今日もきのこ 観察日記

野山を散策したときに見かけたきのこ、草花、虫などを書きとめておきたい。いろいろ教えてください。

信州遠征 その3 最後の日 2008.10.06.

2008-10-12 06:43:54 | Weblog
 信州遠征最後の日、夜中から雨がひどかった。朝起きたとき、雨が霧雨になっていて、これは天気は良くなるかと思ったのだが・・・・。


 朝飯は車の中で食べるように、宿のご主人が作ってくれていた。なんと、マツタケご飯のでかいおにぎり!きのう、失礼にも残したマツタケは醤油漬けになっているではないか・・・。しかし、正直、二日酔いだぁ・・・。


 中川村の目的の場所、きのう来ようと思って来れなかったところに到着。途中、雨が止み明るくなってきたのだが、山の上は、やはり雨だった・・・。


 ホンシメジとオショウニンの実績のある場所を見て歩く。なかなか見つからなかったけれど、松の下で発見。これは大物。





   
クロカワ Boletopsis leucomelaena (Pers.) Fayod


クロカワの出る場所には共通点があるようだ。何となく分ったけど・・・。


 カンバ類のない林にヤマイグチが結構出ている。コナラ、松、ヤマザクラの林。ヤマイグチなんだろうか?



ヤマイグチ? Leccinum scabrum (Bull.) S. F. Gray


山を歩いてまわり、もとの尾根に戻った。赤松の切り株の根元に小さなホンシメジの株を見つけた。



ホンシメジ Lyophyllum shimeji (Kawamu.) Hongo

所謂、クロフだ。もっと大きい株だったら良いのに・・・・。

その近くの切り株に綺麗なきのこが出ていた。



Mycena sp.


 その後、あのマツタケの籠を腰にぶら下げた止め山の主人にあった場所に向かった。

 宿のご主人にお礼を言って関西に向けて出発したのだが、リンゴを沢山頂いた。新しい品種だということだが、名前は忘れたらしい。

 クロカワは焼いて食べた。やはり、ほろ苦さがいい。ナガエノスギタケもいい味だ。マツタケより美味い。






 ああ、疲れた・・・。でも楽しかった。オモロー!
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信州遠征 その2 2008.10.05-06.

2008-10-11 07:49:23 | Weblog
移動先は天竜川の対岸、中川村。明日、中川の国有林を歩く予定にしていたが、その下見でもしようかということになった。


 下見と言っても、何処なのか分らない。どうも道を間違えてしまったようだ。何処まで進んでも道の両脇にはテープが張られ、マラソンのコースのようだ。どこまでも続く、止め山。


 止め山に導かれるように、とあるキャンプ場に着き、周囲を歩いた。



Mycena sp.

チシオタケに近いと思うのだが、あるいはそのもの?傘径1cm程。



 その山は、自宅周辺にあるような赤松混じりのコナラ林。アミタケも沢山出始めていた。そして、・・・





   
ショウゲンジ Rozites caperatus (Pers.) P. Karst.


やはり、長野の方が若干、早いのだろう。自宅周辺ではまだ、ショウゲンジはでていない。最初のものは柄の太さが3cmもある大物だ。


 赤松の生えた、明るく、かなり急な斜面の木の根元にクロカワは出ていた。



クロカワ Boletopsis leucomelaena (Pers.) Fayod

念願のクロカワだ。このあたりではオショウニンと呼ぶのだとか。その由来は分らない。これ以外にも幾つかあったが、既に腐りかけだった。


 この斜面には他にもいろいろ出ていたのだが、雨の降る夕方、写真はあまり撮れなかった。



スミゾメシメジ Lyophyllum semitale (Fr.) Kühner ex Kalamees




ホテイシメジ Clitocybe clavipes (Pers.) P. Kumm.



 松林を過ぎるとカラマツが混じった雑木になった。そこには、やはり出始めのハナイグチと・・・・。






ハナイグチ Suillus grevillei (Klotz.) Sing.






