糸満市「魂魄の塔」横で、遺骨混りの土砂が採掘されるということで問題となった熊野鉱山は、知事が土砂搬出道路の農地一時転用申請を許可すればいよいよ事業が始まるという段階に入っている。
所管の県農林水産部農政経済課から連絡があり、今日(8月21日・月)、具志堅隆松さん、ガマフヤー支援者の会、糸満市議、八重瀬町議ら7名で説明を受けた。
7月10日にも、県は我々を呼び、「許可の方針」だと伝えた。しかし、事業に関連する文化財保護法、赤土等流出防止条例、鉱業法等の手続き等について十分な説明できず、繰り延べとなっていたのだ。
今日、県は、「近日中に農地一時転用申請を許可する」と言明した。我々は、「関係法令の手続きが終わっていない。許可を出すのは納得できない」と抗議し、交渉は3時間近くに及んだ。
1.シーガーアブの崩落防止問題
鉱山に隣接して貴重な戦争遺跡・シーガーアブがある。鉱山の土砂搬出道路が2つのシーガーアブの間を通り、土砂を満載したダンプトラックが行き来するため、アブの地下の洞穴部分が崩落するおそれがある。
我々の指摘により、県教委は、シーガーアブを文化財保護法93条に基づく埋蔵文化財包蔵地と認め、業者に同条に基づく開発届を提出させ、洞穴内部の測量を指示した。
測量結果の成果品は未だ提出されていない。測量を指示したのは、洞穴上部の土被り厚や土質等によっては、洞穴部分が崩落するおそれがあるからのはずである。それにもかかわらず、何故、測量結果が提出されていないにもかかわらず、許可を出すのか?
また、担当者は、業者からの「測量結果の速報」では「土被り厚は8m~4m」と説明した。シーガーアブを上から見ても、土被り厚が8mにもなるはずはなく、測量の精度に疑問が残る。
9月上旬に測量結果の成果品が県教委に提出されるというから、少なくともその内容を確認するまで待つべきであろう。
2.赤土等流出防止条例の手続きが行われていない
今回、農地一時転用申請が出されている、土砂搬出道路、「石・残土仮置場、駐車場、洗車場」等の造成にあたっては、赤土等流出防止条例に基づく事業行為届出書の提出が必要である。しかし、これらの手続きは未だ行われていない。
条例では、事業開始の45日前までに事業行為届出書を提出する必要がある。県は、「業者は必ず提出すると言っている」として許可をしようとしているが、届出書の提出を確認してから農地一時転用申請を許可しても十分な時間があるのに、何故、許可を急ぐのか、納得できない。
今、農地一時転用申請を許可しても、業者は、赤土等流出防止条例を提出し、それが受理されてから45日経過後からしか事業に着手できない。8月中に届出をしても、事業着手は10月中旬となる。