12月27日、本部町島ぐるみ会議の皆さんと、本部港(塩川地区)から石材を辺野古に海上搬送するための港湾使用許可問題について、沖縄県への申入れを行った。県からは、吉田政策調整監、照屋港湾課長らが出席、我々がすでに提出した質問書への回答を求めた。
沖縄県もほとんどの点で我々の指摘を認め、現在の本部港(塩川地区)の港湾管理には多くの問題があることを認めた。このような杜撰な状態のまま、本部町が辺野古への石材搬送のための新たな港湾使用申請を認めてはならないことは明らかである。県は、本部港の問題についても、第3者ではなく、当事者として対処しなければならない。
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以下、我々が提出していた質問書( 下の黒字部分)と、それに対する港湾課長の回答(下の赤字部分)を掲載する。
本部港(塩川地区)の使用実態と県の責任について
---本部町が出した辺野古への石材海上搬送のための港湾使用許可取消しの指導を! 2017.12.27
本部港(塩川地区)からも辺野古への石材海上搬送が始まった。しかし、現在、本部町が一部の事務処理を委譲された本部港(塩川地区)の港湾使用実態には、下記のように多くの問題がある。
全ての事務処理が本部町に移譲されているのではなく、県は、当事者としてこれらの問題に取り組まなければならない。また、本部町に対してこうした問題を是正せずに新たな使用許可を出さないよう指導するべきである。
<港湾課長の回答>
「港湾管理条例で、大部分の権限は本部町に移譲している。本部町の権限について県が指導する権限はない。相談があった場合、助言・資料提供等をする。」
「今回は、一部の事務処理に不適切な部分もあったので、本部町にも事情を聞いて適正化に向けて調整・助言を行っている。」
1.現在、本部港(塩川地区)に設置されている多くの無許可施設について
現在、本部港(塩川地区)には、北部港運(株)の事務所を含め数棟のコンテナハウスや、トイレ施設、タイヤ洗浄のための洗浄装置などが設置されている[1]。岸壁使用許可や荷さばき地使用許可等については県港湾管理条例第31条により本部町に委譲されているが、港湾施設用地使用許可は沖縄県の所管のはずである。しかしこれらの施設は、県に対して港湾施設用地使用許可の手続は行われておらず、違法物件と言わざるを得ない。
県は、本部港(塩川地区)の管理について当事者としての責任を持たなければならない。
こうした実態については、県も現地を確認し、本部町とも協議を続けてきたはずである。県としてどのような対応を取られるのか明らかにされたい。
<港湾課長の回答>
「事務所、倉庫、コンテナハウス、洗浄装置等については、荷さばき施設としての扱いとなるかどうかを含めて本部町と調整している。」
「一部の施設については、県の港湾施設用地使用許可の必要なものもあるのではないかと調整している。」
<我々の追求に対する課長の回答>
「いつまでにやるのか?」 ⇒ 「整理がつき次第、できるだけ早く行いたい」
「撤去をすぐに求めるべきだ」 ⇒ 「早急に調整したい」
2.港湾区域内での違法な民間企業の作業場設置について
現在、本部港(塩川地区)のかなりの部分は、「塩川Pca製作作業所」として、安和港桟橋工事のためのプレキャスト製品(スラブ)製作用地として使用されている。名護市の安和港桟橋は、琉球セメントの専用港だが、公共施設である県所管の港湾が、民間企業施設の工事のための作業所とされていることは理解できない。
ところが本部町は、北部港運(株)から出された申請に対して、本年10月20日以降、「安和港桟橋工事の為」として5800㎡の荷さばき地使用許可を出している。しかし、荷さばき地使用許可とは、貨物の積卸し・荷さばき等のための一時的な使用を対象としたものであり、このような民間企業の作業場は港湾法で定められている港湾施設には該当しないことは明らかである。県も現地を確認した上で、「港湾施設の利用法としては適正ではない」という見解を示したはずである。
港湾施設のこのような使用に問題はないのか? 本部町が荷さばき地使用許可を出していることは適正か? ただちに撤去させるべきではないか?