   
カラマツベニハナイグチ Boletinus paluster (Peck) Peck

と、思うのだが、ちっとも紅色をしていない・・・。


 途中、道に迷い車に戻ったのは4時半頃だった。その後のハプニングは触れることはやめよう・・・。


 宿に辿り着いたのは、もうすっかり暗くなってからだった。

 ひさかた温泉 天望閣 マツタケずくし・・・


 荷物を運び込み、まずは湯で温まったあとで食事となった。


   


 とにかく、マツタケだらけ。





酔いも廻って写真もピンボケ。マツタケ以外にも宿のご主人の採ってきた立派はクロカワ、コウタケ、オオムラサキアンズタケ、ハタケシメジなどが出てきて、とても食べ切れなかった。けしからぬことに、マツタケを残した・・・・。


 さて、明日はご主人が山を案内してくれるとのこと。早く寝よう。
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信州遠征 その1 2008.10.05-06.

2008-10-10 07:12:14 | Weblog
 朝から雨が降り続いている。きのう、自宅を朝4時に出てから、雨雲と一緒に二日行動していたようものだ。信州を後にする時間が迫っているというのに、山では相変わらず、雨が降り続いている。


 昼に出発して帰宅するとして、この山が最後のポイントになるのだが、あてにしていたコウタケは姿なく、マツタケのポイントは前日の日曜日に先行者が荒らした跡だけが残っていた。仕方なく戻りながら見ていくと、立派なナガエノスギタケが3本まとめて放置されていた。先行者に抜かれそのままにされたようだった。あまりきのこを知らない連中だ。これを焼いて食べたらなかなかに珍味なのに。


 そして、続く斜面には何と言うことか、シモコシが1本だけ出ていた。今年の複雑な季節の進行を物語っているかのようだ。



シモコシ Tricholoma equestre (L.) P. Kumm.


 恐らく、8月末の冷え込みで引き金が引かれてしまったものなのだろうが、その後の暖かい日のせいで、きのこの出は停まってしまっている。


 車に戻る尾根道は右側が急に落ち込み、車道に続いていて、ナイロンの紐が張られて止め山になっている・・・・。


 その時、その紫色のナイロンの紐の向こうから人が出てきた。「先週の金曜日に誰かが入って、松の木の根元を片っ端から掘っていった。そんなところにマツタケは出るわけないのに・・・」。そう言いながら、腰にはマツタケが沢山はいった籠を付けていた。



マツタケ Tricholoma matsutake (S. Ito & Imai) Sing.


 狭い急斜面の松林でも沢山でるものだ。やはり、出るところには出る!ナイロンの紐の向こうは別世界だ。もちろん、我々が別世界に侵入したとしても、容易に蕾のマツタケの在処を見つけ出すことは難しいことなのだ・・・。




 今回の信州への遠征は、友人がクロカワがどうしても採りたい僕を故郷の山に誘ってくれたお陰で、実現したのだった。10月5日、朝、自宅を出てから西明石の友人宅により、二人で長野を目指した。天気予報は午後から天気が崩れると予報していたが、雨は阪神高速を走り始めた時から降り出していた・・・・。


 養老SAで休憩を取り、南信を目指した。昼神温泉に着いたのは十時過ぎだった。道の脇には地採りのきのこが売っている。


   
左:クロカワ Boletopsis leucomelaena (Pers.) Fayod
右:スギタケ? Pholiota squarrosa (Batsch) P. Kumm.

クロカワはこの値段であっても、魅力的だが、スギタケはどうだろう・・・・。


 初日は案内も無く、さて、どこへ行こうかと考えたが、友人M氏の若かりし頃、通った山を見ることにした。温泉から西の山に登っていく。登ってゆくにつれ、カラマツが増えて行く。峠を目指して進むが、途中、白っぽいきのこが沢山出ていたところで、様子を見に歩いた。





   
ウスフジフウセンタケ Cortinarius alboviolaceus (Pers. ) Fr.


 周囲には分らないフウセンタケが幾種類か出ていた。そして、古いシロヌメリイグチ・・・。ハナイグチは出ていないかと探し回ってみると、漸く小さな幼菌を発見した。



ハナイグチ Suillus grevillei (Klotz.) Sing.


