元シカゴのオリジナル・スーパー・ドラマー、ダニー・セラフィン率いる「カリフォルニア・トランジット・オーソリティ」奇跡の来日公演。
早いもので、19日の公演をもって東京は最後です。
よってマバタキをするのももったいないくらいな覚悟で、しっかりとCTAの雄姿をこの目に焼き付けておく覚悟で臨みたいと思います。
それにしても、あっと言う間の出来事で、いまだに夢のよう。
このライブ・レポートを書いている今でも、すでにあれから2週間が経過したなんて信じられない気持ちです。
4月19日 第1部
17:30開場 19:00開演
<1st stage>
1. Introduction Overture
2. Make Me Smile
3. Questions 67 & 68
4. Turn Your Love Around
5. You're the Inspiration
6. Turn Back The Pages ※Donny Ducas sings / from『STILLS』
7. Ain't It Time ※Donny Ducas sings / from『HOT STREET』
8. Dialogue
9. Look Away
10. Ed Roth Piano Solo ~ Does Anybody Really Know What Time It Is?
11. Mark Bonilla Guitar Solo ~ Color My World
12. Hard Habit to Break
13.I'M A MAN
-Encore-
14. 25 or 6 to 4
今回のセット・リスト表は、開演ギリギリにやっとスタッフが貼り出しにきました。
そうとうダニーさん、直前まで悩みに悩みぬいた模様です。
結局は17日1STの内容に、後半部分ちょっとだけテコ入れした感じではあります。多分、ダニーはこれでも全然納得なんてしていないのでしょうね。時間の制約があるんだから仕方ない。これはこれでまた、次回の来日に楽しみを持ち越しということでね(笑!!)
時間通りの進行です。
スタッフ達がオーダーを受けて飲食物をテーブル席に運んでいます。食器のあたる音があちこちから響いてきます。例によって女性スタッフによる場内アナウンスが流れてBGMストップ。暗転した後にスタッフのエスコートで、CTAメンバー達がダニーを先頭に階段を降りて登場。スポットライトの煌きが、興奮をさらにあおります。ファン達ははやくも熱狂しながら、ダニーの名前を連呼。握手攻めです。
無事にステージにたどりついたメンバー達が、各自のポジションにつく。
大型スクリーンにダニーセラフィンのドラム・ソロ映像が流されて、「アンド・ナウ!プリーズ・ウエルカム!」渋い声の男性アナウンスでCTAコール!
不動のオープニング・ナンバー「イントロダクション」はエディット。
今度来る時には是非とも、完全バージョンで演奏してもらいたいなあ・・・なあんて思うのは贅沢かな!?
間髪入れずにメドレーで「ぼくらに微笑みを」
ほとんどの曲を私のバンドSTAで今もライブで演奏しているので、細部に至るまで注視。感動もひとしお。
マークのギターが驚愕です。ライブのたびにフレーズなどが違うのです。それもこれもメチャクチャにしっかりとかっこいい。ロックしている。
さすがあらゆるジャンルで腕を磨いてきただけある。マーク・ボニーラは要注目の暴れん坊ギタリストです。
そんな事を考えている最中にも、曲は「愛は限りなく」へと雪崩れ込み。
緊張感に満ち溢れたナンバー目白押し。
「ダニー・セラフィン!」コール!もちろん拍手の嵐!
まだまだ勢いは収まらない。
トニー・グラントのハイトーン・ボーカルが思い切り突き抜ける「クエスチョンズ67&68」
記念すべきシカゴの1969年デビュー曲。当時、全然ヒットはしなかったけれど、この曲からシカゴのロック界への快進撃がはじまったのは、紛れもない事実だ。
しかもダニーのトレードマークともいえるあの素早きドラム・フィルから入るわけだ。そのスティック・ワークが目前で繰り広げられているだけで、もう感無量の極致。
実は私、うかつにもこのステージ開始直後から、ここに至るまで涙が流れ落ちて止まらなかったのです。
こんな経験は初めて。目が潤んだことぐらいはあったけどね・・・。
年齢のせいで涙もろくなったということもあるんだろうけど、10代の頃のあんなことやそんなことがシカゴとリンクしてフラッシュバックしていたらグッときちゃいました。そして、今夜のライブでCTAとはしばしお別れなんだなあ・・・なんて考えるとね・・・。
鋼の涙腺が大決壊しちゃった。
全く罪なバンドだぜ!