この問題について沖縄県としてどう対応されるのか明らかにされたい。
<港湾課長の回答>
「これらについては、荷さばき地としての使用はできないと確認している。整理がつき次第、適切に対応したい。」
<我々の追求に対する課長の回答>
「明らかに違法物件であり、すぐに撤去させるべきではないか?」 ⇒ 「何故、この場所を使う必要があるのか、また、他の使用者に支障がないか等を確認したい。」 ⇒ 「支障がなければ問題がないということではない。違法物件ではないか。すぐに現状回復させよ。」 ⇒ 「是正させる方向で調整している。」
3.本部町が出した港湾使用許可の不備について
本部町は、多くの反対にもかかわらず、本年12月分の荷さばき地使用許可、岸壁使用許可を出した。
ところが、本年11月30日付の「シュワブ傾斜堤護岸工事の為」の荷さばき地使用許可(3440㎡)、「安和港桟橋工事の為」の荷さばき地使用許可(5800㎡)、「那覇空港滑走路増設事業の為」の荷さばき地使用許可(3440㎡[2]、275㎡)には、①荷さばき地の名称番号が記載されていない。②使用場所について大雑把な略図しか添付されておらず、面積算出の根拠も定かではない。また、③現地にその表示がないことから、使用許可が出された範囲が全く分からない状態となっている。
さらに、本部町は従来、条例の定めに反して岸壁使用許可申請書を提出させないまま、「口頭で許可」したとしてきたことを批判されたことから、本年11月20日に申請書を提出させ、12月分の岸壁使用許可を出した。しかし、その申請書には係留場所が記載されておらず、どの岸壁の使用が許可されたのかも不明なままである。
このように本部町の港湾使用許可には多くの不備がある。県は本部町に対して、これらの不備を是正しないまま新たな港湾使用許可を出さないよう指導しなければならない。
<港湾課長の回答>
「これらについては、本部町で決めること。いくつかの点については本部町と調整を行っている。」
4.実際の港湾使用実態と許可内容との齟齬
本部港(塩川地区)からは、本年12月15日、20日、21日と辺野古への石材海上搬送作業が行われた。その際には、許可が出されていない荷さばき地(F-4-11)の一部(約2,200㎡)がバリケードで仕切られ、立入禁止にされていた。
また、当日は、荷さばき地使用許可が出されていない箇所の前の岸壁が使用し、さらに許可された荷さばき地は一切、使用していない。
こうした実際の港湾使用実態の問題についても、県は本部町を指導すべきである。
<港湾課長の回答>
「荷さばき地として許可したところは未だ、使っていないということだった。使用許可をとっていないところをバリケードで仕切ったのは、安全対策として設置したということだった。詳細については、更に本部町に確認する。」
5.港湾施設使用料の前納について
沖縄県港湾管理条例第8条は、「(港湾施設の)使用料は前納しなければならない」と定めている。ところが本部町は、「(使用料については)利用者の利便性や事務の繁雑さ等の面から後納の取扱いとしている(県条例第8条2項のただし書きを適用し、後納の取扱いをしている)」と回答した(本年12月8日、本部町島ぐるみ会議への町長回答)。
「知事が特に定めた場合はこの限りではない」という県条例第8条2項のただし書きを適用するには、どのような場合に適用するのかという文書の定めが必要と思われるがいかがか?
<港湾課長の回答>
「ただし書きの『知事が特に定めた場合はこの限りではない』を適用するためには、どのような場合なのかについて文書で定めておく必要がある。」
6.港湾台帳の不備について
私たちは、現在、県北部土木事務所、本部町に置かれている本部港(塩川地区)の港湾台帳(図面、調書)には多くの不備があることを指摘してきた。県は、12月25日付で港湾台帳を是正したというが、本部港(塩川地区)の杜撰な使用実態は、こうした港湾台帳の不備から来た面もある。
この点について、県の釈明を求める。
<港湾課長の回答>
「台帳の不備については、指摘を受け、訂正した。」
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以下は、当日提出した要請書