 ハナイグチはこれからがシーズンのようだ。その場所から峠まで一気に登った。高度、1100メートル辺り、車窓からオレンジ色の綺麗なきのこを目撃した所で車を降り、散策する。



アカヤマタケ Hygrocybe conica var. conica (Schaeff.) P. Kumm.


 ありふれたきのこでも、ここまで来ると色が鮮やかで綺麗に思えるではないか・・・。植物もこころなしか綺麗に思える。



センブリ


   
ノギク達・・・



 お気に入りのアケボノソウは、まだ、蕾だった。遅い・・・・。



アケボノソウ


 道沿いに白樺が生えている辺りにヤマイグチらしききのこが出ていた。



ヤマイグチ?


 そして、初めて出会うカラハツタケ・・・。





   
カラハツタケ Lactarius torminosus (Schaeff.) Gray


 カラハツタケの沢山出ていたところから少し下った道の反対側の斜面に気味の悪いきのこが幾つも出ていた。どれも、傘が開かぬうちに柄が腐っていくようだ。





   
マムシフウセンタケ?? Cortinarius trivialis J. E. Lange


 ヌメリ具合はとても美味そうだが・・・。


 そして、出会ったのは昼神の店で見かけたスギタケ。道沿いの地面から沢山出ている。









スギタケ Pholiota squarrosa (Batsch) P. Kumm.


 食毒注意とある。が、いかにも美味そうだ。でも、今夜はマツタケ会席・・・。写真だけにしておいた。


 峠の、去年、ホンシメジにであったというポイント周辺を歩いてみたが、季節は熟せず、雨もひどくなってきたので場所を大きく変えることにした。





天気は悪いが、やはりここまで来ると山のスケールが違う。降られて、尚、爽快!!

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予告 長野遠征

2008-10-06 22:42:24 | Weblog
 日曜日から月曜日まで、長野に遠征した。全部で約850kmの旅、そのほとんどを雨に降られた。やっと自宅に辿り着いた。楽しかったけれど、やっぱり疲れた。


 雨でろくに写真も撮れなかったが・・・いずれ報告するとして、今晩は、その予告。



雨の風景




出るところには出る!ドーダ!
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もうちょっとの辛抱 サクラシメジだけ 2008.10.04.

2008-10-05 03:13:38 | Weblog
 この所、週末は遠征が続いていて、地元の様子が判らない。ひょっとして、この一週間で随分出てしまったんじゃないか、などと心配していた。


 明日から、また遠征なので、今日は軽く自宅周辺を見て廻った。最初のポイントは夏によくイグチに出会えた場所、この場所の秋はサクラシメジから始まるのが常だ。


 車を降り、坂を登ってゆく。きのこの影は薄い。ヒメワカフサタケばかりが目に付く。夏にオオクロニガイグチを見つけたポイントを見ると、また一つ、幼菌が出ていた。もう、標本はH科学館にも納めたし、H氏ももう要らないだろう。写真だけを写しておいた。



オオクロニガイグチ Porphyrellus alboater (Schw.) Gilb.


 いつもサクラシメジが出ている辺りを見て廻る。あった、あった。小さな幼菌が出始めている。



サクラシメジ Hygrophorus russula (Schaeff. : Fr.) Quél.



 これでは採る気にはなれない。といって、もう、今週は来れないから、1週間後では大きくなりすぎだ。今年は何かとタイミングはズレ気味だ。


 もう少し、探し廻る。






サクラシメジ Hygrophorus russula (Schaeff. : Fr.) Quél.


 沢山出ていた。今年の発生は多そうだ。この山は去年、とうとうサクラシメジがほとんど発生しなかったのだ。

 幼菌がほとんどなので、大き目のものを10本程度だけ籠に入れた。1週間後はどうなっていることやら・・・。無念!



フウセンタケの仲間 Cortinarius sp.



フウセンタケの仲間 Cortinarius sp.

