半谷範一の「オレは大したことない奴」日記

B級自動車ライターのカオスな日常

火縄銃の射撃を見学に行きました。

2017-09-10 19:00:38 | 前装銃射撃、古式銃
本日は日本前装銃射撃連盟が主催する前装銃(火縄銃などの先込式の古式銃)を使った実弾射撃競技大会の一つ、安斎杯の開催日。本当は私も見に行きたかったのですが、残念ながら他の予定と重なってしまったので諦めて、昨日の練習日に見学に行くことにしました。




国際大会では前装銃でも電子標的を使用することがあるものの、残念ながら国内には前装銃に対応できる電子標的はありません。というわけで、SB用の電子標的を外し、的枠に紙の標的を貼って競技を行います。




今回は新規の入会を希望される方が二名、入会審査を受けていました。



射撃が出来る時間の余裕があるときは、どうしてもSBや大口径ライフルを優先させてしまうので、前装銃はしばらく撃っていません。でもアクセス解析によると、このブログを見にいらっしゃる皆さんの中には前装銃射撃に興味をお持ちの方が少なくない様子。私も短筒射撃だけでも再開しようかな?。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千葉県総合スポーツセンター射撃場で、火縄銃の射撃を見学しました。

2017-03-11 19:07:23 | 前装銃射撃、古式銃
明日は千葉県総合スポーツセンター射撃場で、日本前装銃射撃連盟主催の古式射撃大会が開催されます。私は参加しませんが、新しく入会を希望している方が2名いらっしゃるということで、準備のお手伝いを兼ねて射場に顔を出すことにしました。




入会希望のお二人は、共に立派な成績で入会審査に合格していましたよ。




前装銃では電子標的は使用できないので、明日のために取り外しておきます。




古式射撃大会では、通常の前装銃射撃用標的(フランス陸軍用200m標的)ではなく、古式の作法に則ったこのような標的を使用します。




的枠も通常の50mではなく、途中にこのような物を立てます。明日もお天気が良いようなので、気持ちの良い射撃ができそうですね。





話は変わりますが、あの3月11日の震災の時、私はやはりこの射撃場で練習をしていました。あれからもう6年も経つのか・・・・・・
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古式銃レストアの参考書、オススメはこれかな?。

2016-11-30 16:15:33 | 前装銃射撃、古式銃
先日、ちょっと用事があって射撃場に行ったとき、前装銃射撃仲間から洋式古式銃のレストレーションに関して、何か良い参考資料がないか?、尋ねられました。まぁ銃の種類によって色々あることはあるんですが、やはり最初の一冊としてオススメしたいのはやはりコレ、『ANTIQUE FIREARMS THEIR CARE,REPAIR & RESTRATION』(RONALD LISTER著)かな。




著作権の関係で内容は詳しくお見せすることができませんが、メカニカルな部分の修理、修復に関する基本的な知識は、これだけで一通りご理解頂けると思います。






ストックなどの木部に関する基礎知識してはやはりこの分野の古典ともいえるコレ、『GUNSTOCK FINISHING AND CARE』(A.Donald Newell著) が良いでしょう。現代銃に関する本であるものの、オイル・フィニッシュに関する部分は中々興味深い内容です。








分解や組み立てに関する資料は色々あるものの、残念ながらあまり私達の役に立つ内容の本はありません。








最近出た、この『ANTIQUE FIREARMS ASSENBLY / DISASSEMBLY』(Davis R. Chicoine著) も、もう少し新しい時代のメタルカートリッジの銃に関する内容です。





日本国内の場合、パーカッション等の洋式古式銃を使う競技で、定期的に開催されている日本ライフル射撃協会の正式種目は、“ベッテルリー”(50m、FP標的使用、射場の関係で国内戦はスムーズ・ボア限定) だけしかありません。もしライフリング入りの銃が使える100m競技の “ミニエー” 等が開催されるようになったら、もう少し競技人口も増えるのかな?。


尚、古式銃は文化財であり、その修理、修復の範囲に関しては、1989年に文化庁(文化財保護委員会)との間で取り決められた厳格なガイドラインがございます。古式銃のレストア等を行う場合には、決してその範囲を逸脱しないように、くれぐれもご注意下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エエエッ!、まさか?、この銃は!?。