ただただ感謝です。今回は東京にまで足を運んで、4回分のコンサート予約した甲斐があった。
「ダニー・セラフィン、ドラムス!ヘイ、カモン!」とビルがダニーからMCをバトンタッチ。
そうです、初期シカゴの極上ブラスロックを堪能した後に繰り広げられるのは、ビル・チャンプリンのコーナー。
「ジョージ・ベンソンが歌って有名な曲をやるよ。
私とジェイ・グレイドン、TOTOのスティーヴ・ルカサーと作ったんだ。」
ちょっとおどけて軽くオルガン音を出してから、キリッと引き締まって真剣な表情に変わったダンディなビル。
さりげなく指先でダニーにカウントを送ったら、ジャジーなるドラミングの開始!
おお!タカくんが切れ味鋭いサックス・ソロで絡んできたよ!凄い展開だ!
本編突入「ターン・ユア・ラブ・アラウンド」
今までのハードな流れとは、ガラッと雰囲気を変えてアダルト・ムード。
小柄なダニーのちょっと背を丸めた構えから繰り出される、スネアを中心とした過激かつ超派手派手なタム回しやシンバル連打には、鳥肌が立ちっぱなしだ。
しかし、どんなジャンルの音楽にもスムーズに対応する、CTAメンバー達の奥深きテクニックには脱帽です。
後半もタカくんのサックスからビルに受け継がれるハモンド・オルガンソロ、そして「バンザイ・ブラス」による火を噴くアンサンブルにノックアウトされちゃいました。
改めて心に染み入る名曲だよね。グラミーを受賞したんだから、当たり前かあ。
「ビル・チャンプリン!バンザイ・ブラス!」皆で一緒にホーンの3人と一緒に「万歳!万歳!」
ダニーのMC「ハウワーユー・・・オールライト・コンバンハ!」皆で一緒に「今晩は!」
「サンキュー、ネクスト・ソング・バイ・・・シカゴ・・・・ピーター・セテラ!・・・・ベリー・ベリー・マッチ・オーケー?トニー・グラント!!」
ビルがなにかとダニーのMCに突っ込みを入れて、笑いを誘うのです。「ハハハ~!」
気心の知れた盟友同士だという表れなのでしょうか、見ているこちらサイドもハッピーになってきます。
大ヒット曲「ユア・ザ・インスピレーション」
ダニーが紹介したとおり、トニーの伸びやかで澄み渡るハイトーンは、情感豊かでお見事のひとことだ。
男でもウットリと聞き惚れるほど。
こんな風に歌えたらなあ・・・羨ましい。
エンディングで滑らか縦横無尽にギターを弾きまくるマークは、シカゴに在籍していたドウエイン・ベイリーを彷彿とします。
ありとあらゆる持ちうる限りのテクニックをこれでもかあ!というほどに注入。
でも歌心を崩さない姿勢は、とても勉強になります。
パワー・バラードを終えて、ダニーのMC「トニー・グラント!マーク・ボニーラ!」
その最中、いつのまにかすぐ横にドニーがギターを抱えてスタンバイしていた!
「スペシャル・ゲスト!ドニー・ディカス!」
観客「ドニー!ワアアアアア~!」ドニー「トーキョー!!」
ドニーはボリューム下げないで、シールド・コードを差し込んだものだから「ガシャッ!」
ダニー曰く「次の曲はド二ーとスティーブン・ステイルスによる共作だよ。ターン・バック・ザ・ペイジス!」
軽快なるアメリカン・ロック魂が漲る曲に、手拍子が送られる。
とにかくドニーは、ギター&ボーカルをこなしながらも絶えず動きまわる。いつまでも若々しくて、元気一杯だ。
私には「カーリーロングヘアじゃあないから、一瞬わからなかったでしょう!」とイタズラっぽく笑ってたけどね。
十八番ともいえる賑やかなる仰け反りアクションも、フィンガリングもチョーキングもタップリと披露。
ビルとダニーとドニーによるトークがはじまった。この3人が同じステージで演奏しているところを、日本で観られるなんて貴重だよね。ビルとダニーはシカゴ時代かぶっていないんだから。
「エイント・イット・タイム」
シカゴ12にあたる「ホット・ストリート」に収録されているナンバー。ドニーとダニーによる共作だから、あえてヒットシングルではないのに、これを入れてきたのでしょう。
アルバム・バージョンではフェイド・インするイントロが、まるで回転ステージから登場するようなイメージだ!などと紹介されていました。
ドニーの合の手「ハイ!」というのも印象的だったけど、ここではそれはやってくれなかった・・・。
ドニーはCTAのUSツアーにも参加していて、そこではトニーとのツイン・ボーカルにて「アライブ・アゲイン」をプレイしていました。
世界中のファンたちが、この歯切れ良いイントロのギターでドニーを知ったのです。
是非とも、いつかこれも聞きたいなあ!