これはムラサキアブラシメジモドキとして良いのかもしれないが、全くヌメリを感じないので、??という気はする。



 これは、一見、ホンシメジなのだが、柄がフニャフニャで違うのだろう。シャカシメジでもないし・・・。オシロイシメジ?それも違いそう・・・。








幼菌も沢山出ていた。


 この時期、こいつも沢山発生してくる。



クサウラベニタケ Entoloma rhodopolium (Fr.) P. Kumm



 今年、こいつが多いんじゃないかと思うんだけど・・・・。



カキシメジ Tricholoma ustale (Fr.) P. Kumm.




良く見ると、沢山出ている。匂いを嗅ぐと独特の嫌な臭いがする。



カキシメジ Tricholoma ustale (Fr.) P. Kumm.





 山を降り、川沿いの道を歩いていると珍しくイグチの姿が目に映った。




 上品な薄紅色、ささくれた様な柄、根元の黄色、これはアケボノアワタケの特徴だ。






アケボノアワタケ Tylopilus chromapes (Frost) A. H. Smith & Thiers


 ここで、場所替えをした。20分ほど車で走り、いつもクリフウセンタケ、ショウゲンジなどを採る場所をチェックした。こちらは残念ながら何も出ていなかった。あったのは・・・。



クサウラベニタケ Entoloma rhodopolium (Fr.) P. Kumm


 近くに住む友人宅に顔を出した。いつも暖かく迎えてくれる。今年はダリアの花が綺麗に咲いてくれたととても喜んでいた。


 一枚写真を写させて貰った。



ダリア


 結局、秋のきのこで出ていたものはサクラシメジのみ。でも秒読みといっていい段階じゃないのかな?? 

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カメムシタケとおまけ 2008.09.28. (3)

2008-10-04 16:37:05 | Weblog
京都芦生で出会ったきのこ、花たちは大方紹介してしまったけれど、一つ大事なものを忘れていた。それが、これ。ピンボケで分らないか・・・。









   
カメムシタケ Cordyceps nutans Pat.

昆虫図鑑で調べたところ、虫体はオオツノカメムシのようだ。


 残るきのこはこれ・・・。絵としては良いのだが、きのこの名前が判らない。



Mycena sp. 「廃線のきのこ」


 芦生の原生林を歩いていてもこれが沢山咲いていた。花が終わると名前の通り、ボロボロになり、綿毛で種をそこら中に飛ばす。ベニバナボロギク、帰化植物である。原生林でベニバナボロギクを見るのは悲しい。


 良く見ると、かわいい花なのだが・・・。



ベニバナボロギク

 
 かわった色のヒガンバナが咲きかけていた。





 これで、芦生の報告はおしまい。

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京都 芦生の森 野草を見に行く・・・ 2008.09.28. (2)

2008-10-03 06:49:11 | Weblog




 午前中のきのこの観察を終えて、宿に戻り、弁当を食べた。なかなか、仲間が揃わないので、ブラブラとしていると冒頭の花が目に付いた。ツキミソウとかアカバナとかの仲間と思うのだが知らない花だ。


 これから、午前中のきのこの同定会があるのだろうが、花の写真を撮りに行くことにした。


 この時期、山野はノギクの仲間でいっぱいだ。






   









何種類あるのか分らない・・・・。


   
ノブキ




ガクウツギ




ヒヨドリバナ








アキチョウジ









ミゾソバ


 もっと、奥まで見に行きたいところだが、出発の時間がせまっている。また、来年。
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京都 芦生の森 翌朝は・・・・ 2008.09.28.

2008-10-02 07:21:30 | Weblog



 昨夜は晩飯の後、仲間と飲んだ。日が変わる頃まで飲んで騒いで、年甲斐も無く迷惑を掛けてしまった・・・。いい加減にオトナになれよ・・・反省・・・。でも、tanoshii......


