私たちは、安部元首相の国葬に沖縄県知事・県議会議長が参列することに反対して本年9月13日、地方自治法に基づき、沖縄県監査委員に参列費用の差し止めを求める住民監査請求を行った。
デニー知事は、参列しないと表明したが、赤嶺県議会議長は参列してしまった。そのため、議長と随行職員への旅費・宿泊料(計228,510円)の公金支出の是非を問う監査請求となった。
その監査結果が今日(10月17日・月)、送付されてきた。議長の公金支出の差し止めについては、「請求を棄却する」というものであった。
監査結果のうち、監査委員の判断部分を末尾に添付する。
予想された結果であったが、どうしても納得できない部分がある。
私たちは、9月30日の口頭陳述の場や、10月5日の意見書で、赤嶺議長が県議会の過半の議員が反対していたにもかかわらず、国葬に参列したことの問題点を指摘した。「議長は議会を代表する」(地方自治法)とされているのだが、過半の議員が反対している現状では、議長の参列は「議会を代表する」ものとはいえない。ところが今回の監査結果では、この点について全く触れていないのだ。
そして次のように判断している。
「本件出席は、普通地方公共団体の役割を果たすため国との信頼関係の維持増進を図ることを目的とすると客観的にみることができ、また、国から案内を受け、議長が出席して故人に弔意を示すことは、社会通念上儀礼として必要な行為に当たる」
監査委員は、このように議長の出席の目的を評価したのだが、これでは、出席しなかったデニー知事の判断は、国との信頼関係を損ね、社会通念上もおかしいものと批判したこととなる。
同様の住民監査請求は全国で取り組まれた。今回の沖縄の監査結果も、各地の監査結果をほぼ踏襲したものだが、知事が参列しない中での議長の参列、県議会の過半の議員が反対を表明したという沖縄固有の事情を全く無視した不当なものである。
<付記>
監査委員が住民監査請求を認めた事例はほとんどない。しかし、沖縄県では2016年当時、高江のヘリパッド工事強行のために全国から多くの機動隊が派遣された問題に対して、県の公金支出の禁止・損害賠償を求めた住民監査請求で、1人の監査委員が請求人の訴えを全面的に認め、監査委員としての合議が整わなかった事例がある。
*******************************
(以下、監査結果本文)