2014-02-04 14:01:04 | 前装銃射撃、古式銃
以前、 『東京ディズニーランド』 の “カリブの海賊” に、 高価なミロク製のケンタッキー・ライフルやホーケン・ライフルがすらっと並んでいた のを紹介しましたが、今回は 、 『東京ディズニーシー』 で見た銃の話を書くことにしましょう。


“メディテレーニアンハーバー” のは反対側に浮かんでいる?ガリオン船、今まで何回も探検したものの、迂闊にも船長室のデスクの上にある銃に関して大きな誤解をしていました。



ここからのぞいて、てっきりデニックスか何かの安物のフリントロックのピストルのレプリカだと思っていたのですが……



……あれれれっ、ちょっと変だなぁ。良い木を使っているように見えるし、ロックの形にもちょっと違和感があります。と、いうわけで、反対側まで回ってみたら……




……えええっ、これ、フリントロックじゃなくて、ホイールロックじゃないの!。ガラス越しなんで。ちょっと分かり難いんですけどね。




しかし、船の横に回ってみたら、もっと見やすい位置にもう一挺ありました!!。




ロックの部分を拡大するとこんな感じ。



さすがに鉄製じゃないものの、ゼンマイのメカの形も再現していて、ちゃんとホイールロックになってます。既製品ではこんなの見たことないんですけど、わざわざこの展示のために作ったのかなぁ?。もしスペアがあるなら、是非一挺欲しいものです (笑) 。

余談ですが、 “ロストリバーデルタ” の売店の後ろの壁には水平二連やスナイダーライフル (スナイドル銃) もあります。


船内にはこんなのもいました。カモノハシにマタマタ。この船、オーストラリアや南米にまで行ったという設定なんですね。




最後にオマケ。以前にバルセロナの海洋博物館で見た16世紀の帆船の精巧なレプリカ。



実際に船を作っていたドックの中に展示されていました。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古式銃のレストア、ロックの正しい組み立て方。

2013-09-22 07:12:19 | 前装銃射撃、古式銃
ロックプレート(サイドプレート)の磨きが終わったので、今回はロックの組み立て方について書くことにしましょう。




まず最初に、銃専用のガンスミスドライバーを使用して、ロックにプランジャー、シアー、シアースプリングなどを組み込みます。




次に、前回、ハンマースプリングコンプレッサーを使用して取り外したハンマースプリングを元の位置に戻します。




ロックプレートを裏返し、プランジャーにハンマーを取り付けます。




しかし、この部分にガタがない程度の良い銃の場合、手で押し込んだだけでは完全に奥まで入りません。




こんなとき、ハンマースクリューを取り付けて無理やり締めこんでしまったり、プラスティックハンマーで叩いてしまうような方もいますが、銃の破損や傷が付く原因となるので、あまり推奨できる方法ではありません。それではどうやってハンマーを最後まで押し込むかというと……





……この画像の下側のツール、ハンマープレスを使用します。





プランジャーの裏側には凸部があるので、それをハンマープレスの凹部に合わせるようにしてロックプレートを挟みます。




ハンマーに傷が付かないように、紙などを挟んでおいてから、プレスのハンドルを回します。






はい、出来上がり。当然ですが、ピッタリですね。




こうやって最後まで押し込んでからハンマースクリューを取り付ければ、無理な負担が掛かってネジ山が変形し、緩みやすくなるといったトラブルを減らすことができます。




最後にロックプレートを銃に取り付けたら完成です。



次回は延び延びになっていたドライバーの話か、アリ溝で装着されているリアサイトを取り外すSST(特殊工具)について書こうと思っています。


※注意
古式銃は文化財であり、その修理、修復の範囲に関しては、1989年に文化庁(文化財保護委員会)との間で取り決められた厳格なガイドラインがございます。古式銃のレストア等を行う場合には、決してその範囲を逸脱しないように、くれぐれもご注意下さい。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MLAICヨーロッパ選手権で、15年振りに新記録が誕生!。

2013-08-23 09:56:19 | 前装銃射撃、古式銃
現在、オーストリアのアイゼンシュタットで行われているMLAICヨーロッパ選手権、HIZADAI ORIGINAL種目で、98点の新記録が出ました!。撃ったのはスウェーデンの射撃仲間、ヨハン・カールソン選手。ドイツのボゼ選手が出した97点を15年振りに塗り替えるという快挙です。おめでとうございます。