 さて、朝飯を食べてから、芦生のトロッコ列車の線路跡を進み、きのこを観察する。皆はサッサッと早く歩いて行ってしまった。僕は昨夜の飲みすぎと、そもそも目標もなく早く歩くことが出来ない・・・。ブラブラと、周囲を見ながら歩いていく。あっという間に遅れて、とり残されしまい、あとから歩いてゆく。そんな時に、来し方を写したのが冒頭の写真だ。


 澄んだ川の向こうに見える白い家の辺りが宿泊地。軌道の周囲には分らない花、見覚えのある花が咲いている。




知らない花




クロバナヒキオコシ


 ゆっくり進んでゆくと、杉の倒木の隙間にオレンジ色のものが見えた。鮮やかなオレンジ色。ゴミかと思ったが、きのこだった。きのことは思えない赤だ。



アカツムタケ Pholiota astragalina (Fr.) Sing.


 次もまた、木からでたきのこ・・・。



チシオタケ? Mycena haematopus (Pers.) P. Kumm.

チシオタケか?、少し古いせいか、血は滲み出してはこない・・・・。


 見慣れないきのこが出ていた。傘のウラを覗き込んで、驚いた。柄がオレンジ色だ。未だ見たことがない、フタイロシメジだ!!



フタイロシメジ(老菌) Tricholoma aurantiipes Hongo


 そして、サクラタケ似の???



サクラタケ似の不明菌


 ヒダがサクラタケと比較して、さらに密だ。印象はモリノカレバタケ近縁??


 昨日に引き続いてホオベニタケ。これは何度も見かけた。クチベニタケは全然見かけなかった。



ホオベニタケ Calostoma sp.



ホコリタケ Lycoperdon perlatum Pers.


 トロッコ道の脇の斜面のくぼ地にヒキガエルが立ち往生していた・・・。



ヒキガエル


 そして、コチャダイゴケだろうか・・・。



コチャダイゴケ?? Nidula niveotomentosa (Henn.) Lloyd


 暫らく進むとがけ崩れで道が寸断している。

 川に渡されたつり橋の上から景色を撮る・・・・・。


 上流・・・。
 




 下流・・・。



川の風景



   
オオザラミノシメジ Melanoleuca grammopodia (Bull.) Murrill


 見上げると大きな大きなトチの木。その下で休んでいたようだ。





 もう、きのこは十分楽しんだ。戻って、昼飯を食べよう。

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一年ぶりの芦生 再会 マイタケ 2008.09.27.

2008-10-01 07:13:38 | Weblog

センボンイチメガサ Kuehneromyces mutabilis (Schaeff.) Singer & A.H. Sm.



 一年ぶりの芦生の森である。今年も所属する会の秋の合宿はここになった。去年は異常気象の年で秋のきのこが例年より一ヶ月くらい遅れて出てきた。そして、意外なところでマイタケに遭遇したし、立派なカエンタケや色鮮やかなタマゴタケに結構出会えた。


 その峠の山に今年も来たのだ。今年は一体どんなきのこに出会えるのだろうと皆、胸をワクワクさせていた。丁度、到着が昼時で、さあ、弁当を食べようというところなのだが、その前に去年、マイタケの出ていたところを見に行くことにした。


 世の中、そんなに甘くはない。去年と今年は状況が全然違う。今日は昼だというのに肌寒いくらいなのだ。そう、去年マイタケに覆われていた倒木の塊からは何も出ていなかった。そして、立派で毒々しいカエンタケが出ていた斜面はというと、よーく探すと小さなカエンタケが顔を覗かせていただけだった。



カエンタケ Podostroma cornu-damae (Pat.) Hongo & Izawa


 期待に膨らんでいた胸は多少、萎んでしまったが、漸く皆、弁当を食べる気にはなった。


 食後、一時頃から各自できのこを求めて散策することになった。集合は3時半。ミズナラを主体とした広葉樹と杉林が入り混じった山の中腹に続く細い道を進む。道の薄くらい斜面にホオベニタケが1個だけ張り付いていた。



ホオベニタケ Calostoma sp.


 以前はクチベニタケにしか出会ったことがなく、出会いたいものだと思っていたものだが、最近、不思議とこれにしか出会っていない・・・・。


 今年の秋は早く、フウセンタケの類が結構でているが、相変わらず分らない・・。


   
Cortinarius sp.


