先日のことですが、射撃仲間から前装銃射撃競技に関するお薦めの参考書は何か?という質問を受けました。良いチャンスなので、この機会に私のオススメに関して書いておくことにしましょう。
Amazon等で検索すると、恐らく最も沢山出てくるのはアメリカで出版されているこの種の本でしょう。私も前装銃射撃競技を始めた頃には海外の情報が知りたくて、色々取り寄せて読んでみました。しかし・・・結論から言ってしまうと、残念ながらこの種の本の中には本格的な競技に役立つような情報はほとんどありません。現実にはアメリカでMLAICの国際ルールに基づいた本格的な競技をやっている人はほんの一握りなんですよ。
コレなんかはイギリスの本ですし表紙に騙されちゃいましたが(笑)、前装銃射撃全般に関して広く、浅く紹介している本でした。著者はMLAGBの元会長で世界選手権にも参加したことがある方なので、内容に関してはしっかりしているんですけどね。
恐らく、現在手に入る書籍の中で、唯一シリアスに射撃競技という点から前装銃に関するノウハウを解説している本はコレ、『THE DEFINITIVE GUIDE TO SHOOTING MUZZLE-LOADONG PISTOLS』でしょう。著者の Derek Fuller さんもMLAGBに所属している現役の前装銃競技射手で、中身はほぼ 射撃競技に関する内容によって占められています。若干ですが、火縄短筒に関する記述もありますよ。
タイトルの通り、基本的にはピストルに関する本ですが、前装銃射撃全般に共通する内容も少なくないですし、ご覧のように私達が是非知りたいと思うような貴重なデータも色々出てくるので、もし何か前装銃射撃競技に関する本を1冊だけ買うとしたら、迷わずコレをオススメします。こういう感じの長物版の本、誰か書いてくれないかなぁ・・・・・・
もし競技に限定された内容でなく、前装銃射撃全般に関する知識でもOKというのであれば、リローディング用品の専門メーカーである LYMAN が発行しているこの種の本がオススメです。
私は火縄銃だけではなくパーカッションの銃も撃つので、こういう資料があると色々と便利なんですよ。
私を含め、前装銃の射手の皆さんの中には自分で弾頭を鋳造する方が少なくありません。そんなときに役立ってくれる資料がこちら、『CAST BULLRT HANDBOOK』。発行はやはり LYMAN です。
鉛という金属の特性に関して、ここまできちんと解説している本は他にありません。弾頭の鋳造に挑戦してみようか?という方にとっては、MUSTの一冊だと思います。
そして最後はこの本、『Muzzle Loading Shooting and Winning with the Champion』に登場してもらうことにしましょう。この本、アメリカの前装銃に関する様々な分野での第一人者、8人によって書かれた本です。発行は1973年・・・・・・つまり現代のように国際的な前装銃射撃競技大会が開催される以前の内容です。しかし・・・・・・
・・・・・・さすがにそれぞれの部門の第一人者によって書かれていることもあり、今読んでも参考になるような記述があちこちに登場してきます。
個人的に一番参考になったのは、第6章の “Shooting the Round Ball Bench Rest Rifle” かな。コレを読んで以来、日本でも前装銃のベンチレスト射撃競技が行えないものか?ずっと考え続けています。
最後にオマケ。John Grant さんが前装銃を撃った標的。100ヤード、3発のグルーピングです。
前装銃の射撃競技、最長で1000ヤード(約914m)までありますし、一般の方が思っているよりも遙かに当ります。