しかし、ドニーって話し声も歌声もすぐにドニーってわかるね(笑)。
ダニーMC「ドニー・ディカス!」
歓声が沸き起こっている中、マークはギターを「ポロ~ン」とちょっと弾いてみる。
ああ!カラッとしたコード・カッティングが飛び出した!
彫刻ジャケットのシカゴⅤからのシングルヒット「ダイアログ・パート1&2」
3ステージ目ともなると、バンド・アンサンブルもかなりこなれてきた様子。
CCくんも「だいぶ、慣れてきました」と言ってました。
ビルとトニーが過激派とノンポリ学生に扮して、不安定なる世の中を愁いているという図式が壮大な対話形式ロック。
ドンドンとヒートアップしてパート2における大合唱ではメンバー達と観客達とで一緒に「ウィ・キャン・メイク・ハッ!!」とぶつ切りエンディングをバッチリと決める。
ダニー「ビル・チャンプリン!トニー・グラント!」
ここで一旦ドニーは拍手に送られての撤収です。
ビルがハモンド前の狭い通路を渡って、自分の鮮やかなカラーのフェンダー・ストラト・キャスター・ギターを肩にかけます。
1曲だけ、ビルのギター弾き語りが披露されます
「ルックアウェイ」
これもシカゴ、そしてビルにとっては永遠に大切な曲。
観客もそれまでの絶叫とはうってかわって、しんみりと聞き入っていますよ。
ここではじっくりとビルの熱唱に酔いしれましょう。ダニーのドラミングもビルをフューチャーするべく、やや抑え目に徹しています。
さりげないビルのギター・ワークも味わい深いものがあります。
ダニーMC「ビル・チャンプリン!・・・・エドワード・ロス、フューチャー・ピアノ」
エドが、後方サイドのグランドピアノ席へ移動。
ロバート・ラムとは一味違う「フリー・フォーム・ピアノ」
これはよくもまあ、ダニーさん導入してくれたね。嬉しい限りです。天晴れだ。古いシカゴファンたちにとっては感涙モノ。
途中ではお約束のダニー&エドによるアドリブ・リズム刻みで遊びはじめます。
「オーイエー!エド・ロス!!・・・1・2」
シカゴが初めてレコーディングした(ロバート・ラム:談)という「一体、現実を把握している者はいるだろうか?」
比較的おとなしめで控えめな、ベースのトラヴィスがリード・ボーカルだ。
私もSTAで同じ役割を担っているので、飛び上がるほどの衝撃だ。
オリジジナルでは作者のロバートがリード・ボーカル。ここでは忠実に再現していますが、イントロのトランペッター、タツくん、そしてエンディングでのトロンボーン、CCくんのソロがオリジナルどおりでニンマリ。
ダニーMC「トラヴィス・ディビス!・・・・ネクスト・ソング・フューチャー・・・マーク・ボニーラ」
真骨頂ともいえるマークのギター・ボリューム奏法。
最大の見せ場ですね。ゆっくりと深呼吸した後に、ボスのボリュームペダルを自由自在に踏み込んで操作しながら、スぺイシーで一種幻想的な世界を構築(息使いやピッキングの生音が聞こえてきます)
別世界に一瞬でトリップだ。
序盤に演奏した「ぼくらに微笑みを~愛は限りなく」の中間部分に位置する「ぼくらの世界をばら色に」だ。
オリジナルではピアノの旋律が主導権を握っている曲ですが、ここでは大胆なアレンジを施してマークの独壇場。
それにしても美しい音色。
ごっつくてプロレスラーみたいな風体のマーク(失礼)ですが、こんなに繊細なるトーンも紡いでくれるのですよ。
さすが故ロニー・モントローズの秘蔵っ子だけはあります。
ひととりのメロディを終えると、アルペジオへ。
それに導かれるようにトニー・グラントの出番。彼もマークの熱演に負けじとエモーショナルな喉を目一杯にこれでもかあというほどに聞かせてくれます。
凄い!ほんとうにただひとこと、凄い。思わず唸ってしまったです。
声量と伸びと張りと表現力。こんなことされちゃあ、ひとたまりもありませんよ。
これぞプロ中のプロ。最高のお手本を見せてもらいました。
ダニーMC「サンキュー、マーク・ボニーラ!トニー・グラント!」
と、ここで再登場の場所を間違えたドニーが現れた。
「WOWOW!ノーノーノー・・・・ザッツ・オーケー?!トウギャザー、ライトヒア、ステージ・バック!」ビルも加わってきて茶化す。
ダニーさんが曲順をいじりすぎるから皆が混乱、勘違いするのですよ。他でもちょくちょくそういう場面に遭遇しました。
まあ、これもライブならではの醍醐味ということにしておきましょう!(笑)。
ダニーによるメンバー紹介。ここではリアクションに一人一人の個性が反映されていて、なかなかに面白いです。
バンザイ・ブラスはちゃんと真っ当に「ジャパニーズ・ホーン・セクション」と紹介していたよ(ドニーさん、ボンサイではなくてバンザイですよ!)。
ビルによるキーボードソロの後には「忘れ得ぬ君へ」
イントロではタカくんの貫禄あるフルート・ソロが効果的。
やはり、トニーとビルによりツイン・ボーカルが最大のポイント。先に演奏された「ダイアログ」とはまた違った2人の全くタイプの異なるボーカル・スタイルが魅力。
全体像のドラマティックなコントラストは、まさしくロック・アートの領域だ。
ダニーMC「トニー・グラント!ビル・チャンプリン!トーキョー!!」
マークによる、さりげないフィード・バックを合図に遂に出た!
