設計書でも、中仕切岸壁の、鋼管矢板の間(幅15m)には浚渫土を入れるとされていた。しかし、当時想定していた浚渫土は、「N値11の砂質土」である。今回のようなN値ゼロを含むような軟弱地盤ではない。中詰土として鋼管矢板の間に入れてもめ固めることはできず、埋立材としては使用できない。

 また、当初の工事設計書では、中仕切岸壁の中詰土は16万㎥とされていた。今回は、54万㎥もの浚渫土が発生するから、中仕切岸壁の中詰土だけでは処理できない。

 結局、大量の浚渫土は再度、埋立材として使用されることになるが、そもそも、そのままでは使えないような軟弱な土であるから地盤改良が必要になったのであり、埋立材として再使用することはできない。


 大量の砂の調達問題、浚渫土の処理問題---。水深の問題だけではなく、そもそも大浦湾の軟弱地盤問題は解決不可能なのだ。

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