この画像は2006年、フランスで開催された世界選手権のときの模様。金メダルがカールソン選手で銀メダルが私。しかし、実際には5点の大差をつけられてのボロ負けでした。今まで3回対戦しましたが、いつも完敗。全く勝てる気がしません。




これは2008年のアデレード。我が家の子供達と一緒に記念撮影。



今回はヨーロッパ選手権での記録なので、世界新ではなくゾーン・レコードということになってしまいますが、過去最高のスコアであることは間違いなく、これを破ることが皆の新しい目標となりました。

ちなみにカールソン選手の使っている銃は日本製の仙台筒。日本記録もやはり仙台筒で樹立されています。一見地味ではありますが、鉄質も良いし、射撃競技には向いているのかもしれませんね。



追記 (2013年08月28日)
今日、メールが入ってきたので何かと思ったら、また新しく火縄銃買ったから銘を読んでくれとのこと。実は彼も私と同様、普段はISSFのSB射手のはずなのですが、最近はすっかり前装銃にはまってしまったようです。

ちなみに、新しい銃は榎並勘左衛門重恭。やはり海外出ている銃は堺筒が多いなぁ。


追記 (2013年10月03日)
昨日またメールが来て、もう一挺、火縄銃を買ったそうです (笑) 。今度も堺筒で銘は唖鍛冶七郎兵衛重恭。ニ重巻張りの重い銃のようです。

北欧にはそんなに沢山の火縄銃があるとは思えませんが、この種目で勝とうと思ったら、日本製の火縄銃以外に選択肢はありませんね。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古式銃のレストア、ロックの正しい分解方法 その2。

2013-07-10 09:33:15 | 前装銃射撃、古式銃
前回、 「次はガンスミス・ドライバーの話」 と予告してしまいましたが、書き始めたら結構なボリュームになることが判明した上に、カテゴリーも “前装銃射撃、古式銃” ではちょっと違うかな?、という気もしてきました。

そこで、ドライバーの話はまた別の機会ということにして、今回は “ロックの正しい分解方法、その2” ということで、このロックからハンマーを外す正しい方法をお送りすることにいたします。




まず最初に、専用のガンスミスドライバーでハンマー・スクリューを外します。



理由はいずれ書きますが、決して汎用のドライバーを使用してはいけません。


ハンマー・スクリューを外すとこんな感じ。ハンマーがタンブラーにピッタリと圧入されていることが分かりますね。本来は引っ張った位ではビクともしないのが正常です。簡単に外れてしまうようでは、かなりガタが出ていると思った方が良いでしょう。




で、このハンマーを取り外すためには、このような専用のガンスミス・ツール、ハンマー・プーラーを使用します。



時々、片側からドライバーでこじって無理やり外そうとする方がいますが、ハンマーとタンブラーの結合部がガタガタになってしまうので絶対にやってはいけません。


この銃の場合はあまり気にすることもないでしょうが、ロック・プレートに傷を付けないように、紙を挟んで作業するのが普通です。




後はこのようにプーラーを取り付けて、ゆっくりハンドルを締めこむだけ。




こんな感じでスポッと外れます。




外した後を見たらこの状態。



トホホ~、やっぱりちゃんとバラしてから磨けばよかった。我ながらオマヌケです。


というわけで、次回はこのようなガンスミス・ツールに登場してもらうことになるでしょう。



一見するとハンマー・プーラーによく似てますけど、使い方は全然違うんですよ。さて、これは一体何かな?。


※注意
古式銃は文化財であり、その修理、修復の範囲に関しては、1989年に文化庁(文化財保護委員会)との間で取り決められた厳格なガイドラインがございます。古式銃のレストア等を行う場合には、決してその範囲を逸脱しないように、くれぐれもご注意下さい。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古式銃のレストア、ロックの正しい分解方法 その1。

2013-06-30 09:39:54 | 前装銃射撃、古式銃
ガリバルディ・ライフル、軽く磨いて錆を落とすだけのつもりだったので、ハンマーの部分だけを養生して作業を行ったら……