ダニーの爆裂ドラムソロが目の前ではじまった。
音圧、風圧で、ズンズンとこちらに喧嘩を売ってきます。
「まだまだ若いもんには負けねえぜ!」とでも言いたげなミスター・ダニー!
「アイム・ア・マン」
マークによるトリル、カッティング、ハンマリングも、キーボードのパーカッシブな鍵盤タッチもワイルド過ぎる~!
頃合いを見計らったかのように、1番手のボーカルはドニーが受け持つ。
スィート・ボイスは健在だ。
次いでトニーの金切り声のような高音ボーカルが2番手。
アバンギャルドなキーボード・ソロはエドだ。
一旦、ブレイクしてから、再びダニーのドラムソロへ。
ここで益々ヒートアップ。ツイン・ペダルも交えているもんだから「サンダー&ライトニング」状態だ。
3番手のボーカルは燻し銀ビルだ。
エンディングでもダニーのドラムソロ。
渾身のパワーを込めての、千手観音プレイ。
たまりませんなあ!
これにて本編終了。ダニーはフロアタムにスティックを置いて前へ。
ダニーを中心にメンバー全員が横1列に並んで何度もお辞儀。そして観客と握手。
私ももちろん何度もガッチリ握手をしましたよ。声援も必死に繰り返し繰り返しかけまくったよ。
「ダニー!ダニー!」「ドモアリガト!アー・ユー・オーケー?・・・」
アンコールだよ。当然「長い夜」だ。
これをやらなきゃあライブは終われない。
「ガガガガガーン!!」
荒削りなんだけれども、それがまたたまらない魅力を発散してるんだから不思議なものだね。
ピーター・セテラは現在ライブではキーをAからEに変えて歌っていますが、トニーは余裕で原曲のキーでシャウトしまくりです。
皆でいっしょに、手拍子しながら歌っちゃおう!
ギターソロはドニーとマークによる真剣勝負。
その対比がユニークで興味津津。
世代の違うギタリスト2人ゆえに、そこかしこに垣間見えるルーツが如実に反映されているのですよ。
マークは17日の第2部同様に、また女性の腕をムンズと掴んで自分のギター弦をジャカジャカかき鳴らさせました。
女性はビックリして目が点。
メインのリフではコードごとにブレイクして、全員で「ヘイ!」と拳を突き上げるのがCTA流のやりかた。
エンディングではトニーによるダメオシのスクリーミング。ロブ・ハルフォード真っ青だ。
ダニーはドラムセット・ハイ・ハット横に備え付けられた、MC用のマイクを手にとって改めてメンバー全員の名をコール。
「ドモアリガト~!!」
楽屋に引き上げる汗でグシャグシャのメンバー達にお礼をいうと、皆が皆、笑顔でメッセージを返してくれます。
あ~あ・・・もっと英語が話せればなあ・・・とこういう時にはつくづく思います。
「言いたい事がたくさん」あるのになあ・・・・。
3回目のライブともなると、ある程度は冷静に観れると思いきや、全然でした。
エキサイトの度合いは一向に衰え知らずで、何度観ても震えがくるくらいですよ。
照明が点されて現実に引き戻されたので、女性スタッフによるアナウンスを聞きながら次のライブに備えて一旦ロビーへ向かいましょう。
あ~あ・・・あと1回でCTAの東京公演は終了かあ・・・・。淋しいなあ・・・・。
悔いなきように、完全燃焼します。
セット・リスト表に書きこまれている曲目中、また2曲がカットされちゃったさ・・・・。
~~~ライブ・レポートは更に続く~~~