(ほぼ完成した郊外の公設市場)
今回のサマール行では、カルバヨグ市の変貌ぶりに驚いた。
街の少し郊外には、公設市場とバスターミナルの工事がほぼ完了していた。この6月にはオープンするという。
現在、街の中心部にある公設市場は、多くの人々があふれた活気のあるところで、特に、魚や肉売り場等の雑踏は、「これぞアジアの市場だ!」という感じがする楽しいところだ。私は、日本からの客が来たときなど、いつもここに真っ先に案内していたが、皆、大喜びしてくれる。
それが、郊外に移転してしまう。今の公設市場からは2Km以上離れたところで、まだ、周辺には何もないところだ。街の人々にとって、不便このうえなく、交通費も馬鹿にならない。今の公設市場に店を出している何人かのグループが移設に反対して裁判を起こしているようだが、それ以上の反対運動はないという。
移転の理由は定かではないが、現在の公設市場が移転した跡地には、全国チェーンの大手ショッピングセンター・ガイサノが来ることが決まっているという。また、マニラの大規模ショッピングモール・ロビンソンも、市の郊外に進出してくるという。
カルバヨグ市では、今もスラムに住む貧しい人たちが多い。たとえば、私の友人・レイの一家は、マングローブの沼地に杭をうち、その上に作った小屋に住んでいるが、経済的な問題のため、3人の子どもたちは、とうとう高校に行けなくなってしまっている。
こんな貧しい人たちにとって、きらびやかな大手スーパーの進出は、自らの貧しさを再確認させ、焦燥感をかきたてるものでしかないだろう。
私がカルバヨグ市に初めて来たのは、1994年のことだった。それからもう18年、街はすっかり変わろうとしている。
(新しいバスターミナル)