こんな感じのちょっと違和感のある状態になってしまいました。トホホ~。やっぱり面倒くさがらず、ちゃんと分解して磨かないと駄目ですね。



というわけで、まずはハンマー・スプリング (メイン・スプリング) の正しい外し方から。


多くのパーカッション・ライフルは、こんな感じでロック・プレートの前の方にハンマー・スプリングが組み込まれています。




で、このスプリングを取り外すにはこの専用ツール、ハンマー・スプリング・コンプレッサーを使用します。ペンチ等の汎用工具を使う方もいるようですが、銃を傷める原因になるのでお勧めしません。




使い方は簡単です。まず最初に、こうやってハンマー・スプリングを挟みます。ハンマーのポジションはハーフコックです。




次に、スプリングの先端がタンブラーよりほんの少し浮く (わずかにガタを感じる程度) 程度まで締めこみます。このとき、決して締めこみ過ぎてはいけません。



こうやって見ると、まだスプリングの端がタンブラーに当たっているように見えますが、実際にはほんの少しガタがある状態です。


次にシアーを直接解除し、ハンマーを完全に落した位置にします。




この状態で手前に引けば、ハンマー・スプリングを取り外すことができます。



繰り返しますが、このコンプレッサーを使用するときには、決して締めこみ過ぎないこと。締めこみ過ぎると、スプリングは意外にあっさり折れます。


ハンマーやタンブラー、シアーはこのようにネジで止まってます。しかし、この部分を分解するときにも、汎用ではなく、銃専用のドライバーを使う必要があります。



というわけで、次回は私が使用しているガンスミス・ドライバーの話を書かせていただくことにしましょう。


※注意
古式銃は文化財であり、その修理、修復の範囲に関しては、1989年に文化庁(文化財保護委員会)との間で取り決められた厳格なガイドラインがございます。古式銃のレストア等を行う場合には、決してその範囲を逸脱しないように、くれぐれもご注意下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古式銃のレストア、真鍮の錆落としをしました。

2013-06-19 09:00:39 | 前装銃射撃、古式銃
M銃砲店から無事に戻ってきた古式銃、追加で私が真鍮の錆を落とすことにしました。この時代の洋式銃の場合、真鍮部品は砂型鋳造で火縄銃のようにビシッとエッジを立てた丁寧な仕上げではないし、元々の程度も大したことはなかったので、清水さんの工場でサンドブラストをお願いしちゃいました。真鍮の錆落としに関してはクエン酸のような弱い酸を使う方もいらっしゃいますね。




ブラスト直後はこんな感じ。つや消しになってます。




それを真鍮のブラシで磨きます。今回はドレメルのリューターを使いました。




はい、出来上がり。過去の使用によってできた傷まで消してしまうのは好きじゃありませんし、軍用銃なのでオリジナルの状態でもピカピカということは無かったはずなので、取り合えずこの辺りで止めておくことにします。作業前に確認してみたら、ストックに隠れる合わせ目の部分等はほとんど仕上げらしきものが施されておらず、荒いヤスリの痕がそのままでしたし、トリガー・ガードの内側も梨地だったので、敢えてほとんど磨かない状態にしておきました。




バットプレートのように銃から外してない部分に関しては、木部に傷が付かないようにマスキング・テープで養生してから、真鍮ブラシで磨きました。



こんなやり方でも、ちょっと磨いただけで結構綺麗になるんですよ。次回は銃身の錆落としか、ロック部分の分解方法について書こうと思っています。

※注意
古式銃は文化財であり、その修理、修復の範囲に関しては、1989年に文化庁(文化財保護委員会)との間で取り決められた厳格なガイドラインがございます。古式銃のレストア等を行う場合には、決してその範囲を逸脱しないように、くれぐれもご注意下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古式銃のレストア、第一段階終了!。

2013-06-10 09:47:42 | 前装銃射撃、古式銃
向島のMさんの所にお願いしていた管打(パーカッション)式ライフル銃の整備、作業が完了したので、とりあえず我が家に送っていただきました。さすがに惚れ惚れするような仕上がりですね。最初の状態を知っている人なら、まさか同じ銃だとは思わないだろうなぁ(笑)。




これはリア・サイトの状態。起こしてみると3、4、5の数字が書かれ、さらにその上にもⅤノッチが刻まれています。初めて見たときには最長600m!かと思って驚きましたが、1800年代中頃の銃なので、単位はメートルではなく、歩幅を基準とした単位、ペース(Pace)かシュリット(Schritt)かもしれません。その場合だと最長で425~456m位ということになりますね。もちろんピンポイントで当てるというわけじゃなくて、その辺りに弾幕を張るという使い方なんだと思います。