 随分小さいが、ミヤマタマゴタケが出ていた。2重で大きなツボが特徴だ。



ミヤマタマゴタケ Amanita imazekii T. Oda, C. Tanaka & Tsuda



 道をどんどん進んでゆく。きのこは少ない・・・。



ツキヨタケ(幼菌) Omphalotus guepiniformis (Berk.) Neda


小さな個体でまだ、発光は殆んどないだろう・・・。明瞭はツバが見えている。


次はサンコタケ



サンコタケ Pseudocolus fusiformis (E. Fisch.) Lloyd


 この山はホオベニシロアシイグチが多い。それ以外のイグチに出会うのは難しいくらいだ。



ホオベニシロアシイグチ Tylopilus valens (Corner) Hongo & Nagasawa



 古い倒木で苔に覆われた部分に小さなきのこがパラパラと出ていた。



シラウオタケ Multiclavula mucida (Pers.) R.H. Petersen



 もう、随分歩いてきた。一時間くらいは着ているだろう。前方から先行していたメンバーが戻ってくる。この先、何も無いそうだ・・・。


 ところで、今日の相棒はIさん。年は一回り以上、上なのだが、結構、気が合って一緒に歩くことが多い。しかし、困ったことに一緒に歩くと、大抵、道に迷うのだ。今日も冗談で迷うんじゃないかなんて話していた。


 さて、何もないと言われても一緒に戻るのはつまらない。目を斜面の上に向けると尾根らしきものが見えている。そして、おおきな広葉樹が何本か見えていた。尾根に上って、尾根伝いに戻ろうということにした。


 尾根は歩きやすい。朽ちた木から小さなきのこが出ていた。




ヒメスギタケ? Ossicaulis lignatilis (Pers.) Redhead & Ginns



   
左:クヌギタケ属
右:テングタケダマシ Amanita sychnopyramis Corner & Bas



 暫らく尾根を進むと朽木に小さなきのこがビッシリと出ていた。ちいさな茶色の傘に柄にはツバがある。センボンイチメガサだ。






センボンイチメガサ Kuehneromyces mutabilis (Schaeff.) Singer & A.H. Sm.


 尾根を歩くのは比較的たいらだし、見通しも良くて楽だ。でも不安があった。尾根を下れば道があるはずだった。でも万が一無かったら?不安になり、一度降りてみることにした。急な斜面をしばらく下る。しかし、道は見えなかった。とことん下ろうかとも思ったが、それでも道が無かったら時に何も分らなくなってしまう・・・。尾根に戻り、尾根に上がった方に戻ることにした。この時、集合時間まであと一時間。


 戻りながら、2度ほど道を探して降りてみたが道には出会わなかった。どんどん、不安になってくる。そして、3度目。ようやく道は・・・あった。喜んで道を集合場所の方に歩いてゆく。しかし、なにか変だ。こんな道歩いてきたような気がしない。相棒に聞くと、いや、歩いてきたよ、という。そうかと思いさらに歩く。しかし、やはり記憶にない。もう、集合時間まで30分しかない。と、思って道のわきを見ると・・・なんと、マイタケが出ていた。去年のような感激はなかった。帰り道が不安だったせいもある。







マイタケ Grifola frondosa (Dicks.) Gray



 マイタケは全部で4株あった。写真を撮っていると、前方からなんと人が歩いてくる。急いで、二人で収穫した。何か出ているのですかと聞かれた。マイタケが出ていたんですと答えると、それがマイタケなんですか・・と言う。きのこのことは余りご存じないようだった。ついでに峠へいく道を訪ねると、何と後を指差した。我々は全く逆に歩いていたのだ。


 大急ぎで戻ることにした。そして、ようやく集合場所に着いたが、仲間は全員、既に集まっていた。3時20分だった。


 よかった・・・・。みんなに迷惑を掛けなくて済んだ。


 でも、迷わなければマイタケには出会っていなかっただろう。怪我の巧妙である。

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