5月11日(水)朝、辺野古で海上行動のミーティングに参加したが、雨のため海上行動は中止となった。防衛局は9日から10日にかけて、海上ボーリング調査のためのスパッド台船を撤去したというのでその現場を確認したかったのだが。
この間、辺野古新基地建設事業に関して防衛局と契約した業者の違法行為が連続して発覚した。今朝の沖縄タイムスは海上警備業務を受注した業者が労働基準法違反で労働基準監督署から指導を受けていると大きく報道した。
(沖縄タイムスが1面トップで大きく報道した。2016.5.11)
辺野古新基地建設事業に伴う海上警備業務・陸上警備業務は、以前は大成建設が受注した「シュワブ(H26)仮設工事」の中で行われていた。しかし防衛局は、昨年7月、それぞれ独立して一般競争入札にかけ、海上警備業務は㈱ライジングサンセキュリティサービスが受注した。7ケ月の工期で契約額は23.9億円、1日当りで計算するとなんと1140万円という高額の契約である。昨年10月、ゲート前集会で私がこの事実を話し、翌日の新聞でも大きく報道されるなど、当時は、随分と問題となった。
ところが、沖縄タイムスの取材で、同社の100%子会社であるマリンセキュリティーが、海上警備業務に従事している職員らに月最大200時間以上も残業代を支払っておらず、沖縄労働基準監督署が改善・是正するよう指導に乗り出しているという。
(海上警備業務の従業員ら)
海上警備業務の契約書に添付されている「特記仕様書」には、もちろん、「労働基準法等の関係法令を遵守すること」と明記されている。特に、本事業のような政府の公共事業で労基法違反行為が確認されたことは、看過できるものではない。防衛局も、発注者としての責任が問われるものである。
また、問題は労基法違反に留まるものではない。公文書公開請求で入手した海上警備業務の積算資料では、契約額は㈱ライジングサンセキュリティサービスが出した見積書をもとに決められている。同社は当然、一定時間の残業代を支払うとして見積書を提出しているはずである。それが、実際には残業代を支払っていないのであるから、防衛局はその分の金額の返済を求めなければならないこととなる。もし、同社の見積書に残業代が計上されていなかったのなら、その見積書を査定した防衛局の責任が問われる。
さらに、辺野古新基地建設事業の受注業者の違法行為がもう1件、発覚した。
埋立本体の「シュワブ(H26)ケーソン新設工事(2工区)」、「シュワブ(H27)傾斜堤護岸新設工事(3工区)」を受注している東亜建設工業が(共に共同企業体)、羽田空港の地盤改良工事でデーターを改ざんし、国土交通省に虚偽報告していたという。空港の安全性にかかわるきわめて悪質な違法行為である。
(2016.5.7 琉球新報)
国土交通省は同社を営業停止処分(7日間)や指名停止処分とするようだが(2016.5.11 東京新聞)、防衛局は、このようなきわめて悪質な違法行為をした会社との契約を解除すべきである。
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(東京新聞)
羽田滑走路耐震改ざん 東亜建設工業 社長辞意 2016年5月7日
羽田空港C滑走路の耐震性強化のための地盤改良工事で、施工した東亜建設工業(東京)は六日、データを改ざんし、仕様書通りに工事をしたかのように装って、発注元の国土交通省関東地方整備局(横浜市)に虚偽の報告をしていたと発表した。整備局は「通常の利用は構造上問題がない」として滑走路の使用を制限しないが、地盤が改良されていないため、大地震の際には液状化の恐れがあるとしている。
同社は工事をやり直す方針を明らかにし、整備局と方法などを協議する。
工事は関東大震災級の地震が起きた場合に滑走路の液状化を防ぐため、地中に管を通して土を固める薬液を注入する計画で、昨年五月から今年三月に実施。しかし、管を通すため機械で穴を開ける際、地中のコンクリート片や古タイヤなどの障害物に当たって予定の位置に達せず、薬液を計画値の5・4%しか注入できなかった。このため、データを改ざんして全て入れたように装って整備局に報告していた。
松尾正臣(まさおみ)社長は横浜市内で会見し、「羽田空港利用者や関係者にご迷惑とご心配をかけ、心よりおわびします」と謝罪。問題の責任を取り、当初予定していた六月の株主総会の交代時期より前に社長を辞任し、代表権のない相談役に退く意向を示した。
同社によると、データ改ざんにはいずれも現在は役員の前東京支店長と現支店長が関与。同社は、過去に同じ工法で、松山空港と福岡空港のほか、羽田空港の誘導路と千葉港の工事を実施しており、今後、弁護士を入れた調査委員会を設置し、データ改ざんの有無など工事に問題がなかったか調査する。
C滑走路の地盤改良工事は東亜建設工業など三社でつくる共同企業体(JV)が三十二億九千万円で受注。整備局は四月下旬、JVから施工不良の疑いがあると申告を受けていた。
<東亜建設工業> 海上土木を主力とし、東京証券取引所第1部に上場する総合建設会社。設立は1920年。東京都新宿区に本社を置き、国内に支店を展開している。横浜ベイブリッジや中部空港、関西空港などの工事を手掛けた実績がある。シンガポール、インドネシアなどにも拠点を持つ。2015年3月期連結決算の売上高は1988億円、純利益は20億円。