うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地は、今年度、地対艦ミサイルが配備され、琉球諸島各地のミサイル部隊を指揮統制する司令部となる。
勝連分屯地の南東部一帯は保安林に指定されているが、違法に形質変更されて火薬庫・ミサイル配備広場・道路等の基地施設になってしまっている。「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」は、本年２月、この事実を確認し、沖縄県、沖縄防衛局への申入れ・交渉を続けてきた（その詳細は、右側カテゴリー欄の「南西諸島軍事力強化問題」を参照されたい）。
沖縄選出野党国会議員からなる「うりずんの会」が、勝連分屯地の保安林問題を確認するため、現地への立入調査を申し入れていたが、今日（８月１８日・金）、４名の国会議員、地元県会議員らと「市民の会」の１０名が基地内に入ることが認められた。私も初めて自衛隊基地の中に入った。
基地内の２ヵ所で、沖縄防衛局長がパネルを使って説明した。
（以下、基地内では写真撮影を禁止されたため内部の写真はない。）
（基地内の立入調査の後、ゲート前での説明会）
（陸上自衛隊勝連分屯地の正門。右側の工事中の建物が、地対艦ミサイル配備部隊の隊舎。琉球弧のミサイル部隊を指揮統制する司令部となる。）
下の航空写真が、勝連分屯地の東南部である。赤線部分が保安林に指定されている個所。一番右下の火薬庫の大部分、また、その左側の広場の南半分は保安林に指定されているが、既に森林法に違反して形質変更されていることが分かる。
防衛局長は、２０１２年当時に施工した４件の工事箇所が保安林にかかっていたことを認めた。また、「工事に着手する前に、保安林内だということを認識してたか？」という質問に対して、「４件の工事にかかった時は森林は無かった。今回の県の指摘で、初めて保安林ということを認識した」と答えた。
すぐに防衛局長に反論した。
「保安林に指定されると土地登記簿の地目が『保安林』になる。防衛局は、土地所有者と土地賃貸借契約を交わしており、登記簿も確認しているはずだ。保安林と認識していなかったなど通用しない。」
この点については、防衛局長は知らなかったようだが、担当者が「登記簿の地目は保安林とされています」と答えた、
さらに防衛局長は、「この一帯は米軍から返還された時点で開発されていた」、「５０年以上、森林のない状態が続いているが、強風による被害は出ていない」等の弁明を繰り返した。
我々は、「最初に保安林を伐採したのが米軍であったとしても、返還された時点で地位協定により、日本政府は森林に復旧する責任があった。また、返還後も、陸上自衛隊が保安林内での形質変更をしている。森林法は、保安林の伐採だけではなく、形質変更も禁止しているのだから、『森林が無かった』という弁明は通用しない」と追及した。
また、先日の台風で、隣接する米軍レーダーのパラボラ部が崩壊したが（下の新聞記事参照）、その米軍レーダーはこの広場のすぐ横で、南側からの居風の通り道となったはずである。さらに、２０１３年には、分屯地の南側の保安林に指定されていた部分が崩落し、防衛局は法面整備工事を行っている。「風の被害はない」という防衛局長の弁明は全く通用しない。
最後に我々は、「保安林指定された箇所については、速やかに森林に原状復旧すること。その箇所に地対艦ミサイルを配備することなど論外。火薬庫についても改修工事をするのではなく、撤去すべきだ」と強く求めた。
防衛局長は、「今後の対応については、沖縄県とも協議していく」と答えた。県の毅然とした対応を期待したい。
（勝連分屯地の東南部。赤線部分が保安林に指定されている個所で、ほとんどが基地施設に形質変更されてしまっていることが分かる。）
（南東部の広場。ここには地対空ミサイルが配備されている。地対艦ミサイルもここに配備される。この広場の南半分は保安林に指定されており、ミサイルの配備など論外だ。（この写真はKさん提供。今日の撮影ではありません））
（１９７７年当時の航空写真。南東部は「高射特科（ホーク）部隊施設」であったが、陸上自衛隊は２０１２年にこの部分を形質変更し、コンクリート舗装の広場としてしまった。これも、森林法違反行為である。）
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