これがいわゆる壬申刻印。明治15年に島根県で登録されてます。ストックの焼印をみると、その前に一度神奈川で登録されていることが分かりました。




こちらは作り直していただいたラムロッド。新たに資料が見つかったので、それを参考にオリジナルの形状に忠実に再現していただきました。




“FF” の刻印はウィーンのフェルディナンド・フリューヴィルトで製作されたことを表しています。銃床にも “FF”の焼印がありました。




この銃はブリーチチャンバー(ブリーチプラグ=尾栓側に薬室が一体化されている構造)を採用しているため、タング部分ではなくこの線の部分で分離します。ロックプレートの凹部と銃身側のニップルの周囲の形状が合っていないので、元々はチュープロックとして製作された銃をパーカッションロックにモディファイした物だと想像できます。色々調べてみた所、同じM1849でもこの部分にはいくつかのバリエーションがありました。




これはバレル・バンドの下に隠れていた部分。ここを見ると、元々の仕上げが白磨きだったということが良く分かります。銃身の裏側にも白磨きの状態が残っている部分がありました。ヨーロッパの軍用銃では1800年代後半になっても白磨き仕上げのものが珍しくなく、当時の絵画などを見ても、銃は黒ではなく白く描かれていたりします。




私にとっては古式銃であっても銃は射撃をするための道具という意識なので、機能がすべて復活した段階、つまりこれででレストアは完了です。しかし、義父は射撃をする方ではないので、やはりリビングにでも飾ったときに見栄えがする方が喜んでいただけることでしょう。というわけで、義父の所に届ける前に私がもう少しだけ磨いておくことにしました。バレルバンドは朽ち込みもほんのわずかなので、ちょっと磨いてあげれば見違えるようになってくれることでしょう。




トリガーガードは真鍮なので、現状では緑青で真黒。でも、ここも簡単にピカピカになるはず。



でもやはり最大の難関は銃身ですね。Mさんにうかがってみたところ、「現状のままの方が良いと思うけど……、もしもっと錆を落としたいというならワイヤー・ブラシで磨いてください。でも、もしオリジナルと同じ白磨きの状態にまで仕上げようと思ったら凄く大変だよ。恐らくブラシを5本位使うことになるんじゃないかな?」とのこと。ウ~ム、果たしてどこまでできるかな?。

※注意
古式銃は文化財であり、その修理、修復の範囲に関しては、1989年に文化庁(文化財保護委員会)との間で取り決められた厳格なガイドラインがございます。古式銃のレストア等を行う場合には、決してその範囲を逸脱しないように、くれぐれもご注意下さい。

(つづく)

(2013年08月16日 追記)
その後、この銃に関して色々調べてみたところ、次のようなことが判明しました。

1854年のローレンツ・ライフルの登場後、この銃は一気に旧式化したために、余剰兵器として保管されていました。ところが1860年代に入り、南北戦争の勃発で武器が不足したアメリカでは、ヨーロッパからも沢山の銃を輸入することになり、この銃もユニオン(=北軍)に買い取られることになりました。その数は26291挺という記録が残っています。

しかし、さすがに旧式なチューブロックのままでは使い物にならないので、パーカッションに改造してから輸出されることになりました。改造方法は様々で、ブリーチやロックプレートごとパーカッション仕様に交換した銃もあれば、この銃のように一部を加工してパーカッションに改造した銃もありました。その改造はオーストリアのみならず、様々な国で行われました。この銃に施されている改造は、通称 “ベルジャン・タイプ” と呼ばれているもので、その名の通りベルギー、リエージュの工房で改造された銃に特有の物です。

大体予想はしていましたが、やはりオーストリアからではなく、幕末にアメリカ経由で入ってきた銃であることは間違いありませんね。それにしても、イタリアに行ったり、ベルギーに行ったり、数奇な運命をたどっているなぁ……


(2013年10月29日 追記)
イタリアのアの友人からの情報で、リアサイトの数字がやはりメートルではないことが判明しました。100=約75mで換算するとのことなので、やはりシュリットなのかな?。サイトの使い方も教えていただいたので、機会があったら紹介